
一般的に先進的でラジカルなイメージの強いIT業界。この度のコロナショックを受けて、導入の機運高まる「テレワーク」をいち早く取り入れているような印象を持たれる人も多いことだろう。
しかし実は、テレワークを活用した人は全体の35.3%で、できる環境にあっても活用しなかった人が40.4%と、さほど運用されていない実態がこのほど、株式会社ヌーラボの調査によって明らかになった。
なお本調査は、2020年3月3日~3月13日の期間、プロジェクト管理ツールの「Backlog」ユーザーを中心とした688名(有効回答数462名)を対象として実施された。
テレワークを活用した人は全体の35.3%
新型コロナウイルス感染症の流行が本格化した2020年2月の1ヶ月の間にテレワークを活用したかどうか尋ねる調査が行われたところ、活用した人は全体の35.3%にとどまった。
本調査はIT・インターネット業界で就業するユーザーの回答が分析されたものだが、IT業界であってもテレワークが進んでいない様子が伺えた。
4割以上の企業でテレワークを許可されていない
「新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、会社からテレワークに関する指示はあったか?」という質問に対しては、33.8%が「以前から許可されていた」、23.4%が「今回をきっかけに許可された」、23.8%が「許可されなかった」と回答した。
19%の「その他」の結果が分析されたところ、大半が「今回をきっかけに一部職種のみ許可された」「今回をきっかけに検討が開始された」「テレワークに関する言及が一切されなかった」という回答だったことから、その他を含めると、全体の4割以上がテレワークを許可されていないこともわかった。
テレワークを許可されても、40.4%は活用しなかった
前述のアンケートの中で「以前からテレワークを導入していた」「今回をきっかけに許可された」と答えた人の中でも40.4%%はテレワークを活用しなかったとの結果になった。
テレワークが許可されている企業であっても、実際にはテレワークが活用されていない、もしくはできない状況であることがわかった。
テレワークを許可されても活用しなかった理由の約9割が、「業務が滞る現状がある」
テレワークが導入しやすいと予想されるIT・インターネット業界で就業する回答者に限っても、66.7%が「出社しないとできない業務がある」、22.2%が「PCが1人1台ない、または持出禁止」と回答し、テレワークを実施すると業務が滞る現状があり、PCなどのインフラ環境があっても、業務フローそのもののIT化が遅れている会社があると見受けられる。
テレワークが浸透しない企業の裏の実情
「テレワークは無給扱いになると通達があった」、「規程がないため労働時間にはならないと通達があった」、「派遣社員のテレワークが許可されていなかった」、「推奨していると会社は公表しているは実際にはできなかった」、「請求書など、紙文化が残っているため対応できなかった」という回答も見受けられ、テレワークが浸透しない企業の裏には、企業側の環境整備や規程整備の遅れがあることが伺える。
※Backlog総研調べ
<調査概要>
・実施期間 :2020年3月3日~3月13日
・対象:BacklogのユーザーもしくはBacklogのSNSフォロワーより668名が回答。うちIT・インターネット業界に所属する462名の回答を対象に分析。
・調査手法:インターネット調査
出典元:株式会社ヌーラボ
構成/こじへい
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