
2020年、新たなファッションの選択肢として自然へ配慮したサスティナブルファッションの話題をよく耳にするようになった。特に、自然由来の素材や廃棄物を使用して作られるフットウェアにより一層関心が集まっていると感じる。
とりわけ、今回紹介する『オールバーズ』は、2016年の誕生以来シリコンバレーを火付け役に瞬く間に世界中で話題となったサスティナブル系フットウェアブランドだ。
今年1月には日本上陸を果たし、私たちにとってより身近な存在になりつつある。
そんな『オールバーズ』の人気は、デザイン、快適性はもちろん、徹底したサスティナビリティへの取り組みが共感された所以だといえる。
では、近年のサスティナブルファッションに求める3本柱を揃えた『オールバーズ』のエコシューズとは一体どんなモノで、どんな取り組みを行っているのだろうか。
デザイン、快適性、サスティナビリティ。『オールバーズ』が生んだ「エコシューズ」
『オールバーズ』のエコシューズを一言で表すなら「柔らかな羊毛から作られた、世界で最も快適なシューズ」だ。だが、こだわったのはもちろん履き心地だけではない。
まず、『オールバーズ』は製造から廃棄において「温室効果ガスをゼロにする」という目標を掲げている。そのため、自社製品におけるカーボンフットプリント(CO2e)、いわゆる「製品を作るために排出されるあらゆる温室効果ガスの排出量」を測定し、ECサイト上に開示している。
カーボンフットプリント排出量ゼロを目指すための、新たな取り組みだ。
一般的なシューズは12.5kg CO2e、『オールバーズ』の「エコシューズ」は平均7.6kg CO2eのカーボンフットプリントを排出しており、すでに約40%の排出量削減を実現している。
7.6kgCO2eのカーボンフットプリントを排出した場合の目安は以下の通り。
・車で約30km走行した場合
・洗濯乾燥機を5回行った場合
・22個のチョコレートバーを作った場合
・スマホ充電の967回分
普段の生活の中で排出されるカーボンフットプリントの数値に例えると、エコシューズのカーボンフットプリント排出量にもまだまだ課題はあるかもしれない。
だが、約40%の排出量削減がどれだけ意義があることかも同時に解ってくる。
「メリノウール」による自然への配慮
合成素材の使用が主流の靴産業において、『オールバーズ』は持続可能な自然素材を使用することにこだわった。そこで選ばれたのが、ニュージーランドで飼育されているメリノ種と呼ばれる羊から刈り取った「メリノウール」だ。この毛髪のたった1/5の太さの羊毛「メリノウール」から靴用の革新的なウール素材が開発され、エネルギー消費量の削減を実現した。
「メリノウール」はその持続可能性だけでなく、優れた通気性や温度調節機能、チクチクしない柔らかな肌触りも好評だ。
他にも『オールバーズ』のサスティナビリティな取り組みは広範囲にわたる。
靴ひも2本は1本のリサイクルボトルから生まれる
ニットの耐久性を高めるために古いナイロンを再活用
インソールのクッション性を向上するために自然素材であるヒマシ油を使用
梱包材はリサイクル段ボールから作られる
金具は「砂糖を食べるユニークな微生物」ことバイオTPUから出来ている
そのほか、サトウキビから作られるSWEET FORMやユーカリの木から作る繊維「テンセルリヨセル」など、枚挙にいとまがない。
開発した素材はオープンソースにして、さらなる革新につなげる
自然への配慮に尽力する『オールバーズ』は、独自に開発した素材をオープンソースにしている。需要を喚起し、費用を抑え、研究を発展させ、さらなる革新につないでいくためだ。中でも、ミッドソールに使われているSWEET FORMは、すでに100社以上の企業が使用しており、地球環境への負荷を下げることにつながっている。
『オールバーズ』の揺るぎない信念がもたらした、頼もしい結果のひとつだ。
こちらの記事も読まれています