プロの技をじっくり仕込む千葉ロッテの育成体制
果たして佐々木は、いつ一軍のマウンドに立つのだろうか? 彼の育成方法に関して、キャンプの時点で井口資仁監督は「基本的には吉井(理人)投手コーチに任せています」と語っていた。
「一軍の試合で登板するまでに、具体的にどのようなステップを踏んでいけばいいのか……。その内容も共有していますし、日々、報告も受けています。ただ、大枠以外の細かい点は吉井コーチに一任する形ですね。どんなスケールのピッチャーに成長してくれるのか、僕自身も楽しみです」
マリーンズは現在、球団を挙げて佐々木を中心とした若手選手の育成に取り組んでいる。井口監督によると「スタジアムだけでなく寮の食堂にも栄養士が常駐し、食事を管理している」という。
また、今年から順天堂大学と業務を提携。ケガ予防だけでなく、日々の体調面に関しても全面的にアドバイスを受けることになっている。サポート体制は万全だ。
佐々木は一軍の石垣島キャンプ最終日となる2月13日に初のブルペン入り。そのまま一軍のオープン戦に帯同し、ブルペン登板を重ねた。3月に入り、ブルペンでの変化球を解禁。3月下旬には、一軍練習でバッティングピッチャーを務め、プロで初めてバッターとの対戦も経験した。確実に前へ進んでいる。
残念ながら吉井コーチが一軍までのステップの詳細を明かしていないので断定はできないが、今後は、紅白戦などでの登板を経ながら、開幕後に二軍戦で先発マウンドを踏むことになるだろう。実戦を通して細かい技術的な修正として、例えば、ストレートと変化球を同じ腕の振りで投げられているか。ランナーを背負った際のピッチングはどうか。そのあたりを確認することになるだろう。ほかにも投内連係の細かいサインプレーも覚えなければならない。
新型コロナウイルスの影響が収まり、無事に開幕を迎えた後に、令和の怪物が完全にベールを脱ぐ日を心待ちにしたい。
キャンプ開始からの投球ステップ
STEP 1:キャッチボール
STEP 2:ブルペン入り
STEP 3:変化球を投げる
STEP 4:打者を立たせて投球
STEP 5:二軍戦での登板(!?)
数mの距離でキャッチボールするところから始まった、佐々木の育成プログラム。ブルペン入り、変化球の解禁、そしてバッターを立たせてのピッチングと、吉井コーチによる指導の下、じっくり進められている印象だ。
取材・文/田中周治 撮影/藤岡雅樹(本誌)