
この度のコロナ禍で導入が進んだテレワーク。しかし、生産性などの課題から5月25日の緊急事態宣言全面解除を契機に取りやめにする会社も多く、アフターコロナ時代に定着するのかどうか注目を集めている。
今回、大企業を中心とした企業の法務担当者342名を対象にした意識調査においても、緊急事態宣言発令下では96%がテレワークを導入しながら、業務効率では3割以上、業務品質においても2割程度が「低下した」と回答したことが明らかになった。
以下に調査結果の詳細を紹介していく。
テレワークは多くの企業に浸透。緊急事態宣言解除後もテレワークを前提とした業務改善が必要
調査時点の勤務体制を聞いた質問からは、96%が何らかの形でテレワークを取り入れていることがわかった。なお、テレワークへの移行の時期としては、約半数が緊急事態宣言発令前の3月以前に移行を完了しており、発令を機に、ほとんどの企業に普及している。
緊急事態宣言下の勤務体制の継続予定としては、「5月中」と「緊急事態宣言終結まで」の回答を合わせ、5月末までを予定しているとする回答が約6割を占めた。
一方、緊急事態宣言終結以降も、部分的にテレワークを取り入れる働き方を理想とする回答は9割を超え、緊急事態宣言終結後もテレワークが一切廃止されることは考えにくいことが伺える。
しかし、テレワークへ移行したことによる業務効率・業務品質への影響については、業務効率では3割以上が「低下した」と回答し、業務品質においても2割程度が「低下した」と回答した。
緊急事態宣言終結後、法務機能の重要性は増大
緊急事態宣言発令以降、多くの企業においてビジネスが停止する状況が見られた中、法務における業務量の変化としては「変わらない」との回答が最も多くなった。
また、緊急事態宣言終結後では、4割以上が業務量が「増えると思う」、3割程度が法務の重要性についても「高まると思う」と回答し、「予想しなかった事態が生じたことにより、契約の重要性を見直すのではないか」、「アフターコロナの時代に向けて、新たなビジネスモデルの検討が加速化すると思われる」など、今回の事態が組織における法務の重要性の認識を高めると予想した。
コミュニケーションツールに留まらないITツールの活用が法務部門の生産性向上に向けた課題
「Zoom」「Slack」「Teams」といったウェブ会議ツールやグループウェアは、すでに70%以上で浸透していることがわかった。
それにも関わらず、テレワーク下における業務効率・品質の低下要因としては、コミュニケーションを課題に挙げる回答者が最も多く、コミュニケーションツールの導入のみではテレワークにおける業務効率・品質を維持することは難しいことが示された。
業務効率・品質の低下において課題意識が最も強かった契約法務では、対策として既に電子締結、契約書作成・レビュー等のリーガルテックツールの導入が進んでいることが明らかとなった。
また、法務の業務量増加や重要性の高まりに備えるために最も必要と考えられている施策としてもITツールの活用が最も多く挙げられ、テレワークはその契機ではあったとしても、これを超えて法務部門のデジタルシフトのトレンドは継続するものと考えられる。
<調査概要>
・調査期間:2020年5月13日~5月20日
・調査対象:企業の法務担当者342名
・調査方法:オンラインでのアンケート回答をメールで依頼
出典元:株式会社LegalForce
構成/こじへい
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