人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

政府が改定した「SDGs実施指針」の評価すべきポイントと残された課題

2020.04.10

昨年の12月20日、政府のSDGs日本政府「SDGs推進本部」が、「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する日本の国家戦略である「SDGs実施指針」を改定した。

これを受け、一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(以下、SDGsジャパン)は改定された「SDGs実施指針」に関する市民社会としての評価と見解を発表した。

SDGsジャパンは、この指針改定について、政策提言を積極的に行ってきた。この立場より以下、改定された「SDGs実施指針」に関する市民社会としての評価と見解を紹介したい。

SDGsジャパンが日本政府の「SDGs実施指針」改定を受けた市民社会の評価を発表

1. ジェンダー平等が優先課題の1番目に明記されたことを歓迎

今回の指針(以下、改定指針)では、「ジェンダー平等」が、政府が定める 8 つの「優先課題」のうちの一つとして、「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」という形で明記された。

また、「すべての課題への取組において主流化する必要のある分野横断的課題として取組を推進していく」として、取り組みの方向性も明示された。

さらに、「実施のための主要原則」の「(2)包摂性」の箇所においても、ジェンダー統計の充実を含むジェンダー主流化の重要性が明記された。これは、改定指針の骨子案について政府が実施した「パブリック・コメント」募集に対して提出された 303 件のパブリック・コメントのうち、28%がジェンダー関連であったこと、また、SDGs ジャパンをはじめ、様々な団体や関係者などが、ジェンダーについて明記するように求めたことを反映したものだ。

2. マルチ・ステークホルダー・プロセス及び地域との連携重視の視点が盛り込まれたことを評価

改定指針では、政府の役割に関する記述が一定、増大するとともに、円卓会議などを活用したマルチ・ステークホルダー・プロセスの強化がうたわれている。

SDGsジャパンは、この課題について、円卓会議の活用と共に、国連の「持続可能な開発」プロセスで様々な非国家主体の参画の仕組みとして位置づけられている「メジャー・グループその他のステークホルダー」(MGoS)のような仕組みを導入することも求めていた。

指針ではそこまでは入らなかったが、円卓会議を活用して様々な手法での「マルチ・ステークホルダー・プロセス」の実施に希望が持てる内容となっている。

また、「主なステークホルダーの役割」において、SDGsにかかわるステークホルダーの役割が以前より詳細に規定され、その中で「市民社会」において、社会の中で取り残されがちな人々(当事者)の声を反映させることの重要性についても、一定、記述がなされた。SDGsジャパンは、これについても歓迎するという。

3. 旧「実施指針」につけられていた「付表」が「アクションプラン」に置き換えられたことに懸念

旧「実施指針」には、SDGsにかかわる政府の各種施策が、数値目標なども含めた形で「付表」としてまとめられていたが、改定指針では、これが、毎年6月および12月の推進本部会議で採択される「アクションプラン」に置き換えられた。

現在の「アクションプラン」には、SDGsにかかわる各種施策の予算額等は書いてあるが、それぞれの施策が掲げる数値目標などは書かれていない。

また、「バックキャスティング」については、その考え方を踏まえる、との記述がなされたことは評価できるものの、日本政府としてグローバル指標を尊重しながら「2030年目標」を定め、また、現状を政府自らが評価して、それを目標達成のための実施戦略にフィードバックする、といったことについては明記されなかった。

SDGs達成まで11年しかないところ、目標の設定と現状の評価、それを踏まえての戦略形成は不可欠だ。SDGsジャパンは「付表」を単に既存の「アクションプラン」に置き換えるということであれば、これに強い懸念を表明するという。

また、「アクションプラン」の在り方を変え、各課題の目標とその達成のための施策を示すことで、政府としてどのような成果を目指すのかを明示することを提案する。

4.「バックキャスティング」手法の導入による大胆な変革を期待

昨年9月にニューヨークで開催された「国連SDGサミット」の成果文書「SDGサミット政治宣言」においても、「飢餓、ジェンダー、格差、生物多様性、環境破壊、海洋プラスチックごみ、気候変動、災害リスクへの対応に遅れがみられる」との指摘がおこなわれ、厳しい危機意識と共に、2020-30年の「行動の10年」が呼び掛けられた。

指針の「ビジョン」で示されているように、日本が国内外に「先駆者」として「日本の『SDGsモデル』」を発信するのであれば、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を基本に、高いレベルの「2030年目標」を掲げ、グローバル指標に基づく各ターゲットの現状と目標のギャップを分析して評価し、目標の実現に向けて資金を配分し、取り組みを進めていく「バックキャスティング」を大胆に取り入れていくことが必要不可欠だ。

それは、国民・市民や、日本のSDGs実践に注目する海外の関係者に対して、SDGsに関する日本の取り組みを「見える化」することにもつながる。

5 「貧困の根絶と格差の是正」を、今後のSDGs実施関連施策で最重要項目とすること、さらに「防災・減災」および「地域の経済・社会の活性化と環境の持続可能性の確保」も明示することを期待

改定指針についてSDGsジャパンが最も残念に思ったのは、「貧困の根絶と格差の是正」について、具体的な施策が書かれなかったことだという。

貧困の根絶と格差の是正は、SDGsの中でも最も重要な目標の一つ。

また、ベルテルスマン財団/持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)とOECDの双方から日本の課題として指摘されている目標の1つが「ゴール10不平等」であることからも、格差の問題への取組は喫緊の課題だ。

SDGsジャパンは、SDGsにおける貧困・格差の是正の重要性に鑑み、社会的排除と貧困の関連性を想起しつつ、今後、この分野にかかわる施策について、SDGsへの取り組みの重要項目とすることを求める。

また「仙台防災戦略」でも示された「防災・減災」と、「地域の経済・社会の活性化と環境の持続可能性の確保」も、重要な施策領域として位置づけることを期待するという。

構成/ino

新型コロナウイルス対策、在宅ライフを改善するヒントはこちら

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2021年4月15日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「スマホLIVEスタンド」! 特集は「投資の新常識」&「輸入食材スーパーの極上グルメ」

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。