気になるところをより細かくチェックできる専門ドックや、より手軽に検査できるサービスが登場するなど進化する人間ドック。健康に働き続けるために最新事情を知って将来の健康のために受診してみては?
病気の早期発見で健康寿命を延ばす
結果を見るのが憂鬱、自主診療になるので高額、再検査が面倒とか、そんな理由で人間ドックを敬遠している人も多いのではないだろうか? 山王病院の副院長で、テレビでもおなじみの奥仲哲弥先生はそんなビジネスパーソンに警鐘を鳴らす。
「医者の立場から申し上げると、そういった理由で人間ドックを受けないのはもったいない! 人間ドックの大きな目的のひとつにがんの早期発見があります。5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がんは、毎年チェックしていたら早期で見つかる可能性が高い。
最近では様々な専門ドックもあります。病気が判明したら落ち込む気持ちもわかりますが『判明』=『治療のチャンス』です。確かに費用は高額ですが、クルマも高いお金を出して車検に出すわけですから、自分のカラダにも検査代を出してみてはいかがでしょうか?」
DIME世代がチェックしておくべき数値はこの6つ!
【1】AST(GOT)
ALT(GPT)
■ お酒を飲む人は要チェック
肝臓の細胞の状態をチェックする数値。高い数値が出ると肝臓の機能に異常が出ている可能性がある。疑われる病気はアルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓がんなど。ASTよりALTの数値が高い人は特に注意。
【2】LD(LDH)乳酸脱水素酵素
Alb(アルブミン)
■ Albは基準値より低いと危険
LDは基準値より高すぎるとNGな数値。肝機能などの異常が疑われる。Albは年齢とともに数値が低くなっていく。基準値より低すぎる数値が出た場合、肝硬変やがんも疑われる。プロテインを多くとる人はこの数値が上昇しやすい。
【3】UN(尿素窒素)
Cr(クレアチニン)
推定糸球体濾過量(cre)
UA(尿酸)
■ 腎臓が正常に機能しているかがわかる
UNとCrは高い数値が出ると、腎炎や腎結石などが疑われる。逆に低すぎる数値が出た場合、肝硬変や肝炎など、肝臓に異常がある可能性が出てくる。推定糸球体濾過量は老廃物を尿として出すための腎臓の能力値。基準値を下回らなければOK。低いまま放っておくと腎不全になる可能性も。UAの数値が高いと痛風と呼ばれる症状が起こる。
【4】Na(ナトリウム)
Cl(クロール)
K(カリウム)
■ 基準値の範囲内に入っていることが大事
体内の電解質を調べる項目。Naは塩分量。Kは上昇すると心臓に良くないが、高すぎても低すぎてもNG。バランスが大切。
【5】TC(総コレステロール)
TG(中性脂肪)
LDL-C(LDL-コレステロール)
■ 体脂肪の多い人が気にする数値
テレビの健康番組や、健康食品のCMなどでよく目にする言葉。LDL-Cはいわゆる悪玉コレステロールで高すぎると危険。TGは甘いものが好きな人は上昇しやすい数値。このふたつは高すぎると心筋梗塞のリスクが高まる。
【6】血糖(空腹時)
HbA1c(NGSP値)
■ 検査直前にダイエットしてもバレる
肥満の人がかかりやすい2型糖尿病のリスクをチェック。血糖の数値は検査直前に食事を抜けば下がるが、HbAlcは2〜3か月かけて変動するものなのでごまかしが利かない。HbA1cは高すぎると免疫力が低下する。
奥仲が指南!人間ドックの心得3か条
人間ドックは自分への最大の投資
資格取得の勉強をしたり、外国語を学んでスキルアップするように、健康を取得するための自分への投資と考えて人間ドックを受診しましょう。
気になる箇所がピンポイントなら専門ドック
最近●●の調子が気になる。と、痛みや不調は感じないけど、不安を感じる場所があるという方は、専門ドックの活用も有効です。
一度は脳ドックを受診しよう
脳ドックは脳出血のリスクがわかる検査。30代、40代の方は毎年受ける必要はありませんが、一度受診しておくのがオススメ。
基準値未満でも安心は禁物!
山王病院 副院長 呼吸器センター長
医学博士
奥仲哲弥先生
専門分野は呼吸器疾患全般。4000例以上の肺がん手術の経験を持つ外科医。TBSテレビ『サンデー・ジャポン』にレギュラー出演。コメンテーターとしても活躍している。
取材・文/渡辺雅史
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