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親に万が一の事があった時に知的障がいのある子どもを守る方法「民事信託」

2020.06.14

親の方が知的障がいを抱える子どもより先立つ可能性が高く、親にとって残される子どもの生活が心配になります。親に万が一のことがあっても、子どもが生活に困らないようにしておく方法の一つとして、民事信託が挙げられます。

何もせずに親が亡くなるとどうなる?

何もしない場合、重い知的障がいのある子がいる夫婦に万が一があったとき、相続時には重い知的障がいがあることから本人は遺産分割に参加できません。このとき、成年後見制度で家庭裁判所から選任された法定後見人が参加することになります。例え、遺言により相続してもその場合も法定後見人が全て管理することになります。この後見人は自由に外すことができません。

なお、家庭裁判所が誰を後見人に選ぶのかは、本人の事情等を勘案して、親族または本人の親族以外で、法律・福祉の専門家、法人が選ばれることもあります。専門職が後見人になる場合には報酬を支払う必要もあります。

親族以外が後見人に選ばれるのは、本人の事情を考えてのことであり、例えば親族が遠方にしかいない場合は社会福祉士を選定、一方で本人の身の回りのことは親族が行い財産管理は弁護士が行う複数選定など様々な事情を考えて選定されます。

ただ、選定された後見人が必ずしも親身になって財産管理等行ってくれるかどうかは分かりません。そういうときは、家庭裁判所にその旨を伝え、家庭裁判所から後見人に指導してもらうことは可能ですが、継続して親身になってくれるかどうかは分かりません。また、後見人は被後見人の財産の保全が大前提となっているため財産は全て家庭裁判所の監督下に置かれ、被後見人の自宅のリフォーム等の大きな支出には家庭裁判所の許可が必要となり、被後見人の家族のためなど被後見人以外のための支出等は認められなくなります。そのため、成年後見制度を使わずに、できる限り子どもが豊かに暮らせるようにしておきたいものです。

民事信託とは?

平成19年より信託法が改正され、信託銀行などではなくても営利を目的(商業信託)としない民事信託ができるようになりました。

委託者(親等)→受託者(兄弟、親戚等)→受益者(知的障がいのある子ども)

民事信託とは、委託者が受託者に民法上所有権が移転され(所有権は移転されるが財産管理のみ行う)、受益者のために財産管理を行う旨の契約です。信託契約を成立させるためには、委託者と受託者との間で契約締結し、受益者は必ず必要とはなりません。「信託契約書」を作成すると良く、信託契約は委託者の死亡時からとすることもできます。そして、終身保険等の死亡保険金に対して設定することも可能です。また、受託者を親族ではなく信託銀行にして定期的にお金を渡すということもできますが、この場合信託銀行に手数料がかかります。

民事信託の場合、民事信託された資産から、受益者の生活費や医療費、施設利用費などを支払うことができます。また、受益者に万が一のことがあったときに、遺言不要で管理者である受託者に財産を相続させることもできたり、お世話になった施設やボランティア団体等に寄附したりすることもできます。

民事信託は、委託者の死亡時とする信託ではない場合には贈与税の対象となり受益者(障がいのある子)に贈与税がかかります。なお、障がいのある子への贈与は「特別障害者は6,000万円まで」「特別障害者以外の特定障害者は3,000万円まで」贈与税が非課税となります。一方、委託者の死亡により民事信託の契約の効力が発生する場合には、相続税の対象となります。

相続税においても障害者の税額控除があります。

「一般障害者は10万円×満85歳になるまでの年数」「特別障害者は20万円×満85歳になるまでの年数」(1年未満は切り上げ)を相続税から直接差し引くことができます。

例えば、特別障害者に該当する障がいのある方が60歳のときに相続すると、20万円×25年=500万円の相続税を控除することができます。

500万円の相続税というと、相続資産から基礎控除3,000万円+相続人の数×600万円を差し引いた課税遺産で相続分が3,500万円だったときの税金であるため、1人残された子どもが全て相続するとなると7,100万円にかかる相続税になります。

他に相続人がいて、この税額控除を引き切れないときは、親族等の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

民事信託のメリット・デメリット

メリットは、知的障がいのある子のために親が思うように資産を引き継ぐことができます。また、受託者として財産管理を任せる親族等に受益者が亡くなった後に資産を相続することができます。知的障がいのある子だと遺言を残せないため、相続したい先に相続できない可能性もありますが、民事信託で相続先を一次、二次と先々まで資産を引き継ぎたい先を決めることができます。また、後見制度より柔軟に障がいのある子のためにお金の使い道を決めることができます。

デメリットはありませんが、死亡により民事信託の効力が発生する場合には他の相続人の遺留分侵害しないようにすることや、効力発生時に税金が発生するため税金についても考慮しておくことが必要です。

また、民事信託はあくまでも財産の管理・処分のみとなるため、障がいのある子が契約行為を行おうとすると後見人の申し立てが必要になることもあります。

さらに、受託者は善管注意義務があり財産管理を数十年に渡って行わなければいけません。通常期待されるべき財産管理を行わないと賠償義務を負うこともあります。そのため、頼みたい兄弟・親戚等が受託者を引き受けたくないと言われてしまう可能性もあります。

障がいのある子どもがお金の心配がないよう豊かに暮らせるよう、民事信託を一つの手段として考え、弁護士や司法書士、信託銀行などの専門家に相談してみましょう。

文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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