テレワークを本格導入する際に押さえるべきなのが「コミュニケーションツール」「システム/セキュリティー」「労務管理/人事制度」の3点だ。それぞれの導入ポイントやよくある失敗、トラブルへの対処法について、働き方改革を推進するコンサルタント越川慎司さんに聞く。
まずは始業や終業などの連絡体制から整える
上述した3点のうち、企業側がまず着手すべきは「労務管理/人事制度」だと越川さんは話す。
「勤怠管理のポイントは、毎日の業務を自発的に〝見せる化〟すること。社員から毎日、朝と夕にチャットやメールで『始業・終業』の宣言をしてもらえば、上司や管理側も進捗がわかり、お互いの不安が払拭されて〝心理的安全性〟の確保にも役立ちます。なお、就業規則・雇用契約書・業務委託契約書の働く場所が『職場』に限定されている場合は『職場以外』を含めるような変更手続きが必要です」
次に検討すべきは「システム/セキュリティー」の見直しだ。
「『ガチガチのセキュリティーポリシー』が業務の支障になっていることがあります。対策としては、セキュリティーポリシーを『VPN(仮想専用線)で暗号化しつつ、アクセスを制限する』『VPNで暗号化』『暗号化なし』の3段階で、アクセスできるデータを見直しましょう。なお『社員全員が同時に社内データにアクセスできない』というトラブルには社内ネットワークの拡張で対応してください」
最後に「コミュニケーションツール」の重要性や導入ポイントを、越川さんは次のように話す。
「テレワークがうまくいっている企業の共通点は〝情報共有〟より〝感情共有〟を重んじ、チャットで腹を割って話せるなど、社員の『心理的安全性』が確保できていることが挙げられます。どんなツールを選ぶべきかは、職場メンバーのITリテラシーに応じた『使いやすさ』と『グループウェアとの親和性の高さ』を元に、皆で話し合って決めましょう」
クロスリバー
越川慎司さん
クロスリバー代表として働き方改革を支援。執行役員を務めるキャスターではテレワークにおけるITツール浸透支援を行なっている。
【STEP1】就業規則の確認/勤務時間の〝見せる化〟
テレワークで利用できる勤怠管理ツールがない場合はクラウドサービスなどを活用し、記録を残して上司に報告する。密に連絡を取る体制を整えることで、お互いの信頼を深めたい。
便利なテンプレートが揃う業務報告アプリも要チェック
勤怠管理を効率化するには、各種業務の報告に関するテンプレートを用意する「Check-in」のような業務報告アプリを使うのも手だ。
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