通常のオフィス勤務とは異なり、場所や時間を選ばない柔軟な働き方ができる「テレワーク」。多くのメリットが期待できる点から導入を検討する企業が増えているが、実施にあたってはデメリットや課題が多いのも実情だ。そこで今回は、テレワークにおける問題点とともに、その解決策について紹介していく。
「働き方改革」の一環として本格化したテレワーク!総務省などによる「テレワーク・デイズ」も開催された
政府が主導している「働き方改革」の一環でもある「テレワーク」。2017年より、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省などの主導により、テレワークの普及促進を目指す国民運動「テレワーク・デイズ」も実施されている。
「東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中の交通混雑緩和」を目的とした「テレワーク・デイズ」。総務省のデータによると、「テレワーク・デイズ2019」の実施期間中は交通混雑の緩和のほか、業務の効率化やコストの削減などといった一定の成果がみられた、という報告が多く寄せられた。
【参考】TELEWORKDAYS「テレワーク・デイズ2019」
メリットの多いテレワーク、その一方で課題も
多様な働き方ができるテレワークは、次のようなメリットが期待できる。
■非常時のリスク軽減
■コスト削減
■生産性の向上
■離職率の低減と優秀な人材の確保
このため、テレワークの導入を検討する企業は年々増加傾向にある。一方で課題となる点もあり、導入へのハードルとなっている。次に、テレワークの導入にあたって課題となる点について確認してみよう。
【参考】会社員に聞くテレワーク中に感じる不安TOP3、3位出社する同僚の仕事負担増、2位さぼっていると思われること、1位は?
テレワークの導入への課題(1)社員同士のコミュニケーションが難しくなる
テレワーク導入への課題として多く挙げられるのが、遠隔での作業となることにより社員同士のコミュニケーションが難しくなる点だ。
社員同士が直接会う機会が少なくなり、会話や情報共有が気軽にできる機会が減るため、業務上必要な相談がしにくくなる。その結果、テレワークを行っている社員が「業務に対して不安を感じる」「孤独を感じやすい」という問題が生じる。
テレワークの導入への課題(2)セキュリティに関わる問題
次に、テレワークに利用する端末のセキュリティ問題も考慮する必要がある。
テレワークのために端末を外部に持ち出したり、会社外から会社データにアクセスすると、どうしてもオフィス内で仕事をする場合より情報漏洩のリスクが高まる。万が一、情報が流出するようなことがあると社会的な責任を問われかねない。
そのため企業側は、会社外にデータを持ち出さないで仕事ができるICTシステムの構築や、通信時のVPN(仮想の専用線)使用、ウイルス対策ソフトの導入、パスワード管理の徹底など、セキュリティ管理を徹底する必要になる。この困難さもテレワーク導入に躊躇する企業が多くなる理由となっている。
テレワークを失敗に終わらせないために……導入前には解決策を講じておこう
テレワークを失敗させないためには、あらかじめテレワーク導入で生じる問題について洗い出しておくのが良い。またそれと同時に、問題の解決策について関係者と話し合っておこう。
テレワークが及ぼす弊害にはこんなことも!
ここでは、テレワークにより生じる可能性の高い弊害として「社内で生まれる制度への不公平感」と「コミュニケーション不足による生産性の低下」の2つの例を取り上げる。また、それぞれの課題への解決策も紹介する。
テレワークで生じる弊害(1)社内で生まれる不公平感
テレワークを一部の部門や社員などに限定して導入してしまうと、社内で制度への不公平感が生まれる可能性がある。組織やコストの問題で、全社員にテレワークを導入できない場合も多いため、不満が発生する前に対処しておこう。
解決策としては「事前に全社員に対して丁寧な説明を行い、理解を求める」「テレワークを利用する社員の評価方法や基準を明確にする」など、制度の明文化が必要だ。
テレワークで生じる弊害(2)コミュニケーション不足による生産性の低下
社員同士のコミュニケーションが不足しがちなテレワークでは、相談や情報共有の機会が減ることで思うように業務を進められず、結果として生産性の低下に繋がってしまう場合もある。
解決策としては、テレワーク導入前に社内コミュニケーションツールなどの利用を検討しておくのがおすすめだ。例えば、ChatworkやSlackなどのビジネスチャットツールを導入することで、業務における気軽な相談も可能となる。また、Web会議ツールを利用すれば、対面コミュニケーションを生かした情報共有にも役立ち、生産性の低下を防げる。
【参考】テレワーク上級者が語る在宅勤務を成功させる秘訣は「社員同士が互いに信頼し合う関係性にあり」
テレワークの課題を解決するには、まず導入を焦らないこと!
ここまでテレワークに関する課題や弊害、その解決策について取り上げてきた。どの問題においても重要なことは、テレワークの導入を焦らず事前に準備すること。それが成功の確率を上げるポイントだ。
「入念な情報収集」「社内への丁寧な説明」「セキュリティへのしっかりとした準備」「コミュニケーションを補完するツールの導入」といった対策を事前に行うことで、効果的なテレワークの運用が可能となる。
場所や時間を有効に活用できるテレワークは、多くのメリットがある一方で、デメリットや課題となる点も多い。しかし、導入する前の段階で起こりうる課題について確認し、解決策を講じることで、効果的に仕事を進められるようになる。
テレワークの導入を検討している企業は、ぜひこの記事を参考に課題に対する有効な解決策を見つけ、テレワークの成功に繋げてほしい。
※データは2020年5月中旬時点での編集部調べ。
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文/ねこリセット