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中高年になっても会社の戦力であり続けるために大切な「学び直し」の精神

2020.03.31

■あるあるビジネス処方箋

 今回は、自分の持ち場や居場所を職場で見つけることの尊さについて、私の考えを紹介したい。この場合の「持ち場や居場所」とは、担当の仕事があり、それを他の社員がすぐには対応できないようなレベルですることなどを意味する。

 たとえば、ある企業の営業部であれば、30人の部員全員が法人を相手にセールスするとして、その中で社員数300人以下の会社を専門に担当し、ほかの社員が追い付けない営業成績を残す場合である。「かけがえのない、唯一の社員」になることを意味する。こういう立場になると、発言権や立場が同世代の同じ部署の社員よりも強くなり、人事評価が高くなることが多い。課長などに早く昇格するケースも目立つようになる。

 なお、中小企業やベンチャー企業の場合は、社内の態勢や仕組み(特に人事に関するもの)が全般的に未熟で、この域には達していないケースが多い。従って、今回は社員数が1000人を超えるような大企業に限った話としたい。

 まず心得るべきは、通常、大企業では、持ち場や居場所を見つけるのは難しいことだ。新卒や中途の採用試験時の入社の難易度(エントリー者数や試験を受ける層の基礎学力、問題意識や性格、適性など)が相対的に高い。それらをクリアし、研修などを経て各部署に配属され、通常は上司のもとでOJTを通じて指導、育成を受ける。

 しかも、30代前半までの定着率は中小、ベンチャー企業と比べて総じて高い。まして、大規模に定期(通常1年に1回)の人事異動が全社規模で行われている。異動が多いことは、社員間の競争が社内全体に浸透し、正確なセレクト(昇格)がしやすくなることでもある。つまり、「密度の濃い競争の空間」がある程度は出来上がっていると言える。

 この態勢の中では、いわゆる「落ちこぼれ」が少なくなるものだ。一方で、個々の社員が自分ならでの仕事をすることが難しくもなる。突出したエリートが生まれにくい構造とも言える。このような状況ならば、あえて持ち場や居場所を見つけ、そこで生きようとする必要はないのかもしれない。

 だが、今後はその考え方を多少変えていかざるを得ないはずだ。大きな理由の1つが、「70歳定年」である。ここ30数年で、定年は55歳から60歳、そして65歳、さらに70歳と上がっている。おそらく、今後は70代以降も何らかの形で働く人が増える可能性が高い。

 この現実を踏まえると、会社員は40∼60代で自らの仕事について学び直す必要がある。経済や市場が変化し、世の中の求めているものが目まぐるしく変わる。仕事で必要になる知識や経験、技能、資格などもますます高度になり、専門的になる。部下の指導や育成で求められるレベルもしだいに上がる。どん欲に勉強をし直し、自分を変えていかないと高い人事評価を受けるのは難しくなり、居場所がなくなるのかもしれない。自分独自の仕事ができないような、言い換えると社内の労働市場で通用しない中高年の社員がひしめく会社では、きっと無念な思いをする20∼30代の社員がいるだろう。まして、中高年の社員は賃金が社内外の市場価値よりもはるかに高い人が多い。

 6年前に、都内の有名な公益企業(社員数1万5000人程)の人事部を取材した際、40∼60代社員の仕事の意識を高めるために、社内での研修を増やしていると答えていた。外部から専門家を招き、刺激を与え、仕事に前向きに取り組むようにするのだという。そして、自分の居場所を職場で確保できるようにしていくようだ。人事部の育成担当の責任者は、この研修を「ねじ巻き」と称していた。ねじを巻くことで、これからも動くことができるようにするのが狙いのようだった。わざわざ、外部から招かないと、意識を高めることができない中高年を高額の賃金で雇い続ける理由が私にはわかなかったが、こういう会社は実在するのだ。むしろ、相当に多いだろう。

 定年延長の議論は静かではあるが、今も様々な場で続いている。その時、この学び直しについて踏み込んだ話し合いが依然として少ない傾向がある。老後に2000万円が必要であるか否かの議論も必要かもしれない。だが、大切なのは中高年以降も戦力になり続けるためにはどうすればいいか、を考えたい。どのように中高年を戦力にしていくか。若年層の足を引っ張らないような人材にするためにはどうするべきか。これらが、深く議論される必要がある。勉強しない中高年の社員は、日本の企業を必ず弱体化させる深刻な問題になるはずなのだ。

文/吉田典史

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