
新型コロナの新規感染者数が全国的に減少し、緊急事態宣言が全面解除された5月の景況感はどのような変化を見せていたのだろうか?
内閣府が街角の景況感を探るべく毎月行っている調査「街角景気」によると、5月の街角景気は、緊急事態宣言の解除を受けて現状判断指数(DI)、先行き判断指数(DI)ともに上昇に転じ、現状判断指数(DI)は首都圏で外出自粛要請が出された3月の水準を回復したことが明らかになった。
以下、そんな5月の『街角景気』のポイントをまとめた、三井住友DSアセットマネジメントによるレポートを紹介していきたい。
【ポイント1】現状判断DIは前月比7.6ポイント上昇で15.5
5月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比7.6ポイント上昇し15.5と、統計開始以来最低となった先月から回復し、最悪期を脱したとみられる。
ただ、同DIは依然として歴史的な低水準にあり、5月中の経済活動の再開がかなり限られていたことを示唆している。項目別では家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てにわたって上昇したが、反発は大きくなかった。
先行き判断DIも前月比19.9ポイント上昇し、36.5となった。2月以降の落ち込みの8割程度を取り戻し景気先行き懸念が和らいでいることを示した。項目別では家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てで上昇し、給付金の効果など、経済対策の影響への期待が伺えた。
【ポイント2】現状コメントは「コロナ・肺炎」が減少
街角の声をより客観的に分析する、三井住友DSアセットマネジメント独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、ネガティブな単語の使用比率がポジティブな単語を8カ月連続で上回ったもののその差は縮小した。「コロナ・肺炎」が大きく減少し、「休業」の減少も目立ったが、不安にかかわる用語は依然高水準で推移している。
先行き判断でも不安にかかわる用語は依然高水準だが、ポジティブな単語がネガティブな単語の使用比率を5カ月ぶりに上回った。
(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができる。
【今後の展開】ウィズコロナの経済再開、感染再拡大に注意
内閣府は「街角景気」について、「極めて厳しい状況にある中で、さらに悪化している」から「極めて厳しい状況にあるものの、悪化に歯止めがかかりつつある」に上方修正した。
先行きについては「厳しさが増すとみている」から「厳しさが続くものの、持ち直しへの期待がみられる」に変更された。「街角景気」は厳しさの中に明るさがみえ始めたが、引き続き感染再拡大に配慮した行動が求められる。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント株式会社
構成/こじへい
こちらの記事も読まれています