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オンライン取材を続けて気づいたうまくいくケースといかないケース

2020.06.04

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、私が4月上旬から現在に至るまでに、在宅勤務や会社の職場で仕事をする企業(25社程)の社員(通算で30人程)をオンライン取材し、気がついたことを紹介したい。特に取材が上手くいかなかったと思えるケースに絞る。今後、読者諸氏が自宅もしくは社外から上司や同僚、社外の取引先担当者や顧客とオンラインでの打ち合わせや面談をする際に、参考にしていただきたい。

声がクリアに聞こえない

 これは、大手メーカーの社員(40代男性)のことだ。会社の会議室で、ノート型パソコンの前に座る。ただし、2メートル程離れている。そこからパソコンの画面を見て、私と話し合う。しかも、マスクをしていた。さらには、時々、椅子を後ろへ引く。パソコンからさらに離れ、2.5メートル程離れてしまうのだ。この時、声はクリアに聞こえなかった。何かを言っているのだが、はっきりとは聞こえない。

 社員の横に同席する広報担当に、私から「マスクを取り外してほしい」「椅子を後ろへ引かないでほしい」「パソコンの50センチほど前まで近づいてほしい」と依頼する。だが、広報担当は社員になぜか、言わない。おそらく、入社年次や職位がはるかに上で、言いにくいのだろう。そこで私から直接、社員に同じことを話し、お願いする。数分間はやや前に来るが、クセであるのか、また後ろへ下がる。マスクは外さなかった。取材を終えた後、ICレコーダーで収録した音声を確認したが、全体の4割は聞き取れなかった。面談形式の取材で、このような問題はまず生じない。

一方的に話す

 オンライン取材の場合、面談形式の取材よりも、相手は一方的に話す傾向がある。政治家の演説のように、3~5分程話し続けるケースが目立つ。特に取材に慣れていない中小企業やベンチャー企業の担当者や役員、社長だ。こちらに配慮することをあまりしない。

 通常、面談形式の場合、私がその長い話のどこかのタイミングで間に入り、流れを変えるようにする。だが、オンラインではその突っ込みのタイミングが難しい。相手はパソコンの画面に顔を近づけ、熱心に話し続ける。こちらのことをわかっていない。面談形式ならば、互いに顔の表情やしぐさ、雰囲気から「自分の話が長くなっている」と感じ取ることができる。オンラインに慣れていない人は、それがなかなかできないのかもしれない。

話に脈絡がない

 一方的に話すから、こちらの求めている内容にならない場合がある。そこで私が質問をして切り返すと、今度はそれに一方的に答えようとする。さらに、私がそれを止めるために質問をする。また、同じ調子で答える。この繰り返しが数回続くと、話の流れや内容はめちゃくちゃになる。それで予想外のおもしろい内容になるといいのだが、その可能性は相当に低い。

 オンラインの取材では、事前に広報担当者と取材の内容や質問事項、こちらが求めている内容や求めていない内容について細部まで詰めておくことが大切だ。できれば、質問事項に関する内容に関する資料をメールであらかじめ送ってもらえるように依頼したい。たとえば、在宅勤務をテーマにするならば、在宅勤務制度の概要や制度制定の経緯、現状、課題をまとめた資料やデータをいただくようにするのだ。それをきちんと確認し、予習を念入りにしたい。オンラインの取材の場合、質を高める成否の分岐点は事前の準備や段取りに尽きる。

心の奥深くにあるものを話す人は少ない

 オンライン取材は、相手とこちらが事実の確認をする場合には、大きな効果を発揮する。たとえば、人事制度改訂がテーマだとする。その時、改訂の背景や経緯を資料やデータをもとに「ここは、このような考えだったのですね」と確認するケースだ。この場合も、事前に資料やデータを入手しておきたい。

 ところが、相手の心や表情から何かを感じ取り、深くえぐるような内容を聞き取るのは実に難しい。たとえば、ヒューマンドキュメントのような記事だ。これは、私も自信がない。考えてみると、当たり前なのかもしれない。相手は私の問いに答えるのだが、向かい合うのはあくまでパソコンなのだ。まだ、オンラインが本格化して日が浅いから、パソコンを前に心の奥深くにあるものを明確に話す人は少ないのではないだろうか。

 私が、この2か月近くでオンライン取材した企業は限られている。今後、その数を増やしていきたいが、現時点で言えるのは、オンライン取材に適していない内容のものが間違いなくあること。それは、他の商談や打ち合わせにも当てはまることではないか、と思う。読者諸氏は、オンラインをどのように使っているのだろう。

文/吉田典史

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