
警察への相談件数が年間2万件以上もあるというストーカー被害。4月には兵庫県警の警部補が、同僚の女性警察官にストーカー行為をして書類送検されるなど、由々しいケースも目立つ。加害者の大半は、元交際相手や勤務先同僚など近しい間柄。「すぐ警察へ」となりにくい状況も、被害を深刻化させているようだ。
ストーカー対策保険として日本初
そんななか、日本で初めてのストーカー対策総合保険が4月14日に発売された。保険商品名は「and ME(安堵ミー)」といい、(株)あそしあ少額短期保険が、綜合警備保障(株)(ALSOK)と提携して開発したもの。
防犯システム設置から引越しまで広くカバー
「and ME」は、月々500円(年額一括払いでは5690円)の掛け捨て保険。ストーカーの被害に遭った際に、その対策費用が保険金として支払われる仕組みになっている。
ここで言う「ストーカーの被害に遭う」とは、警察署に相談をし、ストーカーに対して警告や禁止命令等が発令されたタイミングを意味する。
こうした警察の措置があっても、ストーカー行為がやまず、凶悪な犯罪に発展するケースがある。そうならないよう、警察に強い処罰(逮捕)を求めることも考慮しつつ、自衛策をとることが必要になるが、そのための費用を保険金でまかなうというわけだ。
具体的に「and ME」が支払うのは、以下の費用に対してとなる。
・ALSOKのモバイルセキュリティサービス「まもるっく」の利用料
・ALSOKのガードマン駆けつけ費用(「まもるっく」の利用が前提)
・防犯カメラやホームセキュリティなどALSOKの提供する機器やサービスの購入費用
・ストーカー被害防止のため国内の宿泊施設を利用した際の費用
・ストーカー被害防止のための引越しにかかる費用(礼金や仲介手数料も含む)
事項ごとに支払い限度額が定められており、例えばガードマン駆けつけ費用は(1年の間で)240万円、宿泊施設の利用料は1泊1万円、14泊までなどとなっている。保険契約が発効するのは、申し込み日から30日後となり、この間に警察署からストーカーに対し警告や禁止命令があっても補償の対象外となる点には注意したい。なお、「まもるっく」とは、通話機能を備えたGPS機器のストラップを引っ張ることで、ALSOKへ緊急通報が行えるシステム。初期費用6600円と月額1870円かかる。
また、「and ME」には、付帯サービスとして、弁護士へのメール相談と心理カウンセリング相談がある。前者は契約弁護士とストーカーに関するメール相談で、後者は資格を持ったカウンセラーによる電話カウンセリングサービスとなり、どちらも上限は3回で料金はかからない。
特に若い女性の「もしも」に備えた保険
あそしあ少額短期保険によれば、「元彼からの嫌がらせ」といった典型的なストーカーだけでなく、上京して入学した大学の同級生からのつきまといや、知らない宛先から自宅に荷物が届くといった、まったく予期できないケースもあるという。
統計的にみると、若い女性がストーカー被害の標的になりやすく、過去にその予兆と思える「日常で不安な経験」をした女性は8割というデータもある。その一方で、警察へ相談したり、何か防犯対策をしている人は4割程度にとどまる。「and ME」の存在は、そんなギャップを埋める一手段として考えることもできる。
不安はあっても対策をとっていない人が約6割(「and ME」サイトより)
既に危険な体験に遭っている場合はもちろん、なにかしら予兆があるなら、本保険の加入は検討に値するだろう。
・「and ME」公式サイト:https://andme-hoken.jp/
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)
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