
転職サイトに必ずある検索欄。あなたがもし転職を志すとしたら、いったい、どんなワードを打ち込み、Enterキーを押すだろうか?
そんな求職者の検索ワードの“今”を読み解く調査がこのほど、株式会社リクルートキャリアにより行われた。
なお本調査は、『リクナビ NEXT』で求職者が検索したワードから、求職者が注目した「検索ワード」を集計・分析したものだ。
調査トピック① 「働き方ワード」ランクイン数の伸長
2015年頃から「働き方改革」が社会的に注目されるテーマとなる中、『リクナビ NEXT』内で検索された「検索ワード」ランキングにおいて100位以内にランクインした「働き方ワード」のランクイン数は11ワードあり、2014年の3ワードと比較して約4倍に伸長した。
2019年にランクインした「働き方ワード」のうち9ワードは、2014年当時は 100位圏外であった。直近5年間で多様な「働き方」を求めるワードが求職者間で浸透していることが判明した。
※2019年の順位を降順でソート
「検索ワード」ランキング100位以内にランクインした「年代ワード」は6ワードあり、2014年の4ワードと比較して1.5倍に伸長した。
調査トピック② 女性の検索傾向が高い「働き方ワード」
「働き方ワード」の検索回数について“性別”で分析が行われたところ、下記のことが判明した。
・「検索ワード」全体の女性の比率が41.9%であったのに対し、「働き方ワード」では59.8%であることがわかった。中でも「在宅」「有休消化率」「ワークライフバランス」の検索傾向が高かった。
・「検索ワード」全体の男性の比率は58.1%であるのに対し、「働き方ワード」では40.2%と低い結果を示すことがわかった。一方、「転勤なし」「完全週休2日」「残業なし」では40.2%を大きく上回る検索回数であることがわかった。
調査トピック③ 20代の検索傾向が高い「働き方ワード」
「働き方ワード」と「年代ワード」の検索回数について“年齢”で分析が行われたところ、下記のことが判明した。
・「検索ワード」全体の20代の比率が36.5%であったのに対し、「働き方ワード」では50.0%であることがわかった。
・「検索ワード」全体の40代、50代の比率合計が30.2%であるのに対し、「年代ワード」では77.5%であることがわかった。中でも、40代、50代では「中高年」「年齢不問」の検索傾向が高かった。
■解説~終身雇用から終身成長へ
求職者の検索傾向の変化からは、働く個人のライフフィット志向の拡大や、長期活躍志向の拡大といった深層心理が見えてきます。企業寿命と職業寿命の逆転、人生100年時代による生き方の多様化。こうした変化を背景に、働く個人は、「終身雇用より終身成長」へ、仕事選びの重視項目をシフトしているのです。
「その時々のライフステージの制約(時間や場所など)にあった働き方をしたい」「生活を充実させながら、同時に、やりがいのある仕事をしたい」「いくつになっても成長できる機会が欲しい」「会社を卒業した後も、声がかかる実力を身に着けたい」。人生100年時代を生きる働き手からは、こうした声が聞こえて来るのです。「働き方改革」が叫ばれる中、「有給休暇」「在宅勤務」などの制度を訴求する企業が多くなってきました。
一方で、実際の取得率や実体的な取得風土を訴求できている企業はまだ少数です。また年齢によらず実力で評価する機会、社員の卒業後の活躍などを具体的に訴求できている企業はまだ少数です。ライフフィットな環境とエンプロイアビリティ**向上の機会の同時訴求。これこそ、「終身成長」時代の採用成功のカギとなるでしょう。
<藤井薫>
1988年リクルート入社。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長を歴任。リクルート経営コンピタンス研究所、14年からリクルートワークス研究所兼務。変わる労働市場、変わる個?と企業の関係、変わる個?のキャリアについて、多様なテーマを発信。 著書『働く喜び 未来のかたち』(言視舎)
【言葉の解説】
* ライフフィット:「生活にフィットした」という意味。
** エンプロイアビリティ:経営学用語のひとつ。企業が従業員を雇用する場合に、その従業員が持っている雇用に値する能力のことを指す。
出典元:株式会社リクルートキャリア
構成/こじへい
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