人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

在宅勤務の長期化で顕在化する「在宅残業」の問題点

2020.05.08

■あるあるビジネス処方箋

「在宅残業」という言葉をご存知だろうか。私も最近、企業へのオンライン取材を通じて知ったばかりだ。今後、コロナウィルスの感染拡大防止のために在宅勤務が増えてくると思えるので、今回はこの言葉について考えたい。

 まず、「在宅残業が増えている」と取材中に答えた女性(30代)の話を紹介しよう。

「3週間前から、役員の指示で全社員(200人程)が在宅勤務となりました。私は子どもが2人いて、4歳と2歳。この数週間は別の会社に勤務し、在宅勤務中の夫と私、子ども2人の計4人が家の中にいる時間が多い。昼間は、私は家事や子どもの面倒で仕事を中断することが頻繁。2人の子が寝静まった午後9時頃から午前4時までくらいに集中して仕事をするようにしている。どこからどこまでが労働で、家事であるのか、明確な区別がない。在宅勤務を始める3週間前よりも、労働時間が1日につき、3~6時間増えているように思う」

 オンライン取材では、これに意味合いが近いことを話す女性社員が20~40代に増えている。「在宅残業が増えている」と明言した10人程の女性はいずれも子どもが10歳以下のケースである。

 女性たちに聞くと、上司を始め、部署の社員とはほぼ毎日、昼の「オンライン昼礼」や夕方の「オンライン夕礼」をするという。昼礼、夕礼には上司以下、部員全員がチャットツールやスカイプ、テレビ電話会議システムを通じて参加する。いずれも、参加は義務だ。各自の仕事の進捗、課題、問題点を共有し、15分程、ディスカッションをするようだ。朝と仕事を終える時には全員がメールもしくは電話で上司に報告をする。社内のイントラネットには、労働時間の管理の徹底や残業時間の削減を呼びかけるアナウンスが常時掲載されているという。

 前述の女性社員は、「こういう態勢や仕組みは、在宅勤務中の私たちには役に立たない」と話す。

「子どもを午後1時から夕方まで寝かすことが上手くいけば、仕事をするうえで大きな問題はないのかもしれないが、そんな単純にはいかない。子どもがその時間に起きていると、オンライン中にパソコンの横で声を出したり、内臓のカメラに映ろうとする。社員間のやりとりならばともかく、重要なお客様やクライアント相手だと、まずい。だから、オンラインを通じてのやりとりもできない場合がある。昼間は、そばに子どもがいることもあり、仕事に集中するのが難しい。これには、困っている。

 夜、仕事を集中している時に子どもがトイレで起きると、午前9時半の朝礼までに数時間になる。朝礼には全員参加が義務だから、そのまま起きて待つ。生活のリズムがつかめない。ダブルワークを通り越し、1日12∼15時間ワークになっている気がする」

 こういう声は新聞やテレビ、インターネットニュースを見聞きしていると、ほとんど報じられない。在宅勤務を今度、普及させるならば何らかの対策を考えるべきではないだろうか。

 私は、少なくとも次の施策に取り組む必要があると思う。

1. 就労時間(出社、退社)を各自の判断で可能な限り、決めることができるようにする。「フレックスタイム制」をさらに柔軟にして、「完全フレックスタイム制」にする。

2. 就労時間や残業時間、人事・賃金制度、人事評価について全社員を対象に説明を繰り返す。特に管理職には重点的に説明し、理解を深める。

3. 就労時間や残業時間、上司の指示について疑問を感じたらすぐに相談できる機関を社内に設ける。内容は本人の了解なく、上司には伝えないように関係者に厳守させる。問題があると判断できる時は、人事部が上司に注意指導を早めにして改善させる。改善されない場合は、社内イントラネットなどで公開する。

4. 朝、夕方の上司への報告、オンライン昼礼、オンライン夕礼への参加は各自の判断に委ねる。やりとりは、参加した社員が録画し、共有フォルダに保存。参加できなかった社員は、空き時間にこの動画を観る。

5. 仕事の成果や実績で評価する人事評価システムに早めに移行する。プロセスも大切ではある。だが、プロセスに重きを置いた評価をしようとすると、前述の朝や夕方の上司への報告、オンライン昼礼、オンライン夕礼がなくならないのではないだろうか。

 在宅勤務を進めると、上司と部下の関係、労使関係、マネジメントが大きく変わるはずだ。ところが、そのような機運や世論があるように見えない。これまでの態勢や仕組みのまま、在宅勤務を普及させると、前述のようなワーキングママが増える可能性がある。そこからストレス過多になり、ついには「在宅勤務うつ(病)」になる人が現れるのかもしれない。労使紛争に発展するケースもあるのかもしれない。冷静に、広い視野で見つめ直してみる時期でないだろうか。

文/吉田典史

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2020年6月16日(火) 発売

DIME最新号の特別付録は「デジタル調理温度計」!特集は「安くてイイもの」&「新しい働き方」&「マイナポイント」!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。