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【開発秘話】シリーズ累計6600万本以上売れている大正製薬「リアップ」シリーズ

2020.04.21

■連載/ヒット商品開発秘話

 薄毛で悩む人にとってありがたいのが、ドラッグストアで購入できる発毛剤。日本初の発毛剤として誕生したのが、大正製薬の『リアップ』シリーズである。

 まず1999年6月に『リアップ』を発売。その後、ラインアップの拡充を図り、2020年4月に最新の『リアップX5プラスネオ』を発売する。『リアップ』シリーズの中でも、有効成分に「ミノキシジル」を使った第1類医薬品の発毛剤だけで、これまでにシリーズ累計6600万本以上販売している。

2020年4月に発売になった『リアップX5プラスネオ』

600人もの被験者の協力を得て臨床試験を実施

 最初に発売された『リアップ』の開発が始まったのは1985年。アメリカのアップジョン社(現、ファイザー)が開発した発毛・育毛成分「ミノキシジル」の日本での導入契約を、同社とアップジョン社の間で締結できたことから始まった。

 同社は「ミノキシジル」を、日本国内では初の、医療用での発売を経ずに一般医薬品として発売するダイレクトOTC薬で販売することにした。ダイレクトOTC薬を目指したのはなぜか? 現在、『リアップ』シリーズの開発を担当するセルフメディケーション研究開発本部商品開発部 主任の横井芳昂氏は次のように話す。

「日本では多くの育毛剤は薬局で販売されていること、薄毛に悩んでいる人が薄毛を病気と捉え、病院で診察を受ける人が少ないことから、薬局で販売できるダイレクトOTCとしての販売を目指しました。現在、当社の会長である上原明が当時、アップジョン社に直接説明。その提案が評価され、数十社にのぼる製薬メーカーが手を挙げた中で導入契約を勝ち取ることができました」

 開発に当たり、600人の被験者による大規模な臨床試験を実施。頭髪の写真を撮影して見た目の変化を克明に記録しただけでなく、客観性を担保するために頭髪の本数も数えたりしたほどだった。

 臨床試験の結果、壮年性脱毛症(徐々に進行する遺伝性の薄毛や抜け毛)に効果が認められた。安全性については日本とアメリカの専門家に臨床試験データを開示し、客観的かつ厳しく評価してもらった結果、問題となる副作用は認められなかった。

 効果と安全性の両方が確認できたことから、同社は1992年に、厚生省に『リアップ』の製造販売承認申請をする。OTC薬は一般的に、1年程度で承認が得られるところ、承認を得たのは7年後の1999年2月。前例がないダイレクトOTCだけに審査が慎重になり、通常よりもはるかに長い時間を要することになった。

1999年6月発売された『リアップ』

誤差なく何回も計量できる容器の開発

 効能・効果に目が行きがちな『リアップ』だが、実は容器も注目すべきものである。つねに一定量を計量でき誤飲も防げる容器が採用されている。1日2回、1回につき1mLを脱毛している箇所に塗布するという用法・用量を守れるようにするべく開発された。

 開発した容器は、キャップを外し「アプリケーター」と呼ばれる先端部にある・印を[計量]のところにあることを確認した上で逆さにすると、薬液が「アプリケーター」内の計量室に正確に1mL注入される。薬液が注入されたら、ノズルがまっすぐ上に向くように容器を戻し、液面が計量線に来るまで数秒間待ったら、・印が[塗布]に来るよう「アプリケーター」を回し、再び容器を逆さにしてノズルを頭皮に当てると、薬液が塗布される。

 横井氏によれば、容器の開発で一番大変だったのは確実に計量できるようにするところだった。何回計量しても誤差なく1mL計量できるようするために、試行錯誤を重ねた。

『リアップ』の容器の使い方。塗布前に薬液を1mL計量し、誤飲も防止する。この容器の仕組みは後に発売される『リアッププラス』『リアップレディ』『リアップリジェンヌ』にも採用される

効能・効果、使いやすさともに向上した『リアップX5』

 こうして『リアップ』は完成し、発売へと至った。発売開始とともに品薄になるほどで、同社の予想をはるかに上回る勢いで売れていった。初年度の売上は60億円を計画していたが、最終的には297億円を達成。いかに爆発的に売れたかがおわかりいただけるであろう。

『リアップ』は2005年以降、ラインアップを拡充する。2005年以降、男性用のみならず女性用も市場に投入されたが、中でも画期的だったのが2009年に発売の『リアップX5』。有効成分の「ミノキシジル」の濃度をそれまでの1%から5%と高濃度にしただけでなく、新設計の容器を採用したからである。

『リアップ』シリーズにおける新商品投入のあゆみ(2005~15年)

2005年3月に発売された『リアップレディ』。日本初の女性用発毛剤で、『リアップ』と同様、有効成分「ミノキシジル」の濃度が1%

2008年1月に発売された『リアッププラス』。有効成分「ミノキシジル」濃度が『リアップ』と同じ1%のほか、頭皮環境を整える成分3種をプラスした

2009年6月に発売された『リアップX5』。有効成分「ミノキシジル」の濃度を5%に高めたほか、新設計の容器を採用した

2011年11月に発売された『リアップリジェンヌ』。『リアップレディ』をリニューアルしたもので、有効成分「ミノキシジル」の濃度が1%のほか、頭皮環境を整える成分3種をプラスした

2012年12月に発売された『リアップジェット』。すっきりと爽快な心地よい使用感のエアゾール。有効成分「ミノキシジル」の濃度が1%のほか、頭皮環境を整える成分3種をプラスした

2015年10月に発売された『リアップX5プラス』。有効成分「ミノキシジル」の濃度が5%のほか、発毛サポート成分3種をプラスした

『リアップX5』が開発された背景にあったのが、より効果の高いものを求めるニーズ。「海外ではすでに、『ミノキシジル』の濃度が5%の発毛剤が発売されていました。薄毛で深刻に悩んでいた人の中にはそのことを知っている人もおり、より効果が期待できるものを求める声が多く聞かれました」と横井氏。臨床試験を実施し、効能・効果と安全性を検証したところ、それまでのものより発毛効果が高く安全性にも問題がなかったことが確認された。

 新容器は、より簡単に計量できることを目指した。いくつかの案が検討されたが、最終的には、キャップを外して先端が真下に向くよう容器を逆さにし3秒ほどすれば、1mLの計量が完了。そのまま、先端を頭皮に当て押し込めば薬液が頭皮に塗布される仕組みになっている。また、塗布が終わってキャップを閉めるとき、しっかり閉めないと次回の計量ができないようになっている。頭皮に押し当てると先端の黒い部分が下がり計量済みの薬液が逆流しないようになるが、キャップを閉めると逆流防止が解除され、計量できる状態になるからである。

『リアップX5』の容器の使い方。『リアップ』に比べて簡単に薬液を計量できるようになった。『リアップX5プラス』『リアップX5プラスネオ』のほか、『リアップ』でも2020年4月から採用されている

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