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中小企業における在宅勤務の問題点と整備が必要なもの

2020.04.30

■あるあるビジネス処方箋

 コロナウィルスの感染拡大に伴い、在宅勤務を始めた会社が増えている。私の企業へのオンライン取材を通じての観察や日々の仕事のやりとりでは、特に中小企業(主に正社員数300人以下)に混乱が目立つ。顕著なのは、出版社や編集プロダクション、広告代理店などだ。今回は、私が感じ取る問題点と今後の対策を紹介したい。

1. メールでの連絡を通常どおりに

 この数週間、こちらからメールを送ると、その回答が遅れるケースが明らかに増えてきた。出版社や編集プロダクション、広告代理店などの中小企業は、ITや金融機関、メーカーの中小企業と比べると、もともと返信が1∼3日は遅い傾向があった。今回の騒動では、さらに遅れている。私の実感では、通常よりも3~4日は遅い。特に、私から担当者に意思決定を求めるメールへの回答が遅れる。上司の了解を得るのに時間がかかっているのだと思われる。

 補足すると、中小企業の社長と電話で連絡をとるのが相当に難しいケースは多い。社員たちが社長の動向を把握していない場合すらある。社長に社内のあらゆる仕事が集中する仕組みになっていて、個々の社員が自らの意志で決定できないケースも多々見られる。

 私の見立てでは、社内の情報共有がかねてから社長、役員、社員間や部署間で徹底されておらず、今回、その指揮命令系統に一段ときしみが生じている可能性が高いのだと思う。本来、このような時に経営者や管理職がリーダーシップを発揮し、対策を次々と打つべきなのだろう。しかし、現時点まではそれが十分にはできていないように見える。大企業や中堅企業に比べると、これらの業界の中小企業の経営者や管理職は組織の細部にわたる問題の掌握や適切な判断力に大きな課題があるように思えてならない。それが、今回の騒動ではっきりとしてきたのではないだろうか。

さらに言えば、管理職や役員である40~60代の社員にITスキルが相当に低い人が目立つように感じる。そこが、深刻なボトルネック(スムーズに進まない要因)になっているのではないか。おそらく、この層はオンライン会議は未経験の人が多いはず。何をどのようにしていいのかすらわからないケースもあるのではないか、と思う。今後は、この人たちのオンラインによる会議や面談の教育訓練を増やすべきではないだろうか。もちろん、まずはメールの送受信をはじめ、ITスキルを上げるのが先決である。

2. 電話がつながるように

 出版社や編集プロダクション、広告代理店などの中小企業の中には、こちらが電話を30回近く鳴らしても、誰も出ない場合が少なくない。実際、この2週間ほどで15社を超える。ごく一部に、社員の自宅や携帯電話に通じるようになっているケースがあるが、それが増える気配を感じない。

「業務縮小のため」とも言えるのだろうが、実ははるか前からこのように電話がつながらないケースが多々ある。過去には、トラブルが生じたことを担当者に伝えるのに3日かかることすらあった。ふだんから、このレべルでは何かがあった時に深刻な問題に発展するのではないだろうか。メールや電話で迅速な意思疎通を図るようにするのは、急務の課題に見える。

3. 社内外のIT環境を整備

 上記の1と2の問題が数週間に及ぶと、社員間や部署間の意思疎通はスムーズに進まないケースが増えてくる。特に経験の浅い社員は、問題を抱え込むだろう。これもまた、急務の課題だ。

 さらに懸念すべきは、営業をはじめ、外部との折衝が正確に、迅速にできないことではないか。大企業では今回の騒動で相手との折衝をするリアルな面談が難しいから、早いうちにオンラインによるものに切り替えたケースが増えている。中小企業では一向に進まないようだ。私の取材では、中小企業の営業が特に外食や飲食、小売、建設、介護業界の中小企業を相手にする場合である。これらの業界では、ITが職場の隅々にまで浸透していないケースが目立つ。もともと、メールの円滑なやりとりすら十分にできないから、オンラインの営業がなかなかできないのだろう。

 営業は、自社の力だけではどうすることもできない。この騒動を機に、ふだんからの営業相手や取引先、アウトソーシング先とのITツールを使っての共有化を進めるべきではないだろうか。特にオンラインによる面談ができる環境整備は、急務だと思う。オンライン面談の教育訓練も必要だろう。さらに、契約書などの印鑑をどうするべきか、も双方で話し合いたい。私の取材では、捺印をしてもらうために、わざわざ、先方に出向いている営業担当者がいる。

 中小企業のマネジメントは、大企業に比べると課題が多い。今回の騒動を機に、非効率やムリ、ムダをできるだけなくす試みをしたほうがよいように思う。その際、それを最も拒むのが、管理職や役員、社長であることも念頭においておきたい。

文/吉田典史

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