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識者が本音で評価!楽天モバイルの本サービスの中身

2020.05.20

5Gではどうなる? 衛星通信の利用は?

房野氏:楽天は、5Gに向けてはどうですか?

石野氏:やるんですかね。

法林氏:僕は5Gが楽天の本命の勝負だと思っているので、一応期待はしています。ただ、今の楽天の置かれている状況下で、楽天がもし5Gで、スタンドアロン(コアネットワークも含めて5Gの技術だけでエリア構築を行うこと)になって、ネットワークスライシング(利用用途に応じてネットワークを仮想的に切り分けることができる技術)しますとなったときに、使おうと思う企業が出てくるかどうかは、僕には分からないです。信頼度が大切なので。

石野氏:6月段階では、かなり厳しいですよね、基地局数も。たぶん、ドコモ、au、ソフトバンクで5Gのエリアの狭さにびっくりした以上にびっくりすると思う。

石川氏:既存3社もたいしてエリアが広くないので、差があまりない。まだ楽天はがんばれる感じがする。ただ、やっぱり5Gのエリアを外れたら4Gでつながりますよっていうのが大前提。それが、1回auネットワークにつながっちゃいますよ、というのでは、5Gも活きてこない。また、楽天はワンプランという言い方をしているので、5Gも2980円じゃなきゃおかしいよなって気がしています。

石野氏:MVNOからの移行向けプランがあるので、もうすでにワンプランじゃない。

法林氏:そうそう。実は「スーパーホーダイ」のまま楽天MNOに行けるんだよね。

房野氏:楽天にとって一番の課題は何でしょうか?

石野氏:ネットワーク。基地局数が圧倒的に足りないですからね。ソフトバンクの榛葉さん(ソフトバンク 代表取締役副社長 兼 COO 榛葉 淳氏)も言っていましたけど、桁が2つ、3つくらい違う。それは埋めがたい差だなって感じ。今はつながれば速いけど、これもユーザーが100倍になったときどうなるか。あるいは1000倍になったらどうなるかを考えると、なかなか大変だなという気がしますね。

法林氏:片や既存キャリアは7000万、8000万の人を収容しているネットワーク。それに対して楽天は、5000人や2万5000人で何回か障害があって、これが300万人規模のユーザー数になったらどれだけの問題が起こるのかという話になっちゃう。完全仮想化ネットワークは、技術としてはすごいと思うけれど、信頼度を上げていくのは結構厳しいような気がします。

石野氏:あと、物理的に周波数が足りなくなりそうですよね。

石川氏:この間、900MHz帯の割り当てができそうだという話になっていたけれど、結局あれも、3GPPの規格を満たしていないということなので、楽天に与えても使えない状況になったりする。もったいないなという気もする。楽天の計画では、6年間で基地局を2万7000局しか作らないけど、ソフトバンクが23万局持っているので、楽天が順調に計画通りに作ってもソフトバンクの約10分の1でしかない弱さがある。

あと、(CEOの)三木谷(浩史)さんに振り回されているところもあるのかなと。破壊者的に業界の常識を打ち破る三木谷さんという存在は、アリはアリなんだけど、通信は互いにつながるもの。ユーザーをつなげるものだし、他の会社とつなげるものなので、あまり常識なく動いちゃうと信頼を損なうことがあるのかなって気がします。

法林氏:AST&Science社(AST社)の衛星を使うビジネスに出資する話も、だいぶ無茶な感じがしている。ソフトバンクグループが出資している通信衛星ベンチャーのワンウェブが破綻した話もある。

石川氏:AST社には少し話を聞く機会がありました。AST社の衛星は地上から40~50キロメートル上を飛ぶんだけど、地上のスマホと通信するという話なんですよ。それが理解できない。さすがにそんなに電波が飛ばないだろうって思うんだけど、なぜか楽天とVodafoneが出資している状況。本当に大丈夫なのかなという部分が正直あります。

ソフトバンクのワンウェブはコケたけど、HAPS(成層圏を飛ぶ航空機から提供する通信ネットワーク)の方は地上10キロメートル上空を飛ぶので、ギリギリ電波が届くんじゃないかと思う。ASTが言っているのは、40~50キロメートル上空を飛んでいるけどつながると。基地局の数が少ないから、ワンウェブに比べていいという話もしているし、飛行機の中でもつながると言っている。ちょっと眉唾ものの話なんだよなぁ。

石野氏:あれ、バックホールとかどうするんだろうなと思いますよね。みんな一斉につながっちゃって。

石川氏:たぶん、どこかしらに地上局があって、地上から飛ばすんだと思うんですよ。

石野氏:そこ、相当太い回線がないとダメじゃないですか。それをどうやって確保するんだろうなと。疑問点が多すぎたのに、インタビューでは全然、謎が解消できなかったんですよね。

石川氏:大丈夫かなぁ。あれで地方のエリアをカバーしようと本気で思っているならヤバいぞ、みたいな。

法林氏:例えば出力を高くして衛星側から信号を送れた、仮に電波が届いたとしても、問題は端末側からの電波。そんな上空まで飛ばないじゃんと。

石野氏:そう、送信する必要もありますからね。

法林氏:放送みたいなものじゃなくて双方向だからね。上りもあるから、それはどうするのって話。さすがに厳しいかなって部分はあるかな。技術陣がちゃんと判断できているのか、またそこに仕掛けがあるかもしれないけど、それにしてもまだ未知数だよね。

これから10年経ったら実現できるかもしれないけど、3年では厳しいんじゃないかなというのが本音。だってHAPSもまだ3年くらいだよね。それでまだあの状況なので、それより早い展開でサービスインはさすがに無理じゃないかと思う。

......続く!

次回は、続々登場する楽天モバイルの1Mbpsの速度制限について話し合う予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘

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