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なぜ在宅勤務だと仕事のスピードが大幅に遅れてしまうのか?

2020.05.11

■あるあるビジネス処方箋

 在宅勤務をする会社が増える中、混乱がしだいに生じている。私の観察では特に目立つのが、仕事のスピードの遅れだ。今回は遅れがなぜ、生じているのかを私のヒアリング(聞き取り)をもとに考えたい。

ヒアリングの対象は、最近3年で取材を通じて面識を持った会社の広報担当者、人事部の管理職など。若しくは、この15年ほどで仕事をした出版社や編集プロダクション、企画制作会社、広告代理店の担当編集者、ディレクターだ。双方合わせて、約35人。期間は、4月上旬から現在までの約1か月間。

1.報告・連絡・相談がスムーズに進まない

 最も目立つのは、部署の担当役員、管理職や一般職の間で仕事に関するメール、電話、オンライン会議を通じての連絡、意思決定が相当に遅れていること。そのような会社の担当者に聞くと、担当役員、管理職へのスムーズな連絡が取れなくなっていたり、意思決定が遅れたりするために、外部の私などに迅速に回答ができないのだという。ふだんから、部員たちが互いの仕事の現状、課題を把握する機会が少ないようだ。ある意味で、今回、後手後手になるのはあらかじめわかっていたとも言えるのでないだろうか。

 仕事をするうえでの生命線である報告・連絡・相談の密度を深めることが、今後は必要だ。その際、ガイドライン(運用の目安)を関係者で話し合い、決めたうえで文書化したほうがいい。機会あるごとにその内容を確認し、スムーズに進めるようにしたい。リアルな場(オフィス)で上手くできない時に在宅勤務を始めても、混乱が生じる可能性が高い。

2. 特定の役員、管理職に権限や権力、情報が過度に集中

 報告・連絡・相談のスピードを上げるために、担当の役員や管理職に必要以上に権限や情報が集中しないようにしたい。中には、役員が部長の権限を奪い、部長が課長と同じレベルの権限しか持っていない職場がある。課長が一般職とほぼ同じ内容の仕事をしているのだ。もともと、日本企業は役員、管理職、社員間の役割や権限と責任の分担が曖昧と言われている。

このような職場は私の取材を通じての観察では社員数200人以下の会社に目立つ。組織が未熟で、一部の役員や管理職のマネジメント力が低いからなのだろう。このいびつな関係を放置しておくと、報告・連絡・相談のスピードは絶対に上がらない。在宅勤務の環境を整備したとしても、必ず、混乱が生じる。

3. チーム・ビルディングや部下育成が苦手

 1と2は、チーム・ビルディングや部下の育成、部署全体のマネジメントが十分にはできていないことを意味する。私の知る限りでは、20年以上前から、取材相手である経営学者や人事コンサルタントから「管理職の部下育成力が低くなっている」と聞いてきた。その数は、30人を超える。数十人の労働組合役員からも耳にした。実際、そのような問題の指摘をすんなりと認める役員、管理職も数十人になる。

 今後、在宅勤務を本格化させる場合、役員や管理職の部下育成を始めとした

 マネジメント力は問題視されるだろう。何らかの教育研修や訓練を繰り返し、レベルアップを早急に図るべきではないだろうか。部下育成力を競い合うコンテストや行事を社内で開催したり、大々的に表彰したりすることも必要だ。社員間に、「部下育成力の高い人は認められる」といった意識を植え付け、風土や文化を作りたい。

4. 会社員の在宅勤務の意味を心得ていない

 会社員の在宅勤務は社員の就労のスタイルの1つである。決して、フリーランスのそれではない。このあたりを正確に理解していない人が少なくない。会社員である以上、組織の一員としての自覚を常に持ち、仕事をする必要がある。会社員は、労働基準法を始めとした労働法で権利や立場がフリーランスよりは守られている。取材で接する経営者の中には「会社員を過保護にしすぎ」「必要以上に守られている」と批判する人は多い。

 会社員の捉え方は様々だろうが、このことは明言できる。在宅勤務の時代が到来し、1人の判断で仕事ができるようになったと考えるならば、状況認識や時代感覚がずれている。会社員はフリーランスにはなりえないのだ。あくまで、会社員にとっての在宅勤務と認識する必要がある。そうでないといずれは職場で浮いた存在となり、不本意な扱いを受ける場合もあるのかもしれない。

 今後、コロナウィルスの感染拡大に伴い、在宅勤務が浸透するだろう。数年以内に、労働生産性が高く、多くの社員にとって働きやすく、そのうえで部署や会社の業績を発展させることができるか否か。そこが、大きな分岐点になる。

文/吉田典史

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