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コロナに負けるな!ファン離れ阻止のためオンラインに活路を見出すJクラブ

2020.05.05

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、Jリーグが公式戦休止に入ってから2カ月以上が経過した。5月6日までの緊急事態宣言が1カ月程度延長されることになり、リーグ戦も6月7日まで延期。6月13日以降の再開もメドが立っておらず、選手の準備期間を考えると早くても7月、場合によっては8月以降にズレ込むことも考えられる。
 しかもコロナ対策で無観客でのスタートが有力。全国の感染者数が落ち着き、観客を入れられるようになっても社会的距離を保つ必要があり、収容率50%以下に制限される方向だ。そうなれば観客動員数の激減は必至。2019年度は23億円の入場料収入を稼ぎ出した浦和レッズも「今年はそれがなくなるかもしれない」と立花洋一社長も頭を抱えていた。

苦境に陥るJクラブ

 浦和のように売上高が82億円もあるビッグクラブは内部留保があるはずだから、すぐに倒産ということはないが、困るのはビッグスポンサーのない中小クラブ。「プロヴィンチャ(地方)の模範」と言われたヴァンフォーレ甲府などは「2019年度の売り上げは約14億円だったが、それが6~8億円にダウンする可能性もある」と佐久間悟代表取締役GMも懸念しており、クラブ経営のダウンサイジングは早急に取り組まなければならない課題と言える。
 昨今、倒産危機が囁かれるサガン鳥栖ももともとはプロヴィンチャのクラブだった。97年にPJMジャパンが撤退した際も佐賀県サッカー協会が中心となって再建を図り、混とんとした状況を経て、2005年に現在の㈱サガンドリームスが発足。徐々に経営基盤を築き始めた。2008年にはDHCがユニフォームの胸スポンサーになるなど収入源を増やし、2015年7月にサイゲームスがスポンサーに。ここから一気に拡大路線へ進んでいく。フェルナンド・トーレスを獲得し、日本人の高年俸選手を集めるなど強気の姿勢に打って出たが、サイゲームスが2019年1月に撤退。2020年1月にDHCも去り、急激に資金難に陥ったのだ。そこにコロナ禍が襲ったわけだから、窮状を乗り越えるのは容易なことではない。社会情勢の悪化を考えれば、鳥栖のような状況に陥るクラブが他にも出ないとも限らない。Jリーグだけではないが、スポーツ界全体が危機に瀕しているのは間違いない。

 こうしたおカネの問題とともに不安視されるのが「ファン離れ」だ。93年のJリーグ発足以来、2~3月からシーズンがスタートし、12月まで試合が続くというのは当たり前の流れだった。だが、試合のない状態が長期化すると、これが「日常化」する恐れがある。実際、熱心なサポーターが集まるクラブとして知られる松本山雅のファンからも「試合に行かない状態が普通になりそう」という声が聞こえてきている。シーズンチケットを購入するような熱心なサポーターは「早く再開してほしい」と熱望するが、ライト層は「試合観戦に行かなくても問題ない」と考えるようになってもおかしくない。経済環境の悪化で収入も減り、スポーツ観戦にかけられるお金も減ると見られる中、ファンの関心度低下はクラブ経営にとって深刻なダメージをもたらす。それを避けるため、各クラブも本格的に動き出している。

Zoom会見、インスタライブ、まずはできることから

 まずメディア対策としては、オンライン会議室システム「Zoom」を使った会見や囲み取材を積極的に実施するようになっている。最初に始めたのは浦和で、コロナ拡大で「人と人との接触にリスクがある」と言われ始めた2月末から対面取材を禁止。「スカイプ」越しにパソコン画面から記者の囲み取材をするという新たな試みに打って出た。最初は報道陣からかなり不評で、「本当は普通に会って話せた方がいいですよね…」と申し訳なさそうに言う選手もいたが、コロナの影響が深刻になればなるほど、このスタイルが一般化してきた。今では浦和や清水エスパルスが週1回程度の選手取材を実施していて、他クラブも状況によってそういう場を提供している。

 Jリーグも3月末から「Zoom会見」を週1回程度行うようになった。自宅から出席する村井満チェアマンが「ウチに孫がいるので、遊んでる声が聞こえるかもしれませんが、ご了承ください」と笑顔で言う姿は斬新で、人となりの一端が感じられるというメリットもあるようだ。一度に100人単位の記者が一堂に会することなく話を聞けるのも大きな利点の1つだろう。「移動なし・コストなし」というのはメディア側にとっても大きい。もちろん「顔を見ながら話した方がいい」というのは当然のことだが、安全かつ効率的なのは確か。コロナの完全収束まで数年かかる見込みもあるだけに、当面の間はこの方式が続いていきそうだ。コロナ後も場合によってはZoom会見が一般化するかもしれない。

 ファンサービスに関しては、各クラブともに趣向を凝らしている。例えば、2019年J1王者の横浜F・マリノスは4月18日に「STAY HOME with F・マリノス」と題したインスタライブを6時間も実施。選手がストレッチや筋トレをしたり、料理をしながらプライベートトークをするといった試みを行い、最大で1万人近い視聴者が見守った。

 インスタライブというのは芸能人も積極的に取り組んでいるが、サッカー界でも急速に広がっている。香川真司(サラゴサ)らが所属するマネージメント会社「UDN」も4月から連日選手数人を登場させてトークを実施。海外組の柴崎岳(ラコルーニャ)や冨安健洋(ボローニャ)らも出演した。こちらの事務所は大型連休中にも「#つなぐ」プロジェクトを発足させ、5月7日に山口蛍(神戸)、8日に清武弘嗣(C大阪)、10日に三好康児(アントワープ)らのインスタライブを予定しているが、Jリーガーがこういう形で表に出るケースも増えた。それもファンを喜ばせ、再開後には再び足を運んでもらうための一環なのだろう。


 公式ユーチューブチャンネルから発信するクラブもある。FC東京は「赤青STAY HOME週間」と銘打って、2~6日の5日間にわたって番組を放送。2日には森重真人とFC東京アカデミー出身の武藤嘉紀(ニューカッスル)のトークライブが行われ、3日にはFC東京からイタリアへ羽ばたいた長友佑都(ガラタサライ)と現在強化部スカウトの羽生直剛氏が対談するなど、滅多にお目にかかれない企画が組まれている。

 名古屋グランパスが「選手と話そう」企画を立ち上げ、「インサイドグランパス(有料サイト)」の中で選手に直接質問できるファン・サポーターを募ったり、子供たちとの交流を図ったり、横浜FCが「選手とおうち時間」と題してクラブメンバーやスクール生対象に選手とのコミュニケーションの場を設けるなど、特定向けのサービスは多くのクラブが手厚くしている。そういった動きももちろん大事だが、今はチームの垣根を超えて、もっともっと多くの人々に向けてサッカーの魅力を発信する活動を各クラブが増やしてくれれば理想的だ。名古屋もユーチューブでの選手トークライブを一般公開する機会を設けるなど努力を続けているというから、今後のアプローチに大きな期待を寄せたい。J発足から27年がかりで築き上げたJリーグ文化、そして日本サッカー文化を薄れさせないためにも、クラブやメディアができることをもっと積極的に探していく必要があるだろう。

取材・文/元川悦子

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