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iPS細胞でパーキンソン病の症状改善、米ハーバード大学医学部付属機関研究

2020.06.05

iPS細胞でパーキンソン病の症状改善

パーキンソン病患者由来の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた幹細胞治療で、患者の症状がわずかながらも改善したという研究結果を、米ハーバード大学医学部の付属機関であるマクリーン病院分子神経生物学のKwang-Soo Kim氏らが「New England Journal of Medicine」5月14日号に発表した。

この治療は、患者自身の皮膚細胞から作製したiPS細胞を、神経細胞に分化させて脳に移植したもの。治療前には急速に悪化していた症状は、移植から2年でわずかに改善して安定化しただけでなく、有害事象も起こらなかったという。

パーキンソン病財団によると、米国のパーキンソン病患者数は約100万人と推定されている。発症原因は不明だが、進行すると、運動や感情の制御に関わる神経伝達物質のドパミンを産生する細胞が失われていくことが分かっている。

主な症状は手足の震えやこわばり、協調運動障害などだが、抑うつ症状や興奮、記憶力や思考能力の低下なども見られ、いずれも時間経過とともに悪化する。薬物治療などで症状を軽減することは可能だが、完治には至らない。

Kim氏らはまず、パーキンソン病患者の皮膚細胞から、さまざまな細胞に分化する能力を持つiPS細胞を作製。ドパミンを産生する神経細胞に分化させた後、患者の脳に移植した。

なお、患者由来の細胞を用いるこの治療法は、拒絶反応を起こさないため、免疫抑制剤も必要ないというメリットがある。

その結果、治療から2年後の画像検査で、移植した細胞はまだ生きており、神経細胞として正常に機能していることが分かった。

また、治療後すぐに生活の質(QOL)の指標に改善が見られ、歩幅が伸び、再び水泳や自転車に乗ることもできるようになった。

Kim氏は「症状の改善はわずかだが、治療前には急速に症状が悪化していたにもかかわらず、治療後には病状の悪化が止まった」と説明。

ただ、症例数がこの一例に限られているため、この治療法が実現可能であると結論づけるのは時期尚早だ。同氏らは「今後、症例数を増やした臨床試験で検証したい」と述べている。

一方、この研究には関与していない、パーキンソン病財団の最高科学責任者を務めるJames Beck氏は、今回の報告に対して慎重な見方を示している。その理由の一つは、少なくとも現在の技術レベルでは、多くの患者にこの治療法を適用するのは難しいとみられる点だ。

また、「それ以前に、この治療法が患者にとってどこまで有益なのかも不明だ」と同氏は指摘している。

さらに、治療直後からQOLが改善した点について、Beck氏は、“プラセボ効果”の可能性を指摘。ドパミンに作用する薬剤は、運動機能障害以外の症状には効果をもたらさないことから、「ドパミン産生細胞の移植も全ての症状を改善する特効薬とはならない可能性も考えられる」と述べ、この治療法がパーキンソン病の進行を遅らせるというエビデンスはまだ得られていないことを強調している。

Kim氏によれば、幹細胞治療には、移植する細胞の量や治療のタイミングなど解決すべき課題は多いという。

前出のBeck氏も「移植した細胞が機能し続けるのか、あるいはどこかの時点で機能しなくなる可能性があるのかといった疑問もある」と指摘。また、「この治療は、2施設の高度な医療機関が共同研究として行ったもので、米食品医薬品局(FDA)の承認も受けていない」と同氏は付け加えている。(HealthDay News 2020年5月13日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1915872?query=recirc_inIssue_bottom_article

Press Release
https://www.mcleanhospital.org/news/novel-treatment-using-patients-own-cells-opens-new-possibilities-treat-parkinsons-disease

構成/DIME編集部

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