
現金購入は約2割 団塊世代111人に聞いた住宅事情
団塊世代が活躍した時代と現代では、産業や技術の進歩だけではなく、価値観も大きな違いがある。「住宅事情」で比較すると、当時は景気が良かったこともあり、今と比べて圧倒的に戸建て住宅に人気があった。
また、SBIエステートファイナンスが持ち家に住む団塊の世代111人に住宅事情や老後に関しての調査結果を見ると、住宅を現金で購入した人が2割も存在している。
同調査で「あなたが今住んでいる物件のローンはいつ払い終えましたか?」と質問した結果、「50代」が29.9%、次いで「60代」が24.3%、「現金で購入した」が21.5%。50代までに住宅ローンを払い終えた方が61.6%もいたことは、非常に興味深い結果だ。
人生100年時代と言われている一方で、2009年から住宅金融支援機構によって最長50年の住宅ローンが登場し、それを機に、多くの金融機関で40年以上の返済期間の住宅ローンが取り扱われるようになった。
このことを考えると団塊の世代で50代までにローンが完済している割合が6割超というのは、今よりも返済期間がかなり短かったと言えるだろう。
また、比較材料は無いが、現金で住宅を購入した人が、20%超もいることは、バブル景気を経験した世代の特徴かもしれない。
「団塊の世代の老後の資金」についても見ていきたい。
「今後、公的年金以外に、老後資金はどれくらい必要だと思いますか?」と質問すると、「1000~2000万円未満」が24.3%、次いで「わからない」が19.0%、「2000~3000万円未満」が15.0%という結果になった。
この背景には、金融庁が2019年6月3日に公表した金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の内容が世間的に大きく取り上げられ、「老後資金2000万円」問題として話題になったこともあると考えられる。
次にそうした資金への蓄えがあるかどうかを聞いたところ、「ない」と答えた人が6割超の61.7%、「ある」と答えた方が38.3%という結果になった。
「ある」と回答した人に蓄えた方法を聞くと「預貯金」が80.6%、次いで「退職金」が64.5%、「保険」「株式」が38.7%と続く。
「退職金」の割合が多いのは、日本固有の慣行である終身雇用がまだ残っている時期に退職を迎えた方が一定数いたからだと考えられる。また、「株式」の割合が多いのはバブル期の株式投資ブームで、株式投資が身近な存在であり、経験者が多いことが想像できる。
「ない」と回答した人の資金確保についても見ていこう。
「これからも働く」が圧倒的に多く60.0%、次いで「当てがない」が26.0%、「不動産の売却」が12.0%という結果になった。
「これからも働く」という方が多いのは、現在、高齢者を積極的に採用する企業が脚光を浴びてメディアに頻繁に紹介されているなど、老後でも高齢者が働ける環境になっていることが要因のひとつではないだろうか。
また、「当てがない」という方が2割以上いるという点は、非常に興味深いと言える。老後については考えるべきことがまだまだありそうだ。
アンケート回答者:持ち家に住む団塊の世代(70~72歳、2019年12月24日時点)111名
アンケート回答期間:2019年12月24日~2019年12月25日
※すべての回答ではなく回答が有効なものとなる。
回答者の居住地:一都三県
構成/ino.