人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

世界の名作が揃う英国映画協会の映画館やショップで一番売れているDVD/BDの作品は?

2020.05.12

■連載/Londonトレンド通信

 英国映画協会(BFI)は、映画とテレビの振興を目的とした団体だ。デジタル・文化・メディア・スポーツ省の支援を受け、世界最大の映像アーカイブを誇る。

 BFIには映画館、ショップもある。DVD/ブルーレイ販売もしていて、無声映画の時代から現代にいたる世界の名作をそろえる。その中の売り上げトップは何だろう。

「黒澤(明監督)がセールス・チャートのトップに居続けています。そして、BFIサウスバンクで開催した日本映画特集は最も成功した特集の1つでもあります」とコメントするのは、BFIクリエイティブ・ディレクターのヘザー・スチュワートだ。

 コメントは、5月11日からの『BFI JAPAN 2020: Over 100 Years of Japanese Cinema』開催に寄せてのもの。日本映画百年史ともいうべき、この大特集を紹介していきたい。

 そもそも、特集は日本での五輪に合わせた、イギリス各地の映画館での日本映画上映が目玉だった。ところが、コロナ禍で五輪は延期、イギリスの映画館はクローズされている。そのため、BFIの配信サービスであるBFIプレイヤーでの順次配信で開催になった。(※配信範囲は英国内)

 その先陣を切るのが、黒澤映画だ。『七人の侍』(1954)など21本が5月11日から配信される。

© Toho Co., Ltd

 ちなみに、新作映画のショーケースとして例年にぎわうBFIロンドン映画祭の、記念すべき初回1957年開幕映画が黒澤監督『蜘蛛巣城』だった。BFIの黒澤愛には年季が入っているのだ。

 売り上げトップが黒澤なら、評価のトップグループにいるのが小津だ。

 BFIの映画誌『Sight & Sound』では、1952年から10年毎に各国批評家からの投票による「The 100 Greatest Films of All Time」という映画ベスト100を発表している。1992年からはそれに各国映画監督からの投票による「Directors'100 Greatest Films of All Time」も加わった。

 そのベスト100で、オーソン・ウェルズ監督『市民ケーン』(1941)、アルフレッド・ヒッチコック監督『めまい』(1958)あたりと、トップの座を争っているのが小津安二郎監督『東京物語』(1953)なのだ。時に1位になったりしながら、いつも上位にいる。

『BFI JAPAN 2020』では黒澤作品に続き、6月5日から小津作品25本が配信される。

 さて、イギリスと言えばビートルズにげんなりするイギリス人がいるように、日本と言えばオズ、クロサワにまたかという向きもあろう。堪えてほしい。もう、これはしょうがない。

 例えば、ジョージ・ルーカス監督が黒澤に影響を受けたことは有名だ。BFIに足を運ぶようなガチの映画ファン、なんなら映画を撮ろうかという人なら、ルーカスより黒澤を観とけという話である。後の監督たちがそこから学ぶ映画を作った、現代映画の基礎を作ったとも言える監督たちが、いつまでも人気があるのは当然だろう。

 だが、そこで映画の発展が止まったわけではなく、そこからいろいろな方向に広がっていったのはご周知の通り。先のスチュワートの言葉を再び借りるなら「日本は世界で最も映画の伝統が豊かな国の1つ」だ。

『BFI JAPAN 2020』も様々な日本映画、小津、黒澤だけでなく、同時期に活躍した溝口健二監督や成瀬巳喜男監督の作品から、新海誠監督のアニメ作品まで、くまなく配信していく。

 既に世界で認められている作品だけでなく、松本俊夫監督『薔薇の葬列』(1969)のように再評価された作品も入っている。

『薔薇の葬列』は、アヴァンギャルドな映像作家だった松本監督の劇場用長編第1作にしてピーター(池畑慎之介)のデビュー作だ。ゲイバーを舞台にした、今で言うならLGBT作品のせいか、最近になって、より注目されている。BFIでは、配信のほか5月18日に2枚組ブルーレイとして発売もする。

 小津、黒澤以前の古くは1894年の貴重な映像もあるので、厳密にいうと百年どころか百数十年に渡る日本映画の数々が観られる特集だが、配信だけではやはり寂しい。

 かなわなかった劇場での上映が、時期をずらして予定されている。本来なら劇場での開幕上映となるはずだった『七人の侍』の、10月23日上映が皮切りだ。この名作を再び大画面で観られる貴重な機会となるはずだ。

© Toho Co., Ltd

 それまでに映画館で映画が観られる状況になっていることを切に願う。

文/山口ゆかり
ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年6月16日(火) 発売

DIME最新号の特別付録は「デジタル調理温度計」!特集は「安くてイイもの」&「新しい働き方」&「マイナポイント」!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。