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医師が解説!在宅勤務明けに潜む「ソーシャル・ジェットラグ」のリスク

2020.05.07

医師がすすめるカラダにイイこと!教えてDr倉田大輔

 新型コロナウィルス問題により、在宅勤務やテレワークなど今までとは異なる仕事の形態が導入され、生活全般も変化したりしがちですよね。

 そこで今回は、仕事のスタイルが変化したことでビジネスパーソンが気を付けたい「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」についてご紹介します。

ジェットラグとは?

 ジェットラグ(jet lag)は「時差ボケ」という意味です。時差ボケは、ふだん生活する時間と4~5時間の時差がある国にジェット飛行機など速度の速い乗り物で移動した際に生じる生体リズムの乱れです。

 海外旅行などで経験した方もいるでしょう。眠気や不眠という症状が出ますが、現地滞在中にカラダが慣れ、帰国すれば治るので「旅先や海外限定の体調不良」です。それに対して、「社会的時差ボケ(social jet lag)」は、「旅による時差」とは関係がなく、日本国内で生活していても生じる体調不良です。さらに仕事をしているビジネスパーソンだけでなく、全ての人に起こり得るので注意が必要です。

背景としての社会変化

 まず、私たちを取り巻く社会変化に目を向けてみましょう。照明が開発される前、人は日の出に起き、日没に寝る暮らしをしていました。照明用の油やロウソクが高価であった江戸時代などは「朝6時頃に起床し、21時過ぎには就寝する」ことが一般的だったようです。

 当時は、太陽の動きを基準とした「不定時法(現在の時間は定時法)」が採用されていて、「夏は昼の時間が長く、冬は夜の時間が長い」など自然のサイクルに従った生活をしました。いわば自然界の動物に近い生活を送っていたのですね。

 人工照明を持つ私たち現代人の周りには、深夜まで営業するお店などが溢れています。パソコンが普及した1990年以降やインターネットが広まった2000年以降、世界中の情報を簡単に入手できます。現代では、個人が持つスマートフォンで書籍から大型家電などほとんどの物を、お店に行かなくても24時間365日注文出来ます。

 非常に便利な社会ですが、様々な業種で深夜業従事者や交代勤務者が増加しています。

 働く人のうち深夜業従事者の占める割合は「1997年13.3%、2007年17.9%、2012年21.8%(労働者健康情報調査/厚生労働省より)」と年々増加しています。ビジネスパーソン5人に1人以上が深夜にも働いているのが現代の日本です。

 自然の光と夜が作り出す明暗のサイクルが乖離した社会状況はカラダに様々な不調を引き起こし、医療従事者・輸送業者など夜勤勤務や交代勤務がある職業で「社会的時差ボケ」が問題になってきました。

 私自身、当直勤務終了直前の早朝、交通事故などの救急患者さんが搬送され、処置をした後、少しだけ残った仮眠時間に全く眠れなかったことは1度や2度ではありません。

社会的時差ボケとは

 飛行機による海外渡航など時間帯域の急速な移動で生じる「時差ボケ」と違い、「社会的時差ボケ」は仕事など社会的に規定される「平日の睡眠」と「休日の睡眠」との時間差から発生します。通常の「時差ボケ」は出国先の生活への慣れ、帰国すれば解消するので期間限定です。これに対し「社会的時差ボケ」は期間限定ではなく、海外渡航をしない誰にでも起こり得ます。2006年ドイツのRoennebergらが「社会的な時間と体内時計の不一致で生じるカラダの不調」として提唱した新しい概念が「社会的時差ボケ」です。

 夜遅くまで眠気を感じにくい「夜型傾向」の人は、夜遅くまで起きていても、仕事や学校など社会的活動に遅れないために、平日は決まった時刻に起床する必要がありますよね。

 その代わり溜まった睡眠不足を解消しようと、休日に起床時刻を遅らせ朝寝坊につながります。いわゆる「寝だめ」は皆さんにも経験があると思います。

「社会的時差ボケ」は、睡眠時間帯の中央値を出し、その差を指標にします。

 例えば「平日は24時に入眠し6時に起床、休日は午前2時に入眠し10時に起床する」場合、中央値「平日:午前3時、休日:午前6時」になります。この中央値の差「3時間」が「社会的時差ボケ」です。

社会的時差ボケは何がいけないのか?

 子どもの頃に夏休みや冬休みなど夜更かしをして、休み明けに遅刻しそうになり、大人に叱られた経験は私だけではない筈です。近年、「社会的時差ボケ」がカラダに及ぼす悪影響が分かり始めてきました。

 まず「肥満」との関連です。

 肥満を表わす「BMI(Body Mass Index):体重(kg)÷身長(m2)」は、健康診断や人間ドックで目にしたことがあると思います。

 計算例:身長165cm、体重70kgの場合 BMI=70÷(1.65)(1.65)=25.7(25以上が肥満)

 2012年、ドイツで「社会的時差ボケが大きくなるにつれてBMIも高くなる」ことが報告されました(社会的時差ボケ2時間以上の人は1時間以下の人に比べて身体活動量が低く、安静時心拍数が高いetc)。

 次に「学業成績」との関連です。

 中高生や大学生を対象とした海外の報告では、「社会的時差ボケがあると、学業成績が悪い」という結果が出ています。「睡眠時間の長短よりも、社会的時差ボケの有無が成績に影響を及ぼしている」ことに注目して下さい。

 ビジネスパーソンは、定期的な試験はありませんよね。ただし社会的時差ボケによって、仕事の効率が落ちている可能性は非常に高いのではないかと私は考えています。

 研究段階ではありますが「社会的時差ボケ」は、うつ病や睡眠障害、心臓病、ガンの発生などにも関与していると推測されています。

社会的時差ボケに対処する3つのポイント!

・Point1:夜更かしをしても、出来るだけ起床時間を一定にすること!
・Point2:寝る前の1時間はテレビやパソコン、スマートフォンを観ないこと!(使用されている「ブルーライトが覚醒作用を持つ」ので、寝つきが悪くなります。寝る前は映像ではなく、音楽を聴くことが良いでしょう)
・Point3:<<期間限定の禁じ手・荒療治(要自己責任)>>「連続ドラマや映画を朝まで見続けて寝ない、完全徹夜を敢行」!

 医学的には、Point1やPoint2を勧めるべきでしょう。

 ビジネスパーソンは社会や経済・将来の生活面への不安など、様々な環境に身を置いていますよね。

 そんな時は「趣味の映像、連続ドラマ・映画」や長編小説を読むなど、朝まで寝ずにトライしてみては如何でしょうか?  個人的にはアクション映画をお勧めしますが、悲観的な結末の物は避けた方が良いかもしれません。

 10代や20歳前後と同じ様な体力もありませんし飽きてしまい、1~2日続ければ通常の生活や仕事スタイルに戻らざるを得ないでしょう。念のため自己責任でお願いしますね。

 新型コロナウィルスは、感染症という健康面にとどまらず、社会や経済に打撃を与えています。外出自粛なども私たちの心を少しづつ蝕んでいる様に感じます。

「感染をしない=健康」と考えることは非常に重要です。それとともに「平常心を保つこと」も私たちビジネスパーソンにとっては非常に大切です。

「社会的時差ボケ」に注意しつつも、「時々夜更かし」も必要かもしれませんね。

取材・文/倉田大輔(池袋さくらクリニック院長)

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