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第2波への備えは大丈夫?コロナ禍で顕在化した医療品とエネルギーの深刻な輸入依存

2020.05.25

“コロナショック”をデータで表すとしたら、直近では、今年1-3月期のGDP速報で実質成長率が前期比▲0.9%(年率換算▲3.4%)となったこと。昨年10-12月期の前期比▲1.9%(年率換算▲7.3%)に続いて、2四半期連続のマイナスとなった。
今年4月上旬に緊急事態宣言が出されたので、4―6月期での景気指標は一層悪化する見込み。大量の解雇や求人の大幅減が各地で顕在化している。

ESPフォーキャストは、4-6月期では前期比▲5.9%(年率換算▲21.3%)と、大幅な落ち込みを予想。今年後半からの緩やかな成長を予想しているにせよ、今年度の実質GDPは前年度比▲30兆円弱(民間平均▲5.4%)との予想も出している。

5月22日に発表された4月分の消費者物価指数については、生鮮食品を除く総合指数が101.6(前年同月比▲0.2%)となり、3年4カ月ぶりに下落。原油価格の急落が最大の要因とされているが、コロナショックに伴う活動自粛も、下押しの要因となっている。3月の増減率は+0.4%だったが、4月は大きく落ち込んだ。

コロナショックによる原油価格急落の影響は?

コロナショックによって原油価格が急落した結果、ガソリンは前年同月比▲9.6%、灯油は同▲9.1%。電気代やガス代も下落した。

背景にあるのは、歴史的な原油価格の急落と業績悪化。因みに、米エクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど石油メジャー6社の1~3月期決算は、シェブロンとトタルを除く4社が最終赤字となった。原油価格の急落は、開発・生産の上流部門の採算を悪化させ、在庫や生産設備の評価損を膨張させた。

原油価格は、3月半ばにサウジアラビアとロシアの協調減産協議の決裂を契機として急落。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国は、コロナショックにより、5月から日量970万バレルの減産に合意したが、最大で2000~3000万バレルとされる世界需要の減少とはまだまだ大きな差がある。

話を国内に戻すと、訪日客は激減し、宿泊料は▲7.7%。外出やイベントは自粛により大幅減。昨年秋以降、約1.8%の伸びが続いてきた食品(生鮮食料品を除く)も、4月は+1.3%程度。これらは、需要の冷え込みによる影響と見られている。

緊急事態宣言が解除された後も、物価の下落基調はしばらくの間は続くだろう。原油安の影響も当面続く見通しで、昨年10月の消費増税による物価押上げ効果は、今秋には一巡すると見られる。

原油価格下落には功罪両面があるが、電気代やガス代、ガソリン代の下落が招く物価安は、悪しきデフレではない。化石燃料をほぼ100%輸入に依存せざるを得ない日本では、エネルギー資源の輸入価格の低下は歓迎されるべきもの。

もちろん、輸入依存度を低下させるよう、国産エネルギーを開発・導入していくべきことは、既に半世紀近くもの昔話になったオイルショック(石油危機;1973年、1979年)を教訓とする以上、引き続き当然のこと。だから、様々な問題が惹起されながらも、原子力と再生可能エネルギー(水力、太陽光、バイオマスなど)の推進の旗を降すことはできない。

コロナショックで顕在化した医薬品の海外依存

ところで、今回のコロナショックで初めて大きな話題になったのが、医療品の輸入依存度ではないだろうか?

日本では花粉症が毎年蔓延するので、多くの国民はマスクをし慣れているはずだ。そのマスクだが、国内生産量は2010〜18年の間に3.5倍の約11億枚に増えているが、同時期に輸入量は9.5倍の約44億枚。国内生産比率は、2012〜18年の間は2割前後。

要するに、近年の国内のマスクの8割程度は、海外からの輸入に依存している。コロナショックにより、マスクは日本国内のみならず、世界各国で不足した。日本の場合、8割弱は中国からの輸入に依存している。

他の医療品でも、日本は、輸入依存度は高い状況となっている。日本経済新聞社の調査によると、主な医療品の輸入依存度[輸入元]は、

・不織布(マスク素材) 約40%[中国]
・布マスク 大部分[中国、東南アジア]
・N95マスク 30%[中国]
・サージカルマスク 70~80%[中国]
・人工呼吸器 90%超[欧州、米国]
・植毛綿棒(PCR検査用) ほぼ100%[イタリア、米国]
・医療用ガーゼ 約60%[中国]
・全身防護服 ほぼ100%[中国、ベトナム、米国]
・医療用ガウン 大部分[中国、インドネシア]

となっている。

経済活動がグローバル化しているので、輸入依存度の高さに関しても、その功罪を一概に論じることは難しい。コロナショックで日本もごく最近経験したことで、また、現在でも経験中であるのだが、医療品を自国で賄い切れないことをどう考えるかである。今でこそ鎮静化しているが、マスク価格は一時期かなり暴騰した。

ただ、“第二波”が来たとしたら、どうなるかわからない。

これは日本のエネルギー事情に似ている。オイルショックの際、石油製品が暴騰し、日本経済は大いに傷んだ。それを教訓として、輸入にほぼ完全に依存している石油への依存度を低くしようと、原子力と天然ガスの利用を進めてきた。今では、再生可能エネルギーの導入促進にまで至っている。

「主要国のエネルギー自給率比較」(出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2019」)

原子力と再エネは、国産エネルギーとの位置付けだ。3.11震災以降、原子力は停止“塩漬け”となっているものばかり。再エネは3.11以降、爆発的に拡大してきたが、昨今では立地を巡るトラブルの頻発や、再エネ電気の買取価格の下落、電気代と共に徴収される再エネ賦課金の上昇もあってか、必ずしも好調ではなくなっている。再エネはまだこれからのエネルギーであるが、原子力は成熟しつつある分野。

医療品とエネルギーでは、全く分野の異なるものどうしではあるが、『国産』であることがいかに大事なことか、改めて認識させられた“緊急事態宣言”期間だった。

日本の危機は、こういうところにもあるのだと……。

文/石川和男(政策アナリスト)
政策アナリスト/社会保障経済研究所代表/算数脳育研究会代表理事/一般社団法人NTSセーフティ家計総合研究所運営委員/霞が関政策総研主宰

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