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コロナ拡大で勃発したサッカーの2021年問題、森保体制で日本は未曽有の危機を乗り切れるか?

2020.04.26

 新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらず、日本のあらゆるスポーツが休止状態に陥っている。4月23日にも日本野球機構(NPB)とJリーグが設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第5回会合が開かれたが、専門家からは「緊急事態宣言が5月6日の翌日から解除される状況にはない。緊急事態宣言が出ている中での再開は難しい」と厳しい見解が出された。プロ野球もJリーグも無観客試合実施を視野に入れ始めたが、動き出すのは早くても6月以降。場合によっては夏以降にズレ込む恐れも出てきた。

 Jリーグが開催できないのであれば、国際間移動の伴う日本代表戦が行えないのは当然のこと。すでに3月と6月のインターナショナルデー(IMD)の試合がキャンセルされ、2022年カタールワールドカップアジア2次予選の残り4試合は9~11月にズレ込み、来年3月から最終予選がスタートすることになると見られていた。しかし、国際サッカー連盟(FIFA)のビクトル・モンタリアーニ副会長が「国際試合の年内開催は個人的に少々難しいと思う」と発言した通り、2020年の代表戦開催ができなくなる可能性は少なくない。となれば、全てのしわ寄せは2021年に行く。サッカー界では「2021年問題」が勃発するのだ。

東京五輪、ワールドカップ予選…優先すべきは?

 2021年というのはご存じの通り、1年延期になった東京五輪開催が控えている。7月23日開幕というスケジュールは出ているが、それに向けてチーム強化を行うとすれば、3月と6月のインターナショナルデーをフル活用し、7月の直前合宿で完成度を高めるしかない。活動が1年以上も空けば、チーム作りは1からやり直しになる可能性も高い。これまで中心だった中山雄太(ズウォレ)や小航基(磐田)、上田綺世(鹿島)でさえもメンバー入りの保証はなく、かなり混とんした状態になりそうだ。先行き不透明の中で「メダル獲得」を求められるのだから、彼らも大変だ。

 さらに問題なのは、3・6月のIMDにA代表のアジア予選も重なってくること。2次予選の残り4戦はミャンマーやモンゴルなど格下相手が続くものの、五輪代表同様にチームとしての活動が1年5か月ぶりになるのであれば、その時点でのベストメンバーを呼んで骨格から作り直さなければならない。五輪世代の冨安健洋(ボローニャ)や堂安律(PSV)、久保建英(マジョルカ)などA代表でも重要な戦力になっている選手はこちらを優先してもらうしかない。

 日本サッカー界にとっては東京五輪でのメダルも重要だが、何よりも大事なのはワールドカップ出場権獲得である。仮に2022年カタールワールドカップ出場権を逃すようなことがあれば、コロナで痛手を受けた日本サッカーがさらなるダメージを負うことになる。それだけは絶対に避けなければならない。「優先すべきはワールドカップ」という原則を関係者全員が再認識すべきだろう。そのうえで、体制をどうするかを再考しなければならない。

 まず森保一監督のA代表と五輪代表の兼任は白紙に戻すことから始めるべきだ。コロナ禍に見舞われる前から、森保監督の2チームのマネージメントは破綻しかけていた。2019年11月のU-22代表のコロンビア戦(広島)の完敗(0-2)に始まり、A代表のベネズエラ戦(吹田)の4失点惨敗(1-4)、12月のEAFF E-1選手権(釜山)での日韓戦での敗戦(0-1)、そして今年1月のAFC・U-23選手権(タイ)での1次リーグ未勝利での敗退と全くと言っていいほど結果が出ていなかった。

 A代表と五輪代表の日程が重複する3月のマネージメント体制をどうするかを話し合っていた最中にコロナが拡大。議論がペンディングされる形になったが、実はその間に日本サッカー協会の技術委員長が関塚隆氏(現ナショナルチームダイレクター)から反町康治氏に交代するという大きな出来事があった。2008年北京五輪代表の指揮を執った反町監督は代表活動の難しさを痛感していて、「片手間で強化はできない」ということがよく分かっているに違いない。

Photo by Kiyoshi Ota/Getty Images)


 2018年秋の森保体制発足後はA代表と五輪代表のスケジュールが重なった時には、森保監督がA代表、五輪代表は横内昭展コーチが見るという形を取ってきたが、このままでは両方とも中途半端になりかねない。反町氏なら歯車の噛み合わない現状を冷静かつ客観的に分析して、ハッキリした方向性を出せる人物。もともと歯に衣着せず物言いがウリだけに「ダメなものはダメ」と押し切るはずだ。おそらく森保監督にはどちらかの監督に専念してもらうのではないか。協会の田嶋幸三会長が「森保はA代表優先」と強調していることを踏まえると、当面は森保監督がA代表、五輪代表はそのまま横内コーチが昇格する形が最も無難な方向と言えるだろう。

 ただ、本当に森保監督にA代表を任せていいのかというのは疑問が残るところだ。2018年9月のA代表初陣・コスタリカ戦(吹田)で堂安、南野拓実(リバプール)、中島翔哉(ポルト)というフレッシュなアタッカー陣を並べて攻撃を活性化させ、10月のパナマ戦(新潟)で冨安をA代表デビューさせたところまではよかったが、2019年1~2月の2019年アジアカップ(UAE)では固定メンバーへの依存が表面化。しかもボランチが次々と負傷離脱した決勝でサンフレッチェ広島時代の秘蔵っ子・塩谷司(アルアイン)を抜擢し、柴崎岳(ラコルーニャ)との連携が大きく崩れるというミスを犯した。その後も塩谷を呼び続けるのであれば、まだその起用も納得できたが、塩谷はその後は一度も招集されていない。その後、柴崎依存を強め、1トップにしても大迫勇也(ブレーメン)以外の選択肢を見つけられないでいる。そのような壁にぶつかった指揮官を本当に信じ続けていいのか否かは今一度、反町氏を中心に再検証してほしい。

森保監督には東京五輪に集中してほしい

 次の活動が2021年になるのであれば、思い切ってA代表は新たな監督を据え、森保監督には東京五輪まで駆け抜けてもらうというのも1つの道だ。そもそも森保監督は2017年11月に東京五輪を目指すチームの指揮官になったのが最初で、2018年4月のヴァイッド・ハリルホジッチ監督の更迭と西野朗監督(現タイ代表監督)就任によって、コーチに加わる形になった。
 ロシアでは西野監督のマネージメントをつぶさに見て、そのノウハウを次のA代表で生かしてくれるだろうという期待があって、田嶋会長も兼任監督に据えたのだろうが、本人の中では「東京五輪代表をしっかりと見たい」という思いも少なからずあるはずだ。A代表を掛け持ちすることによって本来の仕事ができないジレンマに直面したという見方もできる。だからこそ、森保監督には東京五輪に集中してほしいという声も関係者の間にはある。筆者もその意見に賛同する1人だ。「初志貫徹」できる体制を考えてほしい

 後任のA代表監督候補はこれからじっくり考えればいいが、八百長問題で2015年に辞任しながら、無罪判決が出て、完全に疑いが晴れたハビエル・アギーレ監督の復帰も一案かもしれない。現在はスペイン・リーガエスパニョーラのレガネスを指揮しているが、本人も日本復帰の意思はあるようだ。ワールドカップ上位進出経験が豊富で、欧州でのパイプもある監督の方が強化試合のマッチメークなどもしやすくなり、メリットもある。
 協会の言う「日本スタイルの確立」を目指すに当たって、指揮官が日本人であることは絶対条件ではない。もちろん意思疎通の部分では日本人の方が優位性があるが、外国人の方がどんな批判にさらされても自分流を推し進められる強みはある。それはフィリップ・トルシエ(現U-18ベトナム代表監督)やイビチャ・オシムといった過去の監督たちを見ても言えること。海外につねにアンテナを張っている反町氏ならメリットとデメリットをしっかり分析・検討できるはずだ。
 コロナ騒動は協会にとっても未曽有の危機ではあるが、ストップしている今の時間を最大限有効活用することが肝要だ。どうしたら日本サッカーを強くできるか、カタールワールドカップでベスト8以上に到達できるのかを真剣に考えてほしいものである。

取材・文/元川悦子

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