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在宅勤務が浸透していくと大きく変わる人事や労務のあり方

2020.05.18

あるあるビジネス処方箋

 在宅勤務が増えると、人事や労務のあり方が大きく変わると思われる。今回は、私が企業取材から感じ取る範囲で、明らかに変わっていくと判断できるものを取り上げたい。

1. テレワークが加速し、働き方改革が進む

 現時点では様々な問題があるのだろうが、在宅勤務を始めたとしたテレワークを導入する会社は増えるはずだ。テレワークは、もともと「働き方改革」の1つのテーマだった。その意味で、これからは働き方改革にも拍車がかかるだろう。

 テレワークを本格的に導入すると、理屈のうえでは残業時間は削減されていく可能性が高い。ただし、これまで以上に労働時間の厳格な管理は不可欠だ。「本人の判断に委ねる」と称して放置すると、立場の弱い人のところへ仕事が押し寄せるケースが増える。そのことはあらかじめ、心得えておくべきだろう。

2. 競争が激しくなる

 テレワークを導入するのが難しい業界や会社は、他社との競争においてハンディを負うはずだ。たとえば、新卒や中途採用ではエントリー者数が減ったりする。少ない中からハードルを下げて入社させ、管理職や役員にするためにマネジメント力が低下する。部下の育成力は、一段と低くなると思われる。おそらく、業績にも影響が出るだろう。つまり、業種間、企業間、部署間、職種間で差が大きくなることが予想される。

 競争が激しくなると、勝ち組と負け組にはっきりとわかれるものだ。テレワークを認めない会社は負け組の扱いを受けるのかもしれない。少なくとも、社外から見たイメージとして「時代の変化に敏感な会社」と「鈍い会社」と見られるだろう。後者は、何かと不利な立場になるはずだ。

3. 成果主義の新たなステージに突入

 最近の取材で人事部の管理職や担当役員から耳にするのが、次のような声だ。「在宅での仕事の様子を把握することができないので、アウトプットで評価せざるを得ない」。つまり、成果主義が一段と浸透する可能性がある。少なくとも、在宅勤務社員が増える総務、経理、広報、IR、企画、営業のサポート(営業企画)などの部署や職種を中心に新たな成果主義の制度が導入されるだろう。

4. ITスキルを使ったチームマネジメント力が必須

 コロナウィルス感染騒動で明確になったのは、特に中小企業を中心にチームマネジメントに難があることだ。在宅勤務をする上司や部下、社員間の意思疎通に多くの問題が生じている。特に求められるのは、同じ部署やチーム間の情報、意識、目標の共有の徹底である。ITツールを使い、共有をいかに効率よく、正確に進めるか、そしてチーム力を生かし、高い成果や実績を残すかだ。

 だが、これらは中小企業では相当に難しい。大きな理由の1つは、管理職のマネジメント力に問題が多いからだ。中小企業は新卒や中途の採用力が弱い。エントリー者が少ない中で採用するために、人材の質が中堅、大企業と比べると低い傾向がある。定着率は低く、育成はなかなかできていない。一人前になる前に辞めてしまうパターンが目立つ。

 こういう中で一部が管理職や役員になったとしても、部下育成力を始めとしたマネジメント力が低く、チームや部署をまとめて業績を達成することを苦手としているケースが少なくない。

5. 新たな労使紛争の火種

 パワハラやセクハラ、いじめ、退職勧奨、退職強要が「見えない」ものになる可能性が高い。これまではリアルな職場で行われていたが、電話やメール、チャットツール、オンラインを通じてのものが増えることが予想される。より陰湿になる場合もありうるだろう。

 そのことに対し、私が取材をしていると企業内労組や外部組合(ユニオン)の役員の対応は鈍い。機関紙を通じて組合員に「新たな労使紛争の火種」が迫っているといった啓蒙をほとんどしていない。都内及び近郊の労働基準監督署や労政事務所(労働相談情報センター)のホームページを確認しても、そのような啓蒙のページを見つけることができない。

 あるいは、通勤手当を削減されるケースがあるかもしれない。さらには、自宅で作業をするならば、本来、それにふさわしい机と椅子が必要になる。だが、それを購入する金額を会社が負担するのかは、未定の場合が多いだろう。このあたりは本来、早急に議論し、労使間で合意形成すべきだが、できているのだろうか。

 在宅勤務が広まると、人事のあり方にメスが入る機会が増える。いいことばかりではないのかもしれないが、流れはもう止められないはずだ。

文/吉田典史

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