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「今、自分たちにできるのは責任ある行動を取ること」外出禁止が長期化するフランス在住のサッカー日本代表GK川島永嗣が伝えたいこと

2020.04.06

 新型コロナウイルスの感染拡大で世界中のサッカー界が甚大な影響を受けている。Jリーグも3日の新型コロナウイルス対策会議での専門家の提言を受け、4月25日にJ3、5月2日にJ2、5月9日にJ1としていた再開予定を白紙に戻すという決断をした。

リーグ再開に向けて努力を続けるJリーグ

「今まで専門家の先生方は『3密』を回避することで再開できるという論点で考えていた。それが今日トーンが明らかに変わった。岩手や鳥取のような感染者未確認地域も今後感染地域になる可能性があるということだったり、選手の移動中に感染リスクにさらされる可能性があるということで、スタートそのものが難しいというメッセージを受け取った」と村井満チェアマンも厳しい表情で語っていたが、Jリーグの再開は早くても5月末、現実的には6月以降にずれ込むことになるだろう。

 そうやって少しずつリーグ再開が後倒しになっている日本とは違い、欧州では中止後の見通しが全く立っていない国が少なくない。死者が1万人を超えたイタリア、スペインはもちろんのこと、7500人を突破したフランスもそう。3月17日から始まった外出制限が4月15日まで延長され、解除されるメドは立っていない。リーグアンも3月8日の試合を最後にストップしたまま。日本代表GK川島永嗣の所属するストラスブールは2月29日のモンペリエ戦を最後に公式戦から遠ざかっている状況だ。

コンディション自体は落ちてない、ポジティブに日々を過ごすことが大事

 現地で自宅待機を続ける川島に今回、緊急インタビューを行なうことができた。

「3月7日に行われる予定だったパリ・サンジェルマン戦がキャンセルになったところまでは練習していたんです。その後、1週間オフになったので待機していたら、17日に外出禁止令が出た。それからは週に1度、買い物に行くだけで全く外に出ていません。

 スーパーは郊外の空いているところに行くので、日本のニュースで流れている街中のお店のようなことはないですが、お店に入るのに1~2mの距離を空けて待ったり、パスタがなかったりということはあった。今はみんな冷静に現状を受け止めている気がします」

 と彼は神妙な面持ちで言う。

 ただ、トップアスリートにとって練習ができないのは苦痛以外の何者でもないはず。チームからメニューを渡されているため、家で体幹強化をしたり、自転車やローイングマシンを使って心肺機能を上げたり、部屋の壁にボールをぶつけてキャッチしたりなど、できる限りのことはやっているが、実戦感覚はピッチに立たなければ維持できない部分はある。そこは難しい点だろう。

「全体練習できなくなってから1カ月くらい経ちますけど、自主トレは毎日、しっかりしているんで、コンディション自体は落ちてないという自信があります。僕は2015年に半年間無所属だったことがあって、あの時も全体練習が思うようにできなかったんで、その経験が生きてるところもありますね。

 先の見通しは全くつかないし、リーグ再開も見えてこないんで、不安は募りますけど、自分には幸いにして一緒に過ごす家族がいる。子供と遊んでいたりすると時間が過ぎるのは比較的早いと感じます。

 独身のチームメートが『やることがない』『先々どうなるんだろう』と時々、メールで不安を訴えてきますけど、1人だとあれこれ考える時間が長い分、辛さも増してくるんでしょう。こういう時はどれだけ前向きになれるかが大事だと思います」

 と37歳のベテラン守護神は冷静に語る。

 日本の場合、選手たちはそこまで缶詰になることなく、チーム練習に参加し、テストマッチも消化できていた。しかしながら、ここへきて元日本代表の酒井高徳(神戸)らJリーガー3人の感染が発覚。活動を一時休止するチームも出始めた。再開もさらに先延ばしになり、今が一番、不安な時なのかもしれない。そんな仲間たちに川島はポジティブシンキングの重要性を訴える。

「試合がなければコンディションが落ちるのではないかという不安は誰にでもあります。もどかしい思いも分かります。ただ、日本はまだシーズンが始まったばかり。『長いオフシーズンが続いている』というくらいに考えれば、落ち着けるのかなという気がします。外出自粛になる選手も多いと思いますけど、家の中でできる楽しいことを探すのも大事。長い目で見て取り組んでいくことが重要ですね」

 しかしながら、プロ選手は試合に出てナンボ。クラブとの契約期間は基本給は保証されるだろうが、出場給や勝利給は入らない。コロナ騒動が長引けば長引くほどクラブ経営にもダメージが広がる。大幅減俸や契約解除される選手も出てこないとも限らないだけに、本当に不安は募る。川島自身は2021年6月まで契約が残っているものの、全く影響を受けないとも限らないのだ。

「欧州はそういう問題はよりシビアで、最初に1週間、オフになる時に『クラブが給料を払わないかもしれない』という話が耳に入ってきました。世界中のスポーツクラブが厳しい状況に瀕しているのは紛れもない事実でしょう。サッカー界を守るために選手も協力しないといけないし、選手側も守られるべき。どうしたらバランスを取れるかをみんなで考えていく必要があると思うんです。

 クラブスタッフも選手も一律何%か減俸を受け入れるとかいろんな方法はあるだろうけど、何とか支え合う方法を見つけないといけない。この先、困難はコロナだけじゃないだろうし、何かあった時でも乗り切れるシステムをみんなで作り上げる時期にきているのかなと僕は感じます」

少しでも早く問題解決を図ろうと動き、発信しているJリーグの積極的な姿勢は欧州も見習うべき

 そうやって世界中のサッカー界が今、まさに混とんとした状況にいるが、少しでも早く問題解決を図ろうと動き、発信しているJリーグの積極的な姿勢を、川島はポジティブに受け止めている。

「プロ野球との連絡会議を開いて専門家の意見を聞いたり、段階的に試合を開催しようとするなど、何とか公式戦を再開するためのアイディアを次々と出している。それは本当に素晴らしいことだと思うんです。

 フランスにいると、リーグからそういう発信がないことに不安を感じます。『5月頭に再開して6月末にリーグを終わらせたらどうか』『シーズンの終わりを12月にすれば、2022年カタールワールドカップに合わせる意味でちょうどいい』といった意見がクラブの監督やコメンテーターから出ていますけど、リーグ幹部の公式見解は聞こえてきません。Jリーグの迅速な対応は欧州サッカー界も一目置いているのかなという気がしますね」

 そうやって試行錯誤を続けてはいるものの、コロナの猛威が衰える気配はない。日本も感染者が続々と増え、終息とはかけ離れた状態だ。欧州のように徹底的に外出を控えて感染を防ぐというのが一番の解決策ではないかとさえ思えてくる。川島も感染者の多いアルザス地方に暮らしているだけに「ステイ・ホーム」の重要性を日々、切実に感じているという。

「今はストラスブールでもマスクや手袋をつけて買い物に来る人がかなり増えました。それと同時に感染者も急増し、アルザス地方は病床がいっぱいになり、新たな重症患者が隣接するドイツの病院に搬送されています。そうやって医療関係者が誠心誠意、治療に努めても亡くなる方はいます。感染しなければ命を落とさなくてよかった人がこの世を去るというのは本当につらいこと。だからこそ、1人1人が責任ある行動をとることが大事なんだと痛感します。日本はまだ外出禁止になっていないかもしれないけど、だからこそ、より個人個人の意識が大事。僕は遠いフランスからそんな思いを伝えたいです」

 日本より厳しい環境にいる彼の言葉は思い。我々は今一度、しっかりと耳を傾け、日ごろの行動のあり方を見直してみることが肝要だ

取材・文/元川悦子

 

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