「検査の入り口を手軽なものにしたかったんです」
そう語るのは、唾液でがんのリスクがわかるシステムを開発した株式会社サリバテックの砂村眞琴代表取締役だ。
「がん検査は意外と精度が低い。腫瘍マーカーで引っかかって大掛かりな検査をしても『異常なし』と診断されることも多い。だからどこにがんがあるのかを高い精度で判別できないか、もっと手軽に検査ができないものか。ということで開発が始まりました」
そして、唾液でがんのリスクがわかる検査キットが完成。
「まず血液、尿、唾液のどれで調べるのがいいかというところから始めました。唾液にした理由は自分たちが注目する指標に関しては一番精度がよかったから。現在は肺がん、大腸がん、膵がん、乳がん、口腔がんと5つのがんについてのリスクが測定できるようになりました。この結果を受けてからがん検診を受ければ、検査する箇所が絞り込めるので、手間も時間も省けます」
現在は、意外なところとタッグを組んで、がん検査の輪を広げている。
「唾液で検査できるので、歯科医院と連携してがんのリスク検査を広げる取り組みをしています。どこの歯医者さんでも気軽にがんのリスク検査が受けられるようになれば早期発見につながると思います」
検査は現在、約700の医療機関で行なわれている。
指定の病院や歯科医院に行き、0.1ccの唾液を採取したら終了。診断結果は2〜3週間後に出る。検査の費用は3万円前後。
現在、こちらの5つ以外のがんでもリスクがわかるかの研究が進行中。将来、がんの検査は歯科医院で行なうのが主流になるかも。
株式会社サリバテック
代表取締役 CEO
砂村眞琴さん
東京都練馬区にある大泉中央クリニックの院長でもある。現場の医師の視点から検査キットの開発を進める。
取材・文/渡辺雅史