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入社4年目社員の本音「営業は勢いとミスをした時の素早い対応力が大事」ヤマト・宇井七郎さん

2020.04.01

あなたの知らない若手社員のホンネ~ヤマト株式会社 リテール事業部 宇井七郎さん(28・入社4年目)

 様々な現場で働く若手社員の働きぶりを紹介しているこの企画、新入社員の3人に1人は早期に退職すると言われる昨今、若手社員が仕事に取り組むそのモチベーションとは何だろうか。中間管理職にとって、“最近の若い子”のやる気を再確認する企画でもある。

 シリーズ62回目はヤマト株式会社 リテール事業部 宇井七郎さん(28)。創業121年のこの会社は糊の老舗メーカー。でんぷん糊をはじめ、アラビックヤマトブランドの糊が有名だ。社員91名。千葉県出身の宇井さんも転職を経験している。車好きで中堅の自動車ディーラーに就職。前職では経理の業務だった。

営業職でバリバリやりたい

 経理の仕事は決められたことに沿って、数字を見るルーティンワークです。証券会社に就職した友だちと飲むと、「億の金を動かしいるんだよ」とか、バリバリやっている。学生時代は飲食関係のお店で接客のアルバイトをしていましたし、僕も外に出ていろんな人と接する営業の仕事に興味がありました。同じ会社で営業職をやるより、この機会に目先を変えようと転職を選んだんです。

 ヤマト糊のホームページを閲覧すると、文具だけでなく粘着技術を生かして工業材料も扱っている。その点に将来性を感じました。配属は糊をはじめ文具を扱うリテール事業部、職種は営業です。主な仕事は文具店や雑貨店、書店の文具コーナーを周り、商品の情報収集、文具の売場作りの支援、新商品の導入を促すこと。 

 問屋のみのアプローチでは、うちの商品が十分に店頭に行きわたりません。「メールで済む時代だからこそ、会いに行きなさい」と、上司には言われています。店舗のスタッフやバイヤーやオーナーと、顔見知りになることは商売の基本だと。

 ヤマトといえば、液状糊のアラビックヤマトがメインの商品です。認知度も高いしコンスタントに売れますが、売上げが爆発的に右肩上がりになる商品ではない。うちの他の商品群はあまり認知度がない。「ポテンシャルのある商品の売上げを伸ばしていこう」とは、ゼネラルマネージャーがよく口にする言葉です。

クレヨンの実演販売が大ウケ

 うちはホビークラフト商品も各種展開していて、その中でクレヨンも扱っています。このクレヨンが水性で、筆圧をかけずに描けて発色もいいし、クレヨン独特の臭いもない。これをチェーン展開する書店に売り込みたい。

「うちはあんたのとこの糊買っているよ」「いや〜、最近は糊以外でもこんな商品に力を入れているんです」このクレヨンの説明をすると、「そういえば、代理店から案内が来ていたな」と。近年、本の売上げが思うように伸びず、書店は文具売場に力を入れている。バイヤーも文具に注目しています。

「ふつうのクレヨンだったら、1本40円ぐらいだよ。その3倍以上というのは高いよ」単価の高いと在庫を抱えやすい。バイヤーはそこを心配している。

「実際に描いてもらわないと、この商品の良さは伝わりません。例えば児童書の棚のそばにサンプルを置かせていただくとか。そうだ、ファミリーが来店する土日に、実演販売をやらせてください。子供がクレヨンで絵を描く間、お母さんにはゆっくりと本を見てもらう。店内の滞在時間が増えれば、客単価も増えるというデータもあります」

 実演販売の当日は、僕も説明員として店舗に立ちました。テーブルに並べたクレヨンを子供が手に取り描いて「すごい!」。お母さんお父さんも描いて「これはすごい!!」と。5店舗ほどでやりましたが、実演販売した月はクレヨンの売上げが個人の目標の3倍近くになりました。グループの書店、約20店舗で導入が決まった。クレヨンはセット販売が基本ですが、ユーザーからの要望で今は単色も販売しています。

「なんだよ、宇井クン」そんな時は素早い対応

 勢いに任せてセールスをするやり方は、失敗もあります。通常のスティック糊は下部のつまみをひねり、糊を繰り出しますが、この時売りたかったのは糊がスティックの頭部に自然と繰り出す「H-100」(※出荷終了商品)商品でした。

現行品の「YS-5」と糊がスティックの頭部に自然と繰り出す「H-100」(※出荷終了商品)

 ある展示会で、北関東で雑貨店を40店舗ほど展開する会社のバイヤーと、商談する機会を得まして。かなりの種類の商品を扱うことで有名な会社ですが、うちとは取引が少なかった。そこでこのスティック糊を「これは便利です」と、売り込んだんです。

「面白いね、40店舗で買うよ」「ありがとうございます!」注文が取れた。しかも1店舗に納品する量の40倍ぐらいの大量の注文です。

 やった!社内に持ち帰ると早速、発注の手続きをしました。僕は注文の量が多くても、購買部がなんとかしてくれるものと、思ったんです。これまでも「先方の要望で納期を早くしてもらいたいです」と頼めば、「しょうがないなぁ」という感じで、面倒を見てくれました。ところが今回は、「宇井くん、注文の量が多すぎる。納期までに商品を用意することはできないよ」と。バイヤーにお断りせざるを得なくなってしまった。

「何だよ、宇井さん、せっかく気に入った商品だったのに」お客さんをがっかりさせしまった。

 素早い対応が肝心というのは、学生時代の飲食店でのアルバイトで学んだことで。飲食では「ねえ、オーダーまだ?」「調味料持ってきて」そんなお客さんに、「あれ、どうなってるんだよ!?」と言われないようにした。この時もすぐに先方に電話を入れ、事情を説明して謝ったことで、顔と名前を覚えてもらえました。

 セールスマンには、勢いに任せての商売も必要だ。特に若い時は勢い任せの営業が功を奏する。宇井さん流の“イケイケ営業”のエピソードは明日公開の後編でも。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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