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ドコモ、au、ソフトバンク、楽天、2019年度の決算で大きく明暗が分かれた通信キャリア各社の今後

2020.06.13

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は通信キャリアの2019年度決算について議論します。

※新型コロナウイルス対策のためインターネット会議を実施しています

新型コロナウイルスの影響を感じさせない通信業界

房野氏:携帯電話事業者の2019年度の決算が発表されました。どう思いましたか?

房野氏

石川氏:決算に関しては明暗が分かれた。ドコモは減収減益で、KDDIとソフトバンクが増収増益という形です。大きな要因は料金プラン。ソフトバンクとKDDIは、速いタイミングで分離プランに変えて、データ通信をたくさん使うユーザー向けのキャリアにシフトしていた。一方、ドコモは2019年、新しい料金プランを入れたことで、ユーザーがあまりデータを使わない方向に流れて収益が悪くなった。以前、法林さんがおっしゃっていましたけれど、ドコモらしい「シェアパック」がなくなって、「ギガホ/ギガライト」でたくさん使えるプランと使わないプランになって、分かりやすくはなったけれど下振れした感じ。ドコモとしては、たくさん使ってもらうように、いかにユーザーを誘導していくかが今後重要になってくる。ギガホのデータ容量の上限30GBをキャンペーンで60GBにしていますが、5Gが4万契約になってもいるので、これからはいかに5Gスマホでどんどん使ってもらうようにしていくかが課題になってくると思います。

 ソフトバンクに関しては、早いタイミングでY!mobileをやっていたので、収益的には1回厳しいタイミングがあったけれど、結果として先にY!mobileがあったから、このタイミングで盛り返している。

 KDDIに関しては、UQ mibileが統合されるので、ARPUは全体的に下がる傾向で、もしかすると数字的にはこれから厳しくなってくるかなと思います。

石川氏

石野氏:KDDIは「ピタットプラン」「フラットプラン」を入れたときに、分離プランなので1回ARPAなどの業績が下がっている。ほとんど数字の付け替えなんですけど、分離プランを入れると、月々サポートや毎月割、月月割がなくなって、その分、料金が下がる。構造的に、どうやってもコストが先行するんです。なので、通信料収入は一旦、減収減益の方向に向かいます。分離プランを入れたのがKDDIとソフトバンクはドコモより若干早かった。ドコモが遅れて分離プランを入れて、その影響で今回、減収減益を被っているという状況だと思います。それを上位レイヤーのサービスでカバーしようとしていた中、d払いなどのキャンペーン費用が意外にかさんで、思ったほどカバーできなかったということも、1つ誤算としてあったかなと。でも、想定の範囲内というか、減収減益といっても、新料金プランを入れた段階でそうなることは分かっていたので、こんなものかなという感じはしますね。新型コロナウイルスの影響がある中で、通信業界は底堅いなという感じがすごくしました。ユーザーがすぐに解約したりしないので、ソニーやシャープといったモノを売るメーカーに比べて、通信系は全然影響を受けていないという感じがしました。

石野氏

石川氏:通信は為替の影響も受けないし、経済が落ち込んでも影響を受けにくいので、おっしゃる通り底堅い感じはする。だから、投資で失敗さえしなければ安泰なビジネスだと思いましたね。

法林氏:分離プランになって、端末を売ることでは、そんなに稼げないかもしれない仕組みを去年作った。今年、新型コロナウイルスの件で端末の売上は惨憺たるもの。でもキャリアとしては、端末で儲けなくても通信で儲ける環境ができている。また、2人が言ったように、ソフトバンクとKDDIは、たくさん使う人とあまり使わない人の棲み分けの構造ができていたので、それがうまく作用した感じがする。でも、そうはいいつつ、端末はどこかしらで揺り戻しがある気がする。5Gに移行するにしても、端末を買ってもらわないとダメなので、そこがどうなるか不安ですね。このままクオリティの高い4Gのまま、ずっと引っ張っていいわけではない。どこかでユーザーに5Gに移行してもらわないといけないので、そのためには端末が必要。でも、10数万円のものをみんな買えるかといったら、ねぇ……。

法林氏

石川氏:販売規制によって端末が売れなくなった。一方で、端末販売に関わるコストも減った。こうなってみると、キャリアとしては「往って来い」というか、まぁまぁアリなんじゃないかなという感じになっているなと。ただ、おっしゃる通り、5Gに移行するには明らかに足かせになっている。何かしらしないといけないという気はしますし、総務省は「5Gはエリアがまだ充実していないから、5G端末は売れなくていい」みたいなことを言っているようですが、どうなんだろうなという気がしますね。

法林氏:そうですね。まだ5Gのエリアがあまりできていない段階で、みんながわーっと5Gに行くことに対する警戒感を、総務省はキャリアと共有しているというか、キャリアと思いを同じくしているというか。そんな感じがちょっとして意外です。総務省は意外と腰が引けているんだなと。ブレイクスルーになるのは、5Gの方針で出ている周波数のシェアリング、いわゆるダイナミック・スペクトラム・シェアリング(DSS:4G向けの電波を5Gでも利用する技術)。総務省はこれを進める方向だということが見えた。それが始まらない限り、「じゃあ5Gだ」と総務省はなかなか言わないんだなということが垣間見えた感じですね。

石川氏:先月、インターネットイニシアティブ(IIJ)のファンミーティングがオンラインであって、5Gの電波の話も出た。ドコモが総務省に出した資料を使って説明していましたが、3.7GHz帯ですら非常にエリア構築が難しい。衛星通信への干渉を避けないといけないので、都心には基地局を全然置けないというシミュレーション結果を改めて見て、こりゃ無理だなとひしひしと感じました。ドコモに割り当てられた4.5GHz帯は、なんとかなるかなという感じがするけれど、正直厳しいかなと。「5G向けの電波は使い物にならない」と、いろんな幹部の人が言っていたりもしますが、メインは4G向けの周波数帯なのかなと感じます。それが今夏以降、本格化してくるんじゃないかと思います。

石野氏:ドコモは、DSSは「なんちゃって5G」的な考えで結構慎重になっている。どうするのかな。

石川氏:IIJのイベントでも言っていましたけど、4G向けの電波を5Gで利用しても、帯域幅は変わらないので、まさに「なんちゃって5G」になってしまう。ただ、とはいえ5Gのアンテナピクトが表示されやすくなるだろうから、恐らく早晩、その競争になるでしょう。3キャリア同じ端末(新型iPhone)が秋に出たら、5Gエリアの広がりを争う感じになるのではないかと思います。

石野氏:DSSは、ドコモの設備に入れられないんじゃないかという説もある。ドコモは基地局に国内ベンダーの製品を使っているから。

石川氏:DSSはあくまでエリクソンとクアルコムがメインでやっている技術。エリクソンとクアルコムの組み合わせなので、そうなるとドコモは難しいんじゃないかという説は、確かにある。

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