これまでオフィスワークだった人が突如として在宅勤務になった場合、自分で時間の管理をしなければならない。会社で働いていた時と比べて、会社軸ではなく、自分軸で動かなければならないため、戸惑っている人もいるだろう。また、自宅で1人、となると集中力を保ちにくい障壁もある。そこでセールスコンサルタントとして多数の研修や講座を行ない、経営者やリーダー、ビジネスパーソン向けの著書を多く持つ伊庭正康さんに、在宅勤務で成功している人が実践している、集中力をアップさせる3つの方法をアドバイスしてもらった。
1.「時間の制約条件」を課す
「オフィスや事務所にいると、会社が制約条件をつくってくれています。しかし在宅勤務ではそれがほとんどありません。つい、ダラダラと自分のペースでやってしまいがちです。だからこそ、自分自身で時間の制約を作ることが大事です」
[POINT]スケジュール・時間割を決める
「始業時間、休憩時間、終業時間を自分で決めて守ること。そうしないと、ダラダラ長時間労働となってしまいます」
[POINT]ToDoリストを作成する
「1日のタスクをToDoリストにまとめるのは、やはり効果的です。この時、各タスクの所要時間まで決めることがポイントです。そうしないと、在宅勤務では〝納得できるまで〟やってしまいます」
2.「誘惑に負けない環境」 を作る
「家は、事務所やオフィスと違って誘惑だらけ。『ちょっとテレビをチェックしてみよう』『SNSをチェックしてみよう』……『ちょっと』『10分だけ』と思っていたその『ちょっと』が、すぐに20分、30分と時間を無駄遣いしてしまいやすいのです」
[POINT]テレビはつけない
「テレビは誘惑の嵐です。見入ってしまうこともあります。テレビは基本的につけないのをおすすめします。静かな環境では集中できない場合、BGMを流すほうがいいでしょう。BGMを流すとテレビの音が邪魔に感じてくるので、自ずとテレビをつけたくなくなります」
[POINT]SNSをすぐにチェックできないように
「階層」の深いところにアプリを移す
「スマートフォン上で、SNSを容易にチェックできないようにしておきましょう。例えばSNSアプリをフォルダーの中に入れるなど、1段階深い階層に入れておくなどして、アプリを開く手間を増やすことをおすすめします」
3.「怠惰に負けない心身」 に整える
「在宅勤務中、『ちょっと体がだるい』『集中力がわかない』なんてこともあるでしょう。しかし、それも自己責任。それが在宅勤務というものです。また、ずっと家にいると、ボ~っとし、体がだるくなることがあります。おそらく血流が悪くなることで、脳にも血液がいきにくくなるのだと思われます。ふだんから心身をベストな状態に整えるのも仕事です」
[POINT]起床・就寝時間を変えない
「始業時間や終業時間に加えて、起床時間と就寝時間も決めてしまい、それを変えないようにするのをおすすめします。1回でもダラダラ深夜まで仕事をしてしまうと、寝るのが遅くなり、起床時間も後ろ倒しになります。そうしてだんだん夜型になって生活リズムが崩れ、調子が悪くなることもあります」
[POINT]1日に最低1回は外に出て歩く
「在宅勤務だと一日中外に出ないこともありますが、1日に最低1回は外に出て歩くことをおすすめします。歩くことは健康のためにも、アイデア活性のためにも、何かと大事です」
[POINT]運動不足で間食をとると頭とカラダが重くなる
「運動不足になりがちなので、外を一定時間歩く習慣をつけたり、ストレッチや筋トレなどのエクササイズ習慣をつけたりして工夫しましょう。間食をしてしまう人は、糖質の少ないものを選んで眠くならないようにするなどして、カラダも頭も軽やかにするよう工夫をしましょう」
今回の新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を初めて行なったという人も多いだろう。まずは自分にとって良い習慣を作りながら、最も集中しやすい形を見つけていくことを心がけよう。
取材協力/伊庭正康さん (株)らしさラボ 代表取締役。営業強化、リーダー強化など、年200回の研修・講演・コーチングを行なう。『できるリーダーは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など20冊以上を執筆。仕事の悩みに答えるYouTube「研修トレーナー伊庭正康のビジネスメソッド」もスタート。http://www.rasisalab.com/
取材・文/石原亜香利
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