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フィデリティ・インターナショナルのアナリストが読み解く新型コロナによる日本企業の業績への影響

2020.04.11

世界の25か国及び地域において投資家向けに資産運用サービスを展開するフィデリティ・インターナショナルが毎年実施しているアナリスト・サーベイ(アナリスト調査)の日本語版が、このほど発表された。

アナリスト・サーベイは、フィデリティ・インターナショナルの世界中のアナリスト150名超が各国企業の状況変化を早い段階で認識し新たなトレンドや投資機会を見極めることを目的に、毎年すべての地域とセクターを対象に実施している。

日本語版では、グローバルな調査の中の日本企業に関する詳細な分析が行われた、ポイントは以下の3点についてとなる。

●日本企業のファンダメンタルズと人口高齢化の影響
●日本企業の株主・資本政策における変化
●新型肺炎の日本企業への影響

日本企業のファンダメンタルズと人口高齢化の影響

日本の人口高齢化はビジネスチャンスであり、新たな事業機会が生まれようとしていると当社アナリストは分析している。

特に、ヘルスケア・セクターにおける医療の効率化、テクノロジー・セクターにおける省力化・自動化などが追い風となっている。ヘルスケア・セクターについては、人口高齢化は脅威でありかつチャンスであると考えられる。

人口高齢化は患者の増加から医療コスト増につながり、経済協力開発機構(OECD)主要各国とも国内総生産(GDP)以上の成長率で2030年まで医療費が増加すると推定されていることは社会的な脅威。

しかし、解決策として「医療の効率化」と「予防・早期診断」の重要性が高まり、新たな事業機会が生まれている。

インターネットやIT技術の普及によって患者と医師の情報の非対称性が薄れていく中で、従来型のビジネスモデルから今後は患者自身によりフォーカスしたビジネスモデルへの変革が必要になってくると考えられる。

つまり、予防治療から患者の社会復帰まで含めたソリューションを提供することが求められ、患者の問題を効率的に解決し付加価値を提供することができる企業が生き残るだろう。

このような事業環境に加え、ヘルスケア・セクターにとっては中国市場がさらなる成長ドライバーになっている。中国においても高齢化の進展がみられる中で、ヘルスケア市場は高いポテンシャルが期待される。

中国企業と比較すると、日本企業は製品の品質の良さ・サービス体制に強みがある。医薬品・医療機器企業の海外売上比率は今後も上昇すると見込まれ、特に成長の早い中国と、市場規模の大きい米国、さらにインドもターゲットになってくると考えられる。

ただし、現状では医療インフラの未整備などからインドの開拓には時間がかかるだろう。

テクノロジー・セクターについては、日本を含むグローバルな人件費の増加を背景にファクトリー・オートメーション(以下、FA)とロボットの導入が自動車、精密機器など様々な分野で進展しており、関連する企業の追い風となっている。

特に産業用ロボットの分野において、日本には世界をけん引するトップメーカーや部品メーカーが存在しており、こうした流れの恩恵を多大に受けている。近年では、産業用ロボット以外にも、人間とともに作業を行う「共同ロボット」の普及が始まっており、医療分野等での活用が進展している。

半導体・半導体製造装置関連の売上高比率でみてもPCやスマートフォンといった民生品市場向けからFAや自動車、さらにはデータセンター向けへのシフトが足元で起きている。今後については、5GやIoT向けの需要がさらなる利益成長をけん引していくことが見込まれる。

日本企業の株主・資本政策における変化

同社アナリストの分析によると、8年前と比較し足元では、株主資本利益率(ROE)のターゲットを公表する企業は35%から65%まで増加している。

同様に、株主利回り(Shareholder return)のターゲットを公表する企業も30%から45%まで増加している。

こうした企業の取り組み姿勢を反映し、実際の日本企業のROEは改善傾向がみられるほか、自社株買いの増加や配当性向の改善もみられてる・

ヘルスケア・セクター、テクノロジー・セクターともに利益水準の上昇に沿って増配を行っており、2020年にかけては業績の回復とともに、配当もそれに合わせた増加幅になると推測される。

このほか、日本企業におけるM&Aの増加も見逃せない。M&Aの増加が株価のバリュエーションの適切な評価につながると期待される。

ヘルスケア・セクターにおいては、自社の弱みである分野を買収によって補う動きがある。

また、テクノロジー・セクターにおいては、株主を重視した政策の進展、親子上場の企業も目立ち、こうした企業の株式公開買い付け(TOB)増加などがバリュエーション改善の遠因となると見込まれる。

ESGおよびSDGsについては、日本企業全体として近年取り組みが急速に強化されている。

また、エネルギー消費の削減という社会的な長期目標の下、省力化・自動化という流れはFAや省エネ半導体などへの需要の追い風となっており、ESGおよびSDGsが直接的な収益に結びついているケースもある。

一方で、ガバナンスについては各社改善の余地がある領域であり、社外取締役の増加や外国人の取締役起用がみられる企業もあるが。今後さらに強化がなされるべきと考えられる。

新型肺炎の日本企業への影響

日本企業にとっても、中国におけるサプライチェーンを通じた新型肺炎の影響が懸念されているが、食品関連や電子部品関連の工場が先んじて再開したほか、自動車についても各社の工場の再開が進んでいる。

しかし、非常に稼働率が高かった工場では、迅速に生産の後れを取り戻すことができるか否か、今後も慎重に見極める必要があるだろう。

なお、中国政府は自動車企業へのサポートや購買へのインセンティブ策の導入を通じて自動車業界をサポートすると見込まれ、その点では長期的には需要が上向くとの前向きな見方も台頭している。

医薬品業界などでは、検査機器・検査薬などで複数の企業に“特需”が発生している一方で、政府の入札・予算執行の遅れ等が悪影響を及ぼすと懸念される。

また今回の件を受けて、様々なサービスのインターネットへの移行や、工場の自動化が一段と加速していくと見込まれ、テクノロジー・セクターにとっては売り上げの増加が期待される。

また、リモートワークやテレワークが今回の出来事ではクローズアップされている一方、同時多発的なアクセス負荷が処理できず、様々な企業にて通信インフラのキャパシティー不足が露呈したという結果になった。

これらの課題を解消するために、サーバー等の通信インフラに関する需要なども増加していくと見込まれる。

このように、短期的な影響のみならず、長期的に人々の消費パターン、行動パターンにどう影響を及ぼしていくのかが重要なポイントとなるだろう。これらの影響を慎重に見極めつつ、市場の変動がもたらす投資機会を探る必要がありそうだ。

アナリスト調査レポートの全文は、下記の URL よりご覧いただける。
https://www.fidelity.co.jp/static/japan/pdf/whatsnew/20200302_1.pdf

出典元:フィデリティ投信株式会社

構成/こじへい

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