
■連載/石野純也のガチレビュー
約4年ぶりとなるiPhone SEが、2020年4月24日に発売された。先代のiPhone SEからはデザインを一新。ベースとなるボディは、iPhone 8と同じ4.7インチのものに切り替わった。一方で、スマホの頭脳ともいえるチップセットは、iPhone 11シリーズに搭載され、高い処理能力で定評のある「A13 Bionic」を採用する。
コストパフォーマンスの高かった初代iPhone SEだが、その特徴も第2世代にはしっかり受け継がれている。最低価格は64GB版の4万4480円。A13 Bionicを内蔵したハイエンドモデルとしては、破格の安さと言える。ベースがiPhone 8なだけに、ホームボタンやTouch IDも復活した。
第2世代に生まれ変わったiPhone SEは、どの程度の性能を持ったスマホなのか。発売に先立ち、実機を試用することができたため、ここではそのレビューをお届けしたい。
待望の第2世代iPhone SEが発売になった
手になじむコンパクトボディと高いパフォーマンスを両立
第2世代のiPhone SEは、高い人気を誇った4.7インチiPhoneの系譜に連なるiPhoneだ。アップルは、iPhone 6で初めて4.7インチのディスプレイを採用しており、iPhone 6s、iPhone 7、iPhone 8と、4世代に渡って基本的な形状を維持してきた。iPhone 8では、背面の素材をアルミニウムからガラスへと変更。デザインを洗練させたのと同時に、ワイヤレスチャージに対応するなど、機能面での強化も図った。
フレームにはアルミが、背面にはガラスが用いられており、デザインテイストはiPhone 8に近い
iPhone SEのベースになっているのは、背面にガラスを採用したiPhone 8だ。現行のiPhone 11シリーズと比べるとディスプレイサイズがコンパクトで、横幅も67.3mmとスリム。初代iPhone SEに比べると大型化している半面、軒並み横幅が70mmを超えているiPhone 11シリーズに比べると手にしっかりなじんで持ちやすい。現行モデルと比べ、相対的にコンパクトな端末がiPhone SEに位置づけられるというわけだ。
現行のiPhoneと比べるとコンパクトで、手にしっかりなじむ
画面上部に指が届きやすいのも、このサイズのメリットだ。ただし、ホームボタンを搭載しているため、同サイズでディスプレイのみのスマホよりは、本体が大きくなる。イマドキのスマホとして見ると、画面上下のベゼルが太いのも気になるポイントだ。初の4.7インチiPhoneであるiPhone 6が登場してから、すでに6年が経過しているため、どうしても古さを感じてしまう。逆にそれが安心感になっているのも事実で、長く4.7インチのiPhoneに親しんでいた人には、うってつけの選択肢と言える。
見た目に反して、中身は最先端なのがiPhone SEのおもしろいところ。先に述べたとおり、チップセットはiPhone 11シリーズと同じA13 Bionicで、iPhoneシリーズの中ではもっともパフォーマンスが高いモデルの1つになる。iPhoneだけではない。処理能力の高さについては、全スマホの中でもトップクラスと言える。ベンチマークアプリも、その性能の高さを物語っている。
Geekbench 5で測定したスコアは、シングルコアが1330、マルチコアが3197で、数値は最上位モデルのiPhone 11 Pro Maxとほぼ同じ。チップセットが同じA13 Bionicのため、当たり前と言えば当たり前だが、このデザインのiPhoneで、マルチコアスコアが3000点を超えているのは違和感すら覚える。ゲームや動画編集、ARアプリなどもスムーズに動いた。高負荷のアプリをバリバリ動かすようなユーザーが使う端末ではないかもしれないが、そのポテンシャルがある点は高く評価できる。
ベンチマークスコアはiPhone 11シリーズと同程度。グラフィックスに凝ったゲームも、サクサクと動く
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