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皮膚の細胞から作った光受容細胞で盲目マウスが光を感知、米ノーステキサス大学健康科学センター研究報告

2020.05.20

皮膚の細胞から作った光受容細胞で盲目マウスに光を

皮膚の細胞から作った光受容細胞の移植により、盲目マウスが光を感知できるようになったという報告が、「Nature」4月15日オンライン版に掲載された。

この論文の上席著者である米ノーステキサス大学健康科学センターのSai Chavala氏は「われわれが開発した技術を用いれば、幹細胞を使うことなく、皮膚線維芽細胞から直接、光受容細胞を作ることができる」と述べている。

過去の動物実験では、細胞死を起こしている光受容細胞の代わりとして血液細胞や皮膚線維芽細胞から作った幹細胞を光受容細胞になるようプログラムし、それを眼に移植していた。

しかし、米国立眼研究所(NEI)の資金援助を受けて実施された今回の研究では、この幹細胞を作る段階をスキップして、皮膚線維芽細胞が光受容細胞の一種である視細胞の代わりとなるような細胞(視細胞様細胞)となるように直接リプログラムし、それを網膜に移植した。

共著者の一人でNEI神経学部門のAnand Swaroop氏は「この研究は、化学物質によるダイレクトリプログラミングで視細胞様細胞を作ることができることを示した初めてのものだ。この視細胞様細胞は、光受容細胞の消失により生じる加齢黄斑変性やそのほかの網膜疾患に対する治療法を開発するための、新しく迅速な手段となり得る。当面は、疾患のメカニズムを調べるための疾患モデルを迅速に作ることに役立てることができるだろう」と述べている。

過去10年にわたり、研究者たちは、実験室で、胎児組織ではなく成人の細胞から作るiPS細胞(人工多能性幹細胞)に強い関心を抱いてきた。

iPS細胞を使えば、ほぼ全ての種類の細胞や組織を作ることができる。しかし、iPS細胞のリプログラミングプロトコルには6カ月もの時間を要する。

それに対し、今回のダイレクトリプログラミングでは、皮膚線維芽細胞から移植可能な機能を持つ視細胞様細胞を、わずか10日で作ることができた。

なお、研究では、マウスおよびヒト由来の皮膚線維芽細胞を用い、網膜変性マウスの眼に移植した。

すると、移植後一カ月経たずして、移植を受けたマウスでは、14匹中6匹(43%)に薄明かりの中で瞳孔収斂が認められ、さらに視力が回復したことを示す行動も見られるようになり、この技術の有効性が示された。

ダイレクトリプログラミングでは、視細胞の一種である桿体細胞の運命に関連する分子経路を化学的に媒介する5種類の小分子化合物を混ぜ合わせたカクテルに皮膚線維芽細胞を浸す。

こうすることで、線維芽細胞は、外見と機能が天然の桿体によく似た桿体細胞になる。Swaroop氏らが遺伝子発現プロファイリングを行ったところ、この新しい細胞に発現している遺伝子は本物の桿体細胞で発現しているものと類似している一方で、皮膚線維芽細胞に関連する遺伝子の発現は抑制されていることが分かった。

ただし、動物実験での結果とヒトを対象にした実験での結果が異なることはよくある。そのため、研究チームは、網膜色素変性症などの網膜変性疾患患者を対象にこの治療法を調べる臨床試験を予定している。(HealthDay News 2020年4月21日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2201-4

Press Release
https://www.nei.nih.gov/about/news-and-events/news/researchers-restore-sight-mice-turning-skin-cells-light-sensing-eye-cells

構成/DIME編集部

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