
新型コロナウイルス感染拡大の混乱が続く中、JRをはじめ鉄道各社はひとびとの暮らしを支えるために、日夜車両を走らせ続けてくれている。
そんな鉄道各社には、意外と知られていない謎・不思議があるのをご存じだろうか。たまごや魚を育てているJRや、山手線E235系で行われている季節感あふれる表示など、ちょっと人に教えたくなる鉄道トリビアをご紹介しよう。
たまごや魚を育てているJRがある!?
運輸業にとどまらず、様々な業種も展開しているJR各社。そんな中、JR九州では「うちのたまご」というたまごブランドを展開している。こちらのたまご、鶏たちの幸せを願ってこだわりの飼育環境で丹精に育てられた鶏が産んだ貴重なたまごなのだ!
JR九州がこのたまごにかける本気度合いは半端なく、その味も絶品! 養鶏場へ直接電話(0948-72-0501/営業時間9:00~16:30 鶏のお世話があるので平日だけでなく土日も電話対応OK!)するか、楽天市場内のこちらのサイトからお取り寄せができるので、まずは卵かけご飯でストレートに味わってみてほしい。朝ごはんに食べればきっと、テレワークの始業を素敵な気持ちで迎えられるはず!
楽天市場で購入できる「うちのたまご」。ちなみに「うちの」とは生産地である福岡県飯塚市の内野という地名から来ている
続いて魚を育てているのはJR西日本だ。「まさか漁船まで保有しているの!」……と想像を膨らませたいところだが、JR西日本が行っているのは漁ではなく、養殖だ。
しかし、ただの養殖ではなく、生育環境や衛生などを徹底的に管理した「陸上養殖」という方式で安全で持続可能性のある魚介類を育てている。その名も「PROFISH プレミアムオーガニックフィッシュ」だ!
現在養殖されているのは、サバ、牡蠣、さくらます、海老、ふぐ、ひらめの6種類で、それぞれが「鳥取生まれの箱入り娘『お嬢サバ』」や「瀬戸内産 塩田わんぱく車海老『とれ海老やん』」といった具合に、シャレががっつり効いたブランド名を持っている。
公式webでは魚種ごとの特徴や魅力、こだわりポイントが紹介されているほかで購入サイトへのリンクも案内されている。時期や魚種によっては、活締め状態でもお取り寄せ可能なのもこだわりポイントだ。
でも、「魚を一匹丸ごとはハードル高い!」という人はPROFISHを使用した加工品もあるのでこちらもチェックしてほしい。どれもJR西日本が本気で育てた逸品ぞろい! おうちごはんの食材として、またお酒のおともにおすすめだ。
こちらがJR西日本が手掛けるPROFISHのラインナップ。西の会社らしく? ネーミングにかなりパンチがある
山手線のE235系。走り去るその姿に風情あり。
全車両が新型車両への置き換えが完了した山手線。E235系と呼ばれる現在の車両は車内の広告に液晶モニターを採用するなど、様々な新技術を誇る革新的な車両だ。
お客さんを乗せながら線路の点検などが行える車両もあり、安全運行を支える機能も兼ね備えている。
このE235系、先頭車の行き先が表示されているところにちょっとした仕掛けがあるのをご存じだろうか。先頭側は普通に行き先が表示されているだけだが、最後尾側は行先表示のほかに月替りで季節の彩りが表示されている。山手線を降りたらすぐに改札に向かうのではなく、乗ってきた列車を見送ってみると少しだけ?季節を感じることができるぞ。
電気を取り入れる「パンタグラフ」が銀座線や丸ノ内線にはないけどどこから取り入れるの!?
電車は走行するための電気を取り入れるために、屋根の上についたパンタグラフという部品で車体に電気を取り入れるのが基本。一方で東京メトロの銀座線と丸ノ内線、大阪だとOsaka Metro御堂筋線などはパンタグラフもトンネル内に電線も見当たらない。
ではどこから電気を取り入れているのかというと、走行用のレールの横にもう一本レール(第三軌条、サードレール)があり、そこに電気が流れており台車まわりに取り付けられている部品から電気を取り入れている。
どの鉄道でも線路内の立ち入りは厳禁だが、第三軌条方式の場合は特に感電の危険性もあるので大変危険! 落とし物などは必ず駅員さんに相談しよう。
ほかにも第三軌条や電線がない路線ではディーゼルエンジンを積んだ「気動車」による運行が一般的だが、最近では車両に蓄電池を積み、その電力で走行するタイプなども登場してきており、鉄道の駆動方式も様々に進化してきた。
JR東日本の豪華寝台列車「四季島」は基本的に電車だが、発電用エンジンを搭載し、ディーゼル区間も走行できる。さらに新幹線用の高電圧が流れる青函トンネルにも対応しており、あらゆる線区へ走行できるある意味「最強の電車」となっている。
車輪が取り付けられている台車のこの部分を、線路脇にある「第三軌条」に当てて集電する
鉄道の免許って全部いっしょなの?
鉄道を運転するには国家資格である「免許」が必要だ。正式には「動力車操縦者運転免許」という。実技はもちろん、車両のメカニズムや電気、法規などの学科試験もある。20歳以上で心身の異常がないことなどが取得の条件となっている。
大手の鉄道会社は自社で免許取得にむけての養成を行う施設があるが、地方私鉄などではこの施設を持っていないため、大手私鉄などに出向して養成を受けて自社に帰ってくるという方式を取っているところもある。
さて、鉄道の免許は大きく分けて、甲種と乙種がある。甲種は専用の敷地を走行する動力車を操縦する免許で、簡単に言えば一般的な鉄道車両のことを指す。一方、乙種は路面電車など車との併用軌道などを走る鉄道車両を運転する免許だ。つまり、路面電車の運転士さんはそのままでは山手線を運転できず、また、その逆もできない。
さらに、電車を運転する「電気車」、ディーゼル車などを運転する「内燃車」、新幹線を運転する「新幹線電気車」と構造の異なる車両ごとに免許は別になる。蒸気機関車もまた別で、「蒸気機関車運転免許」のほかにボイラーを取り扱うためのボイラー技師免許も必要だから大変だ。
電車とディーゼル車が混在していたり、東京都交通局のように甲種乙種両方の鉄道があったりする会社では、複数の免許を持っている運転士さんもいる。
同じ線路の上を走る鉄道だが、その種類によって細かく免許が分かれている。
取材・文/村上悠太
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