
4月は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言発出や外出自粛要請などにより、社会全体の緊張感が高まった1ヶ月だった。
「コロナ禍」と呼ばれるこうした社会的混乱・不安は、生活者にどのような影響を与えたのだろうか?
そこで今回、株式会社ビデオリサーチによる、生活者のライフスタイル、メディアへの態度、消費行動などの変化を探る意識調査が行われたので、その結果を紹介していきたい。
新型コロナウイルス観点での情報接触は“テレビ”が大黒柱
メディアの位置づけでは“積極的に収集する”“わかりやすい”“信頼できる”において、“テレビ”が最も高い。(図表1)
●「コロナ禍」情報×メディアの位置づけ(図表1)
情報に対する意識でも“テレビ”のスコアが最も高く、“最新情報を入手(73%)”“概要理解(70%)”“理解を深める(61%)”においてはインターネット・ニュースより約20ポイント上回っている。(図表2)
●「コロナ禍」における情報やメディアに対する意識 (図表2)
「コロナ禍」不安は自分ゴト、まずは“感染しない”こと
コロナ禍が「不安である」と回答したのは98%。“ウィルス感染対策商品の生産体制(64%)”が最も高い不安ではあるが、社会的混乱や要請による生活変化なども5割以上と高く、複数の不安要素が混在している状況が見て取れる。(図表3・4)
●「コロナ禍」不安度(図表3)、「コロナ禍」不安なこと(図表4)
知りたい情報では“対策商品の生産体制(60%)”が最も高い。他の上位項目においても感染に関わる事柄が多くなっている。また、上位項目では70才以上のスコアが12-69才を上回っており、シニアの感染に対する不安はより大きいことがうかがえる。(図表5)
●「コロナ禍」知りたい情報※参考:70-74才(2地区平均)(図表5)
「コロナ禍」で“動かない”生活になっている
コロナ禍により生活者の約8割に変化が起きており、“とても変わった”が約5割。なんらかの生活の変化を感じている人は多いようだ。(図表6)
・“増えた”時間における最も高いメディア接触は“テレビのリアルタイム視聴(71%)”であり、 上位項目には“テレビ”と“インターネット”を利用した視聴行動が多く含まれている。(図表7)
●「コロナ禍」による生活の変化(図表6)、「コロナ禍」により“増えた”時間(図表7)
「コロナ禍」で“キャッシュレス決済”の利用が促進、“まとめ買い”は2人に1人が経験アリ
増えた”が“減った”を上回る利用については、全体的に“キャッシュレス決済(32%)”の利用が増加。他、12-69才では“インターネットのショッピングモール(35%)”、70-74才では“ドラッグストア(37%)”の利用が高くなっている。(図表8)
“減った”利用では“デパートやスーパーの利用”“大型量販店・ディスカウントストアの利用”が5割以上と突出して高い。また、利用行動の増減を全体的に見た場合“減った”スコアが“増えた”より高くなっており、消費は減少傾向と思われる。(図表8)
●「コロナ禍」で増えた利用/減った利用※参考:70-74才(2地区平均)(図表8)
まとめ買い経験者は約5割。“調理済み冷凍食品・インスタント食品(26%)”が最も高く、上位は食品と衛生商品という結果になった。(図表9)
●「コロナ禍」によるまとめ買い(図表9)
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、“情報”は最も必要で重要なモノであることは言うまでもない。その中で、“テレビ”は最新の情報収集で最も利用され、増えた時間においても上位になっており、私たちの生活に強く根付いていることがあらためてわかる。また、インターネットはテレビに次いで関与が高まっており、重要なメディアになっている状況もうかがえる。
全国への緊急事態宣言により、社会全体の減速モードが続いているが、インターネット・ショッピングやキャッシュレス決済の利用増加など、生活に根付き始めているモノやコトも起きている。思考の転換や工夫が多方面で必要とされる生活の中で、より的確なコミュニケーションの促進が生活者の原動力に繋がるのではないだろうか。
<新型コロナウイルスに対する生活者意識調査概要>
1.調査手法:回答専用タブレットを用いたインターネット調査(ACR/ex調査)
2.対象者抽出方法:ARS(エリア・ランダム・サンプリング)※調査対象者の無作為抽出、インターネット非利用者も含む市場全体を母集団とする設計
3.調査地区:全国7大都市(7地区:東京50km圏、関西、名古屋、北部九州、札幌、仙台、広島)
4.調査サンプル数:Total 12,342s(12-69才:全7地区) / Total 643s(70-74才:東京50km圏・関西)
5.調査期間:2020年4月3日(金)-19日(日)
6.調査対象者:上記調査地区に在住の男女12(中学生)-69才(7地区)および、東京50km圏および関西地区在住の男女70-74才
※当調査結果はACR/ex調査4月調査時点の全対象者で集計。
出典元:株式会社ビデオリサーチ
構成/こじへい
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