人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

バンコクへの貨物便として運航を開始したJALグループの国際線LCC「ZIPAIR」就航レポート

2020.06.07

■連載/鳥海高太朗のTRAVEL HACKS!

6月3日に貨物便として運航を開始したJALグループのLCC「ZIPAIR」

当初は満員のお客様を乗せて、5月に成田からバンコクへ就航する予定だったJALグループが設立した国際線に特化したLCC(格安航空会社)の「ZIPAIR」が、新型コロナウイルスによる各国の入国制限により、就航を延期していたが、6月3日に思わぬ形で運航を開始することになった。その思わぬ形とは乗客なしで貨物だけ搭載する貨物便として就航することになったのだ。お客を乗せずに貨物便で運航するLCCはおそらく初めてだろう。

ZIPAIRはLCCでは珍しいボーイング787型機

一般的なLCCは、片道4~5時間以内の路線が一般的で使用する飛行機もエアバスA320型機やボーイング737型機などの小型機で180名程度の座席数になっているが、ZIPAIRは国際線中長距離LCCということで東南アジア、ハワイ、そして北米への就航を計画していることから、航続距離が短い小型機ではなく、中距離で燃費効率が高くお客様も沢山乗せることができる中型機のボーイング787型機で運航することになった。座席数も290席搭載されているほか(うち12席はビジネスクラス相当のZIP Full-Flat)、この787型機は貨物スペースもたっぷりあり、最大45トンの荷物の搭載が可能となっている。

国際線中長距離LCCということで、機体もかつてJAL機として活躍したボーイング787型機で運航する

エコノミークラスに相当する「Standard」(272席)

ビジネスクラスに相当する「ZIP Full-Flat」(18席)

■貨物便として最大20トンの荷物をタイへ

現在は各国の入国制限が続いており、ZIPAIR最初の路線となるバンコク線も少なくても6月中は旅客便の運航を認めないことが決まり、乗客を乗せての運航が難しい中で、6月3日から貨物専用便として週4往復で成田~バンコク線で運航を開始することになった。バンコクまでの飛行時間は約6時間半ということで燃料の関係もあり、実際に貨物が搭載できるのは約20トンとなる(飛行機自体は45トンまで搭載可能)。初日となった6月3日の成田発ではタイ向けの機械部品、化学製品(石鹸や洗剤など)を日本から13トン、バンコクから成田への便ではハードディスクなどの機械製品など17トンを搭載となった。貨物コンテナを飛行機に積み込み、出発前にはZIPAIRの社員が機体前や展望デッキなどに集まり、お客を乗せずに貨物だけの貨物便という門出になったが初便出発を見送った。

日本からはタイ向けの機械部品や化学製品など17トンを搭載した

そして、17時35分過ぎに初めての商業運航となるZIPAIR51便がバンコク・スワンナプーム空港へ向けて離陸した。

出発準備を終えて滑走路へ向かうZIPAIR機

バンコクへ向けて成田空港を離陸した

ハワイへの就航も計画

貨物については全額出資をしているJALが受託した貨物をバンコクへ運ぶことになる。日本~タイ間の定期便のほとんどが運休状態で、運べる荷物の量に制限があるであることからZIPAIRに白羽の矢が立った。ZIPAIRにしても飛行機を寝かすよりは貨物便で収入を得ることで経営面でも大きいほか、運航実績を積まないと就航が難しい念願のアメリカ路線就航も意識している。

ZIPAIRの西田真吾社長は、「旅客便としての運航へ向けて準備してきたが、今できることがあるだろうと考えたなかで、我々は787という貨物を十分に運べる飛行機を持っていて、パイロットの準備もできている。空港のグランドハンドリングの体制もできていることから、貨物を運ぶぞということを社員に相談した。エアラインですので、飛行機が飛ぶということが好きで入社をしているメンバーが集まっており、前向きに捉えてくれたことで、貨物便という選択をした」と話した。

就航にあたり抱負を述べるZIPAIRの西田真吾社長

また10月25日からスタートする冬ダイヤから成田~ホノルル線への就航を目指しているがその点について西田社長は「ホノルル線就航の意思表示をさせていただいている。ETOPS(洋上飛行に必要な認可。これがないと北米線には就航できない)の認可をいただく上で飛行の経験を積むことと、パイロットの養成をしていく必要があり、この観点からバンコク線へ貨物便で飛ばす事でプラスの効果がある。ハワイへは10月25日を目指しているが、ただこういう状況なので、アメリカの政府機関のほうも職員が在宅でやっていることもあり、通常よりも手続きに手間がかかると思う」と話し、新型コロナウイルスによる影響で当初よりもホノルル線の就航が遅れる可能性も示唆した。

当初は5月にバンコク線に就航したのち、7月1日にはソウル(仁川)、10月25日以降にホノルル(現段階では就航する表明のみ行っている)と具体的には3都市への就航予定が明らかになっている。まだまだ先が見えない状況の中で、当分は成田~バンコク線の貨物便としてお客様ではなく、荷物を載せる状態が続くことになる。

初便を楽しみにしている人へのメッセージ

最後に初便を楽しみにしている人に対して西田社長からメッセージをもらった。

「現時点では旅客便として運航することは叶いませんでしたが、ご期待をしていただいている皆様にはそのご期待に十分応えるだけの準備期間を更にいただいたと思っております。航空券の販売が始まりましたら我々のホームページに訪れて欲しいです」と話した。航空券の販売開始をしばらくは待ちたいと思う。

取材・文/鳥海高太朗
航空・旅行アナリスト、帝京大学航空宇宙工学科非常勤講師

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年7月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録はミクロの世界を楽しめる「90倍スマホ顕微鏡」!特集は「家ナカ オフィス改造計画」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。