山下さんが働くのは、鶏卵の最大手・イセ食品。新商品開発のために設立されたイセたまご研究所で、最新設備を駆使しながら、味の分析や卵の物性の評価など、日々さまざまな実験を行なっている。
「卵は年間に平均337個食べるというデータがあるほど日本で親しみ深い食品なのに、未だ解明されていないことが多いんです」
山下さんは1993年生まれ、京都府出身。京都女子大学家政学部食物栄養学科に入学し、4年生の時から同大学院まで一貫して卵を研究。2018年にイセ食品に入社。管理栄養士の資格を持っている。
「もともと栄養学を志望した一番の理由は、モテそうだと思ったから(笑)。料理は上手になったし、『胃袋をつかまれる男性は多そう』ってよく言われるんですけど、実際はそんなでもないですよね(笑)」
今、商品化に向けて研究しているのは、長期保存ができ、なおかつ121℃まで加熱しても固まらない卵黄『ロングライフ液卵』だ。『ロングライフ液卵』を開発できれば、ソースや飲料など、卵の応用の幅はさらに広がる。国内外の食品メーカーから大きな注目を集めているという。
「液卵の研究を国際的な学会であるインターナショナル・エッグ・シンポジウムで発表したところ、企業からの引き合いが多くあり、とても驚きました。まずは『ロングライフ液卵』を完成させ、次に新しいタイプの卵の商品も開発したい。あたためているアイデアはたくさんあります!」
Q.休日はどう過ごしていますか?
家で映画鑑賞と料理。最近はスパイスカレー作りにハマっています。ぬか床も始めました。お酒も大好きで、ワイン以外ならいくらでも飲めます。家で映画鑑賞しながら、ぬか床に漬けた野菜やチーズなどとあわせて日本酒を飲むのが幸せ。友達とお酒を飲みに行く時は、赤ちょうちんやおしゃれなイタリアンが多いですね。好みが極端なんです。
Q.仕事をする上で欠かせない道具や習慣はありますか?
味覚センサーや粘度計、温度を一定に保つためのインキュベーター、滅菌器などです。研究所は4年前にできたばかりで、大学よりはるかに最新の設備がそろっています。習慣は、母からもらったティファニーのアクセサリーを着けること。母は割と厳格な人なので、これを身に着けるとシャキッとします(笑)。
Q.これは職業病だなと感じる癖はありますか?
管理栄養士でもあるので、雑談のついでに栄養指導みたいなことをする癖があります。「朝、昼、晩、ちゃんと食べてますか?」「野菜はどのくらい食べてますか?」とか、2~3時間くらいの飲み会の30分くらい質問攻め。特に最近太ったという人はターゲットになりやすい(笑)。飲み会ではトレンドの料理や食習慣など、仕事にいかせるヒントを得ることもあります。
Q.好きな本やマンガ、映画を教えてください。
小説なら西加奈子さんの『サラバ!』は、繰り返し読むほど好きです。マンガだと最近は『王様ランキング』をよく読んでいて、ひたむきに頑張る主人公の姿にハマりました。映画は『プラダを着た悪魔』『マイ・インターン』『ショーシャンクの空に』。主人公が新しい環境で奮闘しながら、自分の居場所を見つけていくストーリーにひかれます。読んで、観て、私も頑張ろう!と元気をもらえる作品が好みなんです。
Q.犬派? 猫派?
猫派です。アレルギー体質ですけど、猫飼育可のマンションに住んでいて、いつか飼おうと計画中。耳が曲がったスコティッシュフォールドはほんとに可愛くて、サイトなどでよくチェックしています。
Q.好きな男性のタイプを芸能人で例えると?
千葉雄大さん。バラエティーでみせるリアクションがおもしろいし、笑った時に頬がキュッと上がるところは小悪魔的な感じがして可愛い。
Q.やってみたいこと、行きたい場所、欲しいモノはありますか?
英語をもっと勉強したい。フランスとカナダへ留学したことはありますが、ビジネス英語に強くなるために、最近はTOEIC受験を考えています。いつかまた海外に長く滞在して、栄養学の基礎研究をしながら、学びを深めたいですね。強制されない勉強って意外に癒されませんか? 私、結構好きなんですよ。
取材・文/佐藤太志 撮影/西村智晴 ヘアメイク/佐藤美香 撮影協力/Dr.Cafe 本店