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コロナ禍で高齢者雇用の法改正!定年が70歳になる日も近い?

2020.05.23

コロナの陰でひっそりと行われた法改正

 皆さんはご存知でしょうか。新型コロナウイルスが猛威を奮って世の中が混乱している渦中(コロナ渦)に、サラリーマンが70歳まで働ける? 働かされる? 仕組みができたことを。少子高齢化により慢性的な人手不足が続き、そして社会保障の担い手が減ることで若者世代の負担が増加する現状。これらを解決するためには、健康な高齢者を労働市場に止める施策が不可欠です。

 現行法では、国は企業に対して、希望者全員を65歳まで雇うことを義務付けています。そして今回の改正法では、さらに5年間延長して70歳までの就業の機会を確保する努力を求めたのです。当面は「努力義務」ですが、この制度が、もっぱら自社の負担で定年退職した者の就業の面倒を見ることを企業が押し付けられた格好であることは否めません。そのため、国は企業に対して過剰な負担がかからないよう、就業の機会を確保するやり方として、「雇用」という選択肢の他にフリーランス契約への資金提供や起業支援等といったものも認めています。

 新法の施行は2021年4月1日です。コロナ渦でなければ、人手不足の折から、これまでと同様の定年再雇用という形で70歳までの雇用を維持する選択肢をとる企業が多いかと思われますが、新型コロナの感染拡大が企業業績を悪化させている今、来年度の見通しが全く立たない状況下では、大企業であっても新法への対応は難しいのではないか、もしかすると、65歳までの雇用すら危機を迎えているのではないでしょうか。

リーマン・ショックの再来か、いやそれ以上か!

 企業の業績悪化で真っ先に切られるターゲットは、非正規社員です。2008年のリーマン・ショックの時も、製造業の期間工の雇い止め、派遣切りに始まり、3万人以上の非正規社員が職を失いました。東京の日比谷公園で炊き出しが行われていた「派遣村」が幾度となくテレビに映し出されたことを思い出さすにはいられません。

 民間の調査によると、新型コロナにより工場や店舗などの休業や感染防止措置を取るなど、何らかの影響を受けた上場企業は全上場企業の4割超との結果が出ています(帝国データバンク 特別企画:「新型コロナウイルス感染症」上場企業の影響・対応動向調査(〜4月17日))。上場企業ですらこの状況ですので、中小の飲食店・小売店・宿泊業などでは、政府による不要不急の外出自粛要請などを受けて関連倒産も相次ぎ、すでに解雇や雇い止め、契約解除が続出しているとの報道も少なからず見られるようになるなど、コロナ・ショックは着実に広がっているのです。

人件費を増大させる70歳までの就業確保は企業にとってインパクト大だが・・

 そんな中、努力義務とはいえ、今回改正の新法による人件費の増加は多くの企業に重くのしかかります。恐らく、企業からしてみれば「この状況下で来年度のことなど見通しが立つわけないし、対応できるとは思えない」というのが本音でしょう。このまま新型コロナによる生産停止や休業状態が長引けば、今年度中でも、65歳までの定年再雇用者の雇用のみならず正規社員の雇用すら維持できないかもしれないのですから。

 とはいえ、これまでの歴史を振り返ると、コレラにしてもスペイン風邪にしても新型インフルエンザにしても、人類はそれらを克服し、経済を成長させてきました。医療は日進月歩。新型コロナウイルスも、必ずやワクチン・新薬が開発され、怖くはない病になるはずです。また、リーマン・ショックも乗り越えました。縮小・停止していた経済活動も、時間はかかっても徐々に動き出すはずです。

 70歳までの就業機会の確保の施策は、そもそも少子高齢化による人手不足を解消することが目的です。A I等によりある程度カバーできたとしても、働き手がいなければ国力が落ちるのは自明の理。10年後の日本は、人口が約5%減少、労働力となる15歳から64歳の人口も約7%減少、そしてその先も減少傾向は続きます。その一方で、65歳以上の割合は増加傾向。今回の新型コロナによる経済活動の縮小・停止で、一時的に高齢者の就業が確保されないことはあっても、長い目で見れば、働き手のパイを増やさなければならない状況は変わらない、つまり高齢者を活用しなければ日本が立ち行かなくなるということです。

「定年=70歳」の時代がやって来る!

 もし70歳までの就業機会確保の施策が定年70歳時代の到来の布石だとしたら、新型コロナは、労使がそれに対する備えをすべききっかけを作ったのかもしれません。人件費負担が重くのしかかる使用者としては、健康経営にシフトして高齢者にいかに長く戦力として活躍してもらうかを考える必要があるでしょう。

 一方の労働者は、「希望すれば70歳まで働く場所は確保できる」と悠長に構えている場合ではないのです。今回、新型コロナの感染リスクを回避するため大企業を中心にテレワークへのシフトが一気に進み、働き方が大きく見直されました。会社に出勤しなくてもできる仕事はたくさんあるのだということが立証されたのです。逆を言えば、I Tツールを使えず、テレワークによるWeb会議にも参加できない、時代の変化についていけない高齢者には働く場所は確保されない、という厳しい時代の幕開けなのかもしれません。

 ともあれ、まずは新型コロナが早期に終息して、元の生活が1日も早く戻ってくるのを心から祈るばかりです。

文/三戸礼子(みと・あやこ)

社労士。大槻経営労務管理事務所所属。前職が大学の文部技官であり、学生への指導や教授の学会資料の作成サポートなどで培った経験を活かし、「わかりやすい説明・伝わる内容」をモットーに活動。専門分野はライフステージやハラスメントなど。また、実務セミナー講師や執筆活動にも力を入れている。https://www.otuki.info

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