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便秘気味の人は快便の人に比べると脳が働いても「空回り」状態になっていた!?

2020.06.08

数日間も便が出ない、お腹が痛い、便が硬い、残便感がある……このような便秘の症状に、日常的に悩まされている人は多い。

便秘とは、大腸の機能の状態によって大きな影響を受ける不調だ。現代人にとってあまりにも身近な症状であるためか、体質・体調の問題として片付けられがちで、しっかりとした予防・改善の取組みがされないまま、結果として生活の質および仕事の生産性の低下につながってしまうことも危惧される。

そこでこのほど、杏林大学の古賀良彦名誉教授監修の下、脳科学的視点を含む多次元的方法を用いた、「便秘が生産性に与える影響の検証試験」が実施された。

その結果、便秘の人は快便の人に比べて、気分が落ち込み、やる気が低下した状態で、注意力や記憶力を必要とする課題のパフォーマンス(とくに計算課題の達成数、正答数)が低いこと、さらに前頭葉は一生懸命活動しても「空回り」している状態になっていることがわかった。

これらの結果は、便秘は人の心理状態から脳機能まで幅広くネガティブな影響を及ぼし、生産性を低下させる可能性があることを示すもの。現在、わが国では生産性の向上が強く求められているが、本検証で得られた結果は、食の改善や運動などを通じ積極的に大腸ケアを行い便秘を改善することで、生産性向上にも貢献できることを示唆するものと考えられる。

以下に「便秘と生産性に関する検証試験」の結果を詳しく紹介していく。

1.アンケート調査による心理状態の自覚的評価検証

VAS*2による評価を見てみると、便秘群は快便群に比べて、集中力、やる気、爽快感、リラックス感が低く、反対に眠気、緊張感、疲労感、イライラが高い状態だった(図1)。

*2:VASは「Visual Analog Scale」の略で、自覚的な心理状態を線分の長さで回答し数値化するアンケート手法。

POMS2*3による測定結果を見てみると、便秘群は快便群と比べて、怒り・敵意、混乱・当惑、抑うつ・落ち込み、疲労・無気力、緊張・不安に関するスコアが高く、活気・活力、友好に関するスコアが低く、総合的な気分(TMD得点)もネガティブな状態だった(図2)。

これらVAS、POMS2の2つの測定結果から、便秘群は課題遂行直前の時点で高い生産性(パフォーマンス)が発揮されにくい心理状態にあったといえる。

*3:POMS2は7つの尺度(怒り、疲労、緊張など)とネガティブな気分状態を総合的に表す「TMD得点」から気分の状態を評価する、心理学分野で一般的に使用される質問紙によるアンケート(本試験では成人用 短縮版を使用している)。

2.課題遂行の成績(パフォーマンス)

計算課題*4と記憶課題*5という2種類の課題を行って、さらにその成績(パフォーマンス)を比較する調査が行われた。ここでは便秘群と快便群の差が顕著だった計算課題の結果を示していく。

便秘群は快便群に比べ、両課題とも成績が低く、とくに計算課題では達成数、正答数ともに成績が低い傾向があった(図3)。

*4:本試験では計算課題として、内田クレペリン検査用紙が使用され、一桁の数字の加算作業が3分間連続して行われている。

*5:本試験では記憶課題として2バック課題(一定の数字が提示された2つ前に提示された数字を記憶しておき、それが偶数ならばボタンを押す課題)が用いられた(連続3分間)。

3.自律神経機能(心拍変動解析)

上記2種の課題を遂行している間の自律神経機能が心拍センサーでモニターされ、解析が行われた。

計算課題遂行中の自律神経の状態が心拍測定装置(ウェアラブル心拍センサーWHS-1:ユニオンツール社)により測定され、LF/HF値*6が求められた。結果をみると、快便群の方が自律神経(交感神経と副交感神経)のはたらきのバランスが良く、課題の遂行に適した程よい緊張感が保たれていることがわかった(図4)。

記憶課題についても、計算課題時ほど顕著ではないが、同様の傾向が確認されている。

*6:LF/HFは心拍変動の解析により求めた低周波成分LFと高周波成分HFの比で自律神経のバランスを示す。

4.光トポグラフィ(NIRS)による脳の前頭葉機能測定

光トポグラフィ装置(OEG-16:スペクトラテック社)により、前記2課題遂行時の前頭機葉機能が測定された。これは課題を行っている際に前頭葉16部位の酸素化ヘモグロビン濃度の変化を測定することで、活性度を詳細に評価するために行われた。

脳の前頭葉の活動の状態を反映する光トポグラフィ画像をみると、計算課題、記憶課題ともに、便秘群は快便群と比べて前頭葉がより活性化している(濃い赤の部分が多い)ことがわかる(図5)。

課題の成績(パフォーマンス)は、快便群よりも便秘群で低くなっていた(図3)ことから、便秘群は前頭葉が一生懸命働いても、それが結果に結びついていない、いわば“空回り”ともいえる状態にあることがわかる。

逆に言うと、快便群は便秘群と比べて、省エネで同等以上のパフォーマンスを発揮しているという見方もできる。

参考 課題遂行中の酸素化ヘモグロビン濃度(0-180sec)

課題遂行中の前頭部16部位の酸素化ヘモグロビン濃度を見ても、ほとんどの部位で便秘群が快便群よりも高くなっており、脳は一生懸命働いている(しかし“空回り”している)ことがわかった(図6)。

■杏林大学 古賀良彦名誉教授コメント

杏林大学名誉教授 精神科医
古賀良彦氏

昭和46年慶応義塾大学医学部卒業。昭和51年杏林大学医学部精神神経科学教室に入室。その後、平成2年に助教授、平成11年に主任教授となり、平成28年より現職。日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長、日本薬物脳波学会副理事長、日本臨床神経生理学会名誉会員などを務める。

「大腸劣化」対策委員会が、便秘の自覚症状がある有職男女約300名を対象に行った「便秘による生産性低下に関するWEB調査」により、便秘を有する人は、「疲れやすさ」や「肩こり」、「口臭が臭くなる」、「頭痛」といった自律神経症状を含むさまざまな不調を複合的に示し、それと関連して仕事のパフォーマンスの低下を自覚しているという結果が得られています。

本試験は、便秘群7名、快便群7名からなる計14名の女性を対象に、心理測定、パフォーマンス評価、自律神経機能測定、光トポグラフィによる脳機能の測定を行い、便秘によるネガティブな作用を多次元的に求めることによって、便秘が生産性に与える影響を検証しようというものです。

その結果、便秘群では多岐にわたる心理的な不調がみられ、おそらくそれらと関連して、とくに計算課題にみられたように、パフォーマンスの低下が観察されました。その背景には、自律神経の軽度のバランスの変化が存在し、さらに前頭葉機能にも「空回り」と表現されるような、省エネとは逆の働きが生じているという結果も得られました。

前頭葉は、中枢のなかの中枢と言われるように、非常に高次な機能を営んでおり、中でも記憶や注意、そして意欲などの機能を司っていることはよく知られています。今回みられた前頭葉機能の過活動は、心理的には注意集中や意欲の低下として表現され、パフォーマンスとしては計算課題の成績低下に表される結果の背景となる前頭葉機能の変化を反映しているとも考えられます。

自律神経機能のバランスの軽度の不調が情緒や身体機能に影響を与え、それも課題遂行のパフォーマンスを低下させているとも考えられます。

小規模な試験の結果から、大胆な推測をすることは控えなければなりませんが、便秘という最もよくみられる身体的な不調が、心理、生産性、そしてそれをつなぐ自律神経の機能、さらに背景を成す脳のはたらきに影響を及ぼすという結果には注目し、さらに検証を重ねていく意義があると思います。

<検証試験概要>
試験名 : 便秘と生産性に関する検証試験
目的 : 便秘群と快便群で心理状態、パフォーマンス、自律神経
機能、光トポグラフィ装置による脳機能の測定を行い、便
秘群と快便群との相違を多次元的に検証する。
調査対象 : 30~50歳代の有職女性14名(平均年齢43.9±7.6歳)
便秘群7名(便秘の自覚があり、排便が週に3回未満)+快便群7名(便秘
の自覚症状がなく、排便が週に5回以上)
調査期間 : 2020年3月14日(土)・15日(日)
試験監修 : 杏林大学名誉教授 古賀良彦
試験協力 : (株)スペクトラテック代表取締役 大橋三男
十文字学園女子大学准教授 小長井ちづる

出典元:「大腸劣化」対策委員会

構成/こじへい

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