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4月の法改正で税額控除が最大9割になった「企業版ふるさと納税」企業側にもたらされるメリットは?

2020.04.15

企業から自治体への寄附事例が少ないことが課題となっている「企業版ふるさと納税」。ふるさと納税総合サイト“ふるさとチョイス”を運営するトラストバンクが行った調査で、企業担当者の同制度についての認知度は約8割にも上る一方で、今年4月より適用となった、税額控除の割合がさらに3割拡大する等の法改正の内容について知っている担当者は約5割ということがわかった。そこで、法改正の内容と、改正後の企業にとってのメリットを探る。

企業版ふるさと納税 2020年4月1日から税額控除が最大9割に

企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して、企業が寄付を行った際に税額が控除される制度だ。正式名称を『地方創生応援税制』という。

2016年に開始され、2019年度で終了予定だったが、2020年4月1日より制度の期限が5年延長されることとなった。そして税額控除の割合は、従来の約6割から約3割拡大して最大9割となり、企業は実質約1割の負担で自治体に寄付できるようになる。

例えば、1,000万円寄附すると、最大約900万円の法人関係税が軽減される。

この企業版ふるさと納税は、2018年度の寄付実績は34億円前後(内閣府「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の寄付実績(平成28 年度、 29 年度、 30 年度)について」より)と、個人版ふるさと納税の5,127億円の受入額に対し、まだ活用例が少ない課題がある。

企業版ふるさと納税の認知度は約8割だが、法改正内容の認知度は約5割

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する、株式会社トラストバンクは、 企業版ふるさと納税とその法改正後のことについて、全国の企業規模300名以上の企業に勤める、企業版ふるさと納税の導入において決定権のある、会社員・会社役員・経営者の400名を対象に、法改正前の2020年3月13日~3月16日に調査を実施した。

企業版ふるさと納税について知っているかを聞いたところ、「知っていた」が54.0%、「なんとなく知っていた」が24.8%で、合計78.8%と、約8割の人が本制度を知っていた。

Q.企業版ふるさと納税制度(正式名称:地方創生応援税制)は、企業が自治体に寄付をすると税負担が軽減される制度のことで、寄付額の最大 6 割が税額控除される仕組みです。本制度のことを知っていましたか。(n=400)

一方で 2020年4月から適用された改正内容については、「改正の内容までは知らなかった」が41.2%、「全く知らなかった」が11.5%と、約半数が知らないという結果となった。

Q.2020年4月以降、企業版ふるさと納税が改正され、控除額が 6 割から最大 9 割が控除されるようになることは知っていますか。(N=364*)(*上記設問で「知らなかった」と回答した人を除く)

2020年4月の法改正後、約8割が利用したい、利用に興味があると回答

法改正の内容を知ったところで、利用に興味を示した人は多くいた。

法改正後、実質最大1割負担で活用できる企業版ふるさと納税を利用したいかを聞いたところ、「利用したい」、「利用を検討する」は56.8%、「未定だが興味はある」も合わせると79.8%と、約8割が利用意向や利用することへの興味を示した。

Q.法改正後、実質最大1割負担で活用できる企業版ふるさと納税をあなたの企業において利用したいと思いますか。※2020年4月以降、企業版ふるさと納税が改正され、控除額が6割から最大9割が控除されるようになります。(n=400)

企業のメリット最多は「自治体との関係構築」

法改正後に企業版ふるさと納税について利用したいと回答した人は、どんなところにメリットを感じたのだろうか。

アンケート調査で企業版ふるさと納税についてのメリットを聞いたところ、「地方自治体との関係構築」と回答した人が61.2%となり、約6割が企業版ふるさと納税の利用の動機として「自治体との関係作り」をメリットとして考えていることが分かった。

Q,企業版ふるさと納税制度には様々なメリットがあると言われています。利用したいと思ったメリットについてお答えください。未定だが興味はある、分からないと回答された方は、どのようなメリットがあれば利用したいと思うか、お選びください。(いくつでも) (n=381)

次いで、「SDGsなどブランディングの一環」「地方創生事業の展開を予定」といった自社ブランディングや地方創生事業に絡めて、メリットを感じている部分もある。

寄付したいプロジェクトジャンル、トップは「環境保全」

実際、企業版ふるさと納税で自治体に寄付したいプロジェクトのジャンルはどのようなものだろうか。調査では、半数以上の企業が「環境保全」(54.5%)と回答した。

トラストバンクは、生産活動を行う、特に製造業を中心とする企業にとって、環境問題は社会に直接的に影響を及ぼす問題であり、社会的責任を感じやすい領域であることが伺える結果となったと分析している。

Q,もし企業版ふるさと納税で寄付するとなった場合、どのようなプロジェクトに興味がありますか。(いくつでも) (n=400)

改正後も利用意向のない企業「利用するメリットを感じられない」が37%

一方で、改正後も企業版ふるさと納税を「利用する気がない」、もしくは「利用したいが難しい」と回答した人も一定数いた。

当制度を利用しない理由について聞いたところ、37%の人が「利用するメリットを感じられない」と回答した。個人版ふるさと納税のように、寄付のお礼として返礼品がもらえるといった明らかなメリットがないことが要因と、トラストバンクは考察している。次いで「自治体のプロジェクトに魅力を感じない」が23.9%となり、自治体がいかにプロジェクトの必要性や共感を得られるかが課題として浮かび上がる結果となった。

企業版ふるさと納税は、4月1日からの法改正で最大9割の税額控除となり、企業にとっては魅力的なものとなりそうだ。しかし、法改正内容についての認知度がないこと、企業内での決裁に時間がかかること、個人版ふるさと納税の返礼品のような目に見える対価がないこと等が普及における課題と言えそうだ。当法改正を受け、企業がどのような動きを見せるか注目といえる。

【参考】
企業版ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/enterprise/

取材・文/石原亜香利

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