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アップルがロープライスのスマホ「iPhone SE」を発売した理由

2020.05.24

そもそもiPhone SEとは

房野氏:今回のiPhone SEと初代SEで、位置付けは変わっていますか? 初代SEの買い換えの受け皿として今回のSEを作っているのでしょうか。まったく違う考え方で作っているのでしょうか。

先代のiPhone SE

石川氏:基本は一緒です。型落ちというか……前のSEもiPhone 5sをベースにして名前を変えただけ。大量に作っていて、パネルの素材も変わっていると思うけれど、めっちゃ安く作れるものをリブランドして、また売っていく。そういった考え方は共通したものだと思います。今回はiPhone 8の後、9が付けにくいということ、その上はすでに「X」が始まっているので、だったら数字の並びから変えるって際に、SEという丁度いい名称があったということだと思います。ポジショニングはあまり変わらないんじゃないかと思いますが、ただ、価格が安いことは、やっぱりびっくりするポイントだと思います。

石野氏:相対的にコンパクトで、なおかつ、その中に最新のチップセットを入れ、価格も安いという3つが揃っているのがiPhone SEだ、みたいな定義がAppleの中にあるらしいんですよ。考え方は初代SEとまったく同じ。ネット上には「こんなのSEじゃない」って言っている人もいましたけど、そもそもSEというものに特定の形はないので、これがSEなんだなって感じですね。古い筐体に最新のチップセットをギリギリまで詰め込むという魔改造感もあるというか、そういうのがSEのコンセプトなのかなって感じです。

法林氏:初代SEを買った人の中には、4インチディスプレイの最後、コンパクトモデルの最終モデル的な意味合いで買っている人がいた。そうすると、第2世代のSEを見たときに、コレじゃない感を持つ人がいるのは、Twitterを見ていても感じる。それをどういう風に市場が受け入れていくか、評価していくかは見所。そもそもSEってどういう意味なの? という感じがちょっとしてきた。“Second Edition”なのか“Special Economy”なのか分からないけれど、その答えが見えない。

石野氏:なんでしたっけ、“Special Edition”でしたっけ。

法林氏:Appleが言っていたのはそういう名称だよね。でも僕は、形として終わるので“Series End”なのかなって思った。「この形はこれで最後です。この先は出ません」という感じかなと。たぶん、ホームボタンがあってTouch IDが入っていて、画面サイズは色々あるにしても、このUIでこの形状の端末は、これがもう最後。従来SEからの乗り換えじゃなくて、「iPhone 6、7、8も全部含めて、ここが最後ですから、もう終わりにします」っていう意味合いなのかなと。

石野氏:このサイズは長かったですからね。4.7インチディスプレイは本当に長かった。5億台売れているらしいんですよ。一番売れている形だと。長かっただけに受け皿も大きい。未だに「iPhone 6s」とか「iPhone 7」を使っている人は、これに変えると満足できる感じ。形はそのままだけど、カメラがきれいになってアプリがサクサク動くようになっているので、5億人の受け皿と考えると大きいなって思いますね。

iPhone 6s

法林氏:実はチップセットとかディスプレイ周りとか、3D Touchじゃないとか、若干、細かいところはいじっているけれど、外観は寸法から何からiPhone 8と同じ。その資産を引き継いでケースもそのまま使えるし、いいのかなって感じはする。行ける人はiPhone X以降に行けばいいことなので。

石川氏:これからの日本市場を考えると、フィーチャーフォンからの移行の最終手段としては、すごくいい端末だと思います。一方でAndroidメーカーがまた厳しくなっちゃう気がしていますし、下手すると、また日本のiPhoneのシェアが上がっちゃうんじゃないかなって気がします。

石野氏:しかし、よくあのサイズにA13 Bionicを詰め込めたなと思う。熱設計とかも変わるだろうに。

法林氏:本来はね。

石野氏:ちょっとパフォーマンスを落としていたりするのかな、まだそこまで確認はできていないんですけど。1つ残念だったのは、A13 Bionicを積んでいながら、カメラにナイトモードが入っていないこと。非常にショックで謎なんですよ。なぜナイトモードが入っていないのか、明確な回答は戻ってこない(笑)。さっき石川さんが言ったように、Appleとしても、みんなiPhone SEに流れたら困るので、差別化のためにナイトモードあり/なしを残しておいたのかなって、ちょっと感じました。

石川氏:まぁ、でもSEユーザーは、そこまで気がつかないよね。

法林氏:今は自粛で行けないけど、飲み屋に行って隣の人とツーショットの写真を撮ったら、ナイトモードがないカメラだと「なんだこれ」ってことになるわけなので、そこは重要ですよ。iPhoneのカメラの評価を下げているのは飲み屋での撮影。それは間違いない(笑)

石野氏:iPhone 11と撮り比べてみたんですけど、暗い場所で撮るとやっぱり差が歴然。ナイトモードは結構ソフトウェア処理なので、やろうと思えばSEでもできるだろうって思ったんですが、あえて載せないところがちょっとセコいなと思いました。

法林氏:もしかしたらバージョンアップで対応するかもしれないね。

iPhone SEのライバルは?

房野氏:先ほど、Appleの売上がiPhone SEに偏るかもしれないっていう話がありましたが、利益面で考えるとどうなんでしょう。「iPhone 11 Pro」が売れるよりも、SEがたくさん売れた方が実は儲かっちゃったりするんでしょうか?

iPhone 11 Pro

石川氏:いやぁ……

法林氏:それはないと思う。

石川氏:さすがに3倍近い値段差があるので。売れる台数は増えるし、モノとしては非常に安いので、確かに利益率は高いはずだけど、iPhone 11 Proとかが売れた方が、まだ利益率はいいと思います。けれど、ただもう今年は、新型コロナウイルスの影響で、全体的にしっちゃかめっちゃかになると思う。今回はゼロリセットみたいな感じになるので、タイミング的には悪くなかったのかなと。今年はたぶんメタメタになっちゃうので、来年からやり直すという意味でいうと、利益率や販売台数は、あまり重視されないんじゃないかなと思います。

石野氏:iPhone X、iPhone XSでどんどん値段を上げていって、高級路線になったんですけど、去年のiPhone 11で値段を下げているんですよ。その結果として台数は伸びたので、その辺のバランスを見ているんだろうなと。台数が落ち過ぎると上位レイヤーのサービスにも影響が出てくる。App Storeしかり、Apple Musicしかり、そこの売上に影響する可能性が出てくる。高級路線の限界値を試すというか、じりじり上げていって、さすがにマズいか、というところで、だんだん下げているのかなと。そういう実験をしている感じもします。

石川氏:あと、世の中の流れとして今年の秋に5G対応のiPhoneが出るタイミングだと想像しています。すると新型のiPhoneの値段が上がるかもしれない。そことの棲み分けを狙っている可能性はある。

房野氏:iPhone SEのライバルは何でしょう?

石野氏:なんだろう、ファーウェイだったらnovaシリーズ。「nova 5T」とかですよね。価格帯とパフォーマンスも近いといえば近い。

nova 5T

法林氏:Androidスマホだと、ミッドレンジというよりミッドハイくらいの価格帯ですよね。5万円くらいの端末になるので、Galaxyだと「Galaxy A20」じゃなくて、その上のクラス。これから増えていきそうな価格帯の路線になる。実はそのクラスの端末はそんなに多くなくて、Androidはもう1段下、3万円くらいが主戦場になっている。5万円台の端末はそんなに多くない。「OPPO Reno A」も4万円台。もうちょっと上ですよ。「AQUOS sense3 plus」とか「Xperia Ace」かな。

AQUOS sense3 plus

石野氏:Aceはあそこまでパフォーマンスが高くない。“ソニープライス”なんですよね。

法林氏:「Xperia 10 II」だね。

Xperia Ace

石川氏:結構、幅広い層がライバルになってくるんじゃないですかね。

石野氏:そうですね。下手するとハイエンドモデルとも競えちゃう。アプリを動かすという意味だったら、Galaxy Noteとかとも対抗できる。どこを見るかによる。逆にカメラでは勝てない。iPhone SEはCPUに一点突破した安いiPhoneって感じですよね。

法林氏:ゲームとかで高い負荷をかけたときに、どれくらいパフォーマンスが落ちないか注目ですね。求めるものが人によって違う。僕は、今のユーザーはカメラのプライオリティが高いと思うので、実際に撮ってみて、「なんだよ」って話になるかなと。さっき言ったナイトモードも地味に影響してくるのかなって気がする。今はみんな、あまり外に出ないから意識されないけど。そこがちょっと気になります。

石野氏:確かに。シングルカメラなのは、ちょっと引っかかるところかなって感じです。

石川氏:超広角カメラの楽しさはない。カメラについては目をつむらなきゃいけないと思います。

......続く!

次回は、PayPayなどスマホキャッシュレス決済について話し合う予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘

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