
シングルマザーがメンタル不調になった原因
新型コロナウィルスの猛威により、多くの人が経済的・精神的に困難を感じているが、特に「シングルマザー」の過負担は見過ごすことができない問題だ。
2016年11月1日時点で、シングルマザーは子育て世帯の9組に1組、全国に123万2000世帯。しかしそのうち7人に1人が生活保護を受給し、相対的貧困率は54.6%に昇る。
就労しているシングルマザーの43.8%がパート・アルバイト契約で働き、平均就労収入は200万円だが、養育費の受給率は24.3%に留まるのが現状だ。このようにシングルマザーは経済的な困難を抱えながら生活し、子育てしている。
そんな中、エスママは、シングルマザーのメンタルヘルス実態調査を実施した。
調査の結果、シングルマザーになってからメンタル不調を経験した人は全体の82.9%と多く、そのうち58.6%は自宅療養・数日療養程度だった。
また、メンタル不調になったもっともの原因は、「実母など家族との関係」で、42名が回答した。次いで多かったのが、「元旦那・元交際相手の暴言・暴力」で39名、その次に「子供との関係」と回答した人が30名いた。
メンタル不調にならなかったと回答した人が、精神状態が不安定にならなかったと考える要因でもっとも多かったのは、「家族のサポートがあったため」であり、次いで「友人・知人のサポートがあるため」となった。※複数選択可
シングルマザーが抱える困難は経済的なものに限らない。一例として、情報と時間の格差による精神的困難があげられるだろう。
一人で育てなければいけないと思う責任感や不安、父親がいないことへの後ろめたさ、このような感情は時には子育てへの自信を失わせる。
そのように不安や悩みを抱えていても、シングルマザーへの偏見から、自身の置かれている状況を他人に話すことが出来ない人も少なくないのだ。
またシングルマザーは家事、育児、仕事をすべて一人で担う人も多く、自分のための時間が確保できない場合もある。
このように経済的困難や情報格差、心理的障壁が複雑に絡み合っているシングルマザーが安心安全な生活をおくることは容易ではないのだ。
※調査は、2019年12月25日~2020年1月15日の期間、104名のシングルマザー当事者に対してインターネットによるアンケートを実施。
構成/ino.
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