
タイでは首都バンコクやその近県において、2020年3月22日より飲食店など集合施設に対する閉鎖命令が出た。3月26日には全土に緊急事態令が適用され、完全なロックダウンではないもの、罰則を伴う感染症対策を次々に打ち出してきた。
結果、3月22日には「188人」だった新規感染者が4月30日は「7人」にまで抑え込まれが、街の様子や生活はどのように変化したのか。現地に20年以上暮らしている日本人経営者に話を聞いた。
非常事態令と感染症対策
タイの非常事態令は当初1か月の予定だったが、後に5月末まで延長されている。その内容を簡単にご紹介すると、
・国内全てのムエタイ競技場、酒場、飲食店など集合施設の閉鎖
・航空機、船舶、車両などの出入国地点を閉鎖
・買いだめ禁止
・集会の禁止
・虚偽や人を恐れさせる情報の流布を禁止
4月2日には、22時から翌4時までの時間帯を対象とする夜間外出禁止令を発出。翌日より適用。→後に5月末までに延長。
4月9日になると、バンコク都知事が4月10日から20日までの酒類販売禁止を発表。→後に全土に適用され、5月末まで延長を発表するも、翌日撤回。5月3日より販売のみ認めることになった。(店内での飲酒は認められない)
タイのブランデー、リージェンシー
休業命令で従業員全員を自宅待機に
お話を聞いたのは、なえぎタイランド株式会社社長の中村蒸一さん。大学卒業後、NGOの教育支援でタイにやってきて早20年以上。裸一貫で居酒屋を始め、今ではバンコクを中心に4店舗を展開。輸入食材店も経営している実業家だ。
中村蒸一さん。スクンビット ソイ47(レインヒル3F)の九州酒場どんたくにて
店は日本人駐在員をはじめ、現地タイ人の顧客も多く、いつも賑わっていた。ところが今回の新型コロナウイルスの問題で、2020年3月22日より閉鎖命令が出てしまった。前日に発表したら即実行の素早さだった。
テイクアウトのお弁当は売っても構わないとのお達しもあったが、飲食店が乱立するバンコクにおいて、そうそう売れるものではない。また、従業員を出社させる=安全確保と感染予防に不安があるとの判断から、全員休業の措置を取り、現在も続いている。
非常事態令後はバンコク各所でフードデリバリーやテイクアウトの看板が掲げられた
こちらの記事も読まれています