
新型コロナへの緊張感が高まった、4月7日の7都府県を対象とした緊急事態宣言発令。この緊急事態宣言発令以前と以後では、テレワーク実施状況についてどの程度の差が見られるのだろうか?
このほど、株式会社パーソル総合研究所により、緊急事態宣言(7都府県)後のテレワークの実態状況について、2020年4月10~12日に、全国2.5万人規模の調査が実施されたので、その結果を紹介していきたい。
なお、新型コロナとテレワークに関する大規模調査は3月9~15日にも実施されており、今回が2回となる。
緊急事態宣言(7都府県)後のテレワーク実施率
緊急事態宣言後、正社員のテレワーク実施率は、全国平均で27.9%。3月半ばの時点では13.2%であり、1か月で2倍以上となっている。(図表1)。国勢調査に基づく簡易推計では、1か月間でテレワークを行っている人は約400万人増加し、約760万人がテレワークを実施していることになる。
図表1.3月と4月のテレワーク実施率
エリア別に正社員のテレワーク実施率をみると、緊急事態宣言地域の7都府県で38.8%、それ以外の地域で13.8%。7都府県はそれ以外の地域に比べて2.8倍実施している。東京都に限れば49.1%(3月半ばは23.1%)。
テレワークを行っている人のうち、現在の会社で初めて実施した人は68.7%。3月半ばは47.8%だったため、「テレワーク初心者」は大幅に増えている(図表2)。
図表2.3月と4月の初めてのテレワーク実施率
緊急事態宣言(7都府県)後の出社率
一日中のテレワークと業務自体が無くなったケースを全体から差し引けば「出社率」となる。緊急事態宣言後の初日に当たる4月8日の7都府県における正社員の出社率は61.8%と、前日の7日から6.2ポイントしか減っていないことが明らかとなった。
その後、出社率は徐々に下がっていくが、4月10日で58.5%。いま政府が要請している7割減との差は大きい状況だった(図表3)。
図表3.緊急事態宣言地域の7都府県における出社率
テレワークを行っている人の不安、課題、変化
テレワークを行っている人の「不安」をランキング化すると、1位「相手の気持ちが分かりにくい」で37.4%、2位「仕事をさぼっていると思われないか」で28.4%、3位「出社する同僚の業務負担の増加」で26.4%となった。(図表4)。
図表4.テレワークの不安
テレワークを行っている人の「課題」をランキング化すると、1位「運動不足」で73.6%、2位「テレワークでできない仕事がある」で60.2%、3位「必要機器がない(プリンターなど)」で47.8%。(図表5)
図表5.テレワークの課題
テレワークを行っている人の「課題」について、「労働時間が長くなりがち」は21.0%にとどまった。また、テレワーク実施の前後の「変化」について、労働時間が減った=36.2%(増えた=9.6%)、業務量が減った=37.6%(増えた=6.8%)となった。
初めてテレワークを実施している人は、「仕事に集中できない」(従来からの経験者に比べて14.6ポイント差)、「仕事に適した机や椅子がない」(同13.5ポイント差)などの特徴がみられた。
テレワーク実施の前後の「変化」について、上司とのやりとりが減った=45.2%、同僚とのやりとりが減った=50.0%、組織の一体感が低くなった=36.4%、仕事への意欲・やる気が減った=32.8%と、組織としての課題が生じる結果となった。(図表6)企業としてはテレワークの長期化に備えて、対策を検討すべきである。
図表6.テレワーク実施前後の変化
会社からのテレワークの方針
テレワークが命じられている人は13.7%、推奨されている人は27.0%と、命令・推奨の合計は40.7%となった。
一方、会社から特に案内がない(通常通り出勤している)人も未だに53.0%いる(図表7。3月調査では命令3.2%、推奨18.9%、命令・推奨の合計22.1%。特に案内がない人は71.5%)。
時差出勤が命じられている人は8.3%、時差出勤が推奨されている人は30.6%と、命令・推奨の合計は38.9%となった。
他方、会社から特に案内がない(通常通り出勤している)人も未だに52.3%いる(図表8。3月調査では命令4.4%、推奨25.0%、命令・推奨の合計29.4%。特に案内がない人は64.9%)。
テレワーク継続意向
新型コロナが収束した後もテレワークを続けたい人は53.2%。20代と30代では6割を超えている(図表9)。
図表9.新型コロナ収束後のテレワーク継続意向
テレワークができない理由
テレワークができない理由について、4月調査では以下のとおりとなった(図表10)。
3月調査では「テレワーク制度が整備されていない」が41.1%で1位、「テレワークで行える業務ではない」が39.5%で2位だったため、順位が入れ替わったことになる。社内制度の整備が少し進んだり、全体としてテレワークがさらに行われたりする中、業務特性上できない人が目立ってきている。
図表10.テレワークができない理由
企業規模(従業員数)別のテレワーク実施率
企業規模別のテレワーク実施率について、従業員数が多い企業ほど、テレワーク実施率が高まることが改めて確認できた(図表11)。新型コロナへの対応として、中小企業が抱える大きな課題といえる。
図表11.企業規模別(従業員数別)のテレワーク実施率
出典元:株式会社パーソル総合研究所
さらに、雑誌「DIME」最新号の特集は「最強!快速!テレワークギア」。新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を行なう人が急増していますが、それに伴って、様々なストレスや問題が生じているというのも事実。そんなテレワーカーのために、快適なテレワークを実現するための、デバイスの選び方(Web会議対応パソコン、高精細Webカメラ、超速Wi-Fiルーター、サブモニター、デスクライト、スピーカー、姿勢矯正椅子など)、本当に使えるビジネスチャットツール、効率的な仕事の進め方、環境づくりのノウハウ、セキュリティー対策、ソリューションサービスなどを詳しく紹介。さらに、最先端テレワークを実践している様々な企業のビジネスパーソンたちへの密着取材で、効率良く仕事をこなすノウハウも紹介します。
そのほか、超便利な万能キャンプギア図鑑、いま買うべき必勝株、再開発で進化する東京のトレンドスポット、注目度No.1のスーパールーキー・佐々木朗希徹底解剖など、今、知りたい情報がてんこ盛りのDIME6月号、ぜひお買い求めください。
※電子版には付録は同梱されません。
『DIME』6月号
2020年4月16日発売
特別価格:本体900円+税
小学館
<ご購入はコチラ>
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B086L975TG/
楽天: https://books.rakuten.co.jp/rb/16283614/
7net: https://7net.omni7.jp/detail/1218447306/
構成/こじへい
こちらの記事も読まれています