
孤独と不安に苛まれがちな外出自粛期間中は、犬と人間の絆を描いた心あたたまる作品を鑑賞してみてはいかがだろう。
Netflixオリジナルシリーズ『ドッグ・ストーリー: あなたは一番の友達』は、世界中にいる様々な職業に従事している人々の視点から“犬との物語”を綴った、ドキュメンタリー。
番組は、一貫して穏やかで平和なムードの中進んでいく。映像を見ているだけでも、心が癒されていくのを感じるだろう。
あらすじ
てんかんの発作を事前に察知する能力を持つ犬とてんかんの持病を持つ子どもの物語「犬と生きる子供たち」、紛争が続く故郷に残してきた愛犬を救出しようとするシリア難民が主役の「ブラボー、ゼウス」、アメリカのコンテストに出場する日本人トリマーのチャレンジを描いた「ハサミで勝負」など全6話。
見どころ
人間の言葉は話さないものの、犬たちの豊かな表情がとても雄弁に気持ちを語っている。
混じり気のない純度100%の愛情で、人間に寄り添ってくれる犬。セリフと音楽が少なめの静かなドキュメンタリーの中で、より一層犬のピュアな存在感が引き立っている。
本作を観ていると、犬と人間にも“運命の出会い”というものがあることがわかる。犬に興味のなかった人、あるいは犬嫌いだった人が、ある日突然雷に打たれたように“たったひとり”の運命の犬と巡り合う。そしてそこから、その人の人生がまるっきり変わってしまうことだってあるのだ。
どのエピソードもそれぞれ感動するのだが、中でもオススメなのが「漁の相棒アイス」。風光明媚なイタリアの田舎町で、漁師のお手伝いをする健気な老犬・アイスが主役だ。
アイスは年老いて体力がかなり弱っているのだが、それでも毎日必ず飼い主と一緒に船に乗り、片時も離れようとしない。
美しい自然の中、“ふたり”の何気ない日常がきらきらと輝く。
犬と人間は、時間の流れるスピードがちがう。同じスピードで老いてはいけないからこそ、一緒に過ごす一瞬一瞬が大切な宝物だと感じさせられた。
Netflixオリジナルシリーズ『ドッグ・ストーリー: あなたは一番の友達』
独占配信中
文/吉野潤子