ヴィーガンは健康にも良いのか?
「ヴィーガンになる=地球に良い」ということは証明されているが、果たして健康にも良い影響を与えているのだろうか?
ヴィーガンと健康に関する研究は、ハーバード大学をはじめとして多くの研究機関で行われている。医師に意見を伺いながら、ヴィーガンが身体に及ぼす影響についてまとめた。
ヴィーガンになると野菜や果物の摂取量が増える。これは、身体だけでなく心にも良い影響を与える。具体的には以下の事が研究で明らかになっている。
1.野菜・果物の摂取量が多いほど長寿に
約83万人を対象としたメタ解析では、「果物や野菜の摂取量が多いほど全死因死亡リスクが低下する」「特に心血管死が有意に下がった」ということが明らかになった。
果物と野菜の摂取が1日に1食分増えるごとに、全死因死亡リスクが平均5%ずつ低下した。
2.野菜や果物が多い食事は血圧を低下させる
「The Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) 」が実施した調査によると、「野菜や果物が多い食事は高血圧の人の血圧を下げる効果がある」という結果も出ている。(平均11/6mmHg程度)
また、野菜や果物を多く摂取することは、身体だけでなく心にも良い影響を与えることが分かっている。
3.野菜と果物を多く食べると人生の幸福度が上がる
『American Journal of Public Health』誌に掲載された研究結果から、「野菜と果物を沢山食べている人ほど、人生に対する幸福度や満足度が上昇する」という衝撃な結果も出ている。
これは、無作為に抽出されたオーストラリアの成人約1万2千人を追跡調査したもので、「野菜と果物の摂取量が増えれば増えるほど、個人の状態や収入に関係なく、健康度は勿論、人生に対する幸福度や満足度が増す」ということが明らかになっている。
理由として、野菜や果物に入っている「抗酸化物質」の摂取量が増えるためではないかと考えられている。
また、赤身肉を食べることが身体に悪影響を与えることも明らかになっている。
4.赤身肉を食べることは癌のリスクを高める可能性がある
世界保健機関(WHO)は赤身肉加工肉(※)について「発がん性がある」としており、また過去の研究でも、赤身肉・加工肉を多く摂取した人はそうでない人と比べて、糖尿病や心血管疾患に罹患しやすいことがわかっています。
※WHOによる定義
赤身肉:牛肉、豚肉や羊の肉など。
加工肉:ホットドッグ、ソーセージ、ハム、ベーコンなど。
野菜や果物の摂取量を増やすことは身体にも心にも良いことは分かった。ただ、全く魚や肉を食べずに、野菜や果物だけを食べる偏った食生活をすることはどうなのだろうか?
5.カルシウム不足になりやすい
カルシウムが多く含まれている食べ物と言えば、牛乳やチーズだが、ヴィーガンはそれらの食べ物を口にしないため、カルシウムの摂取量が減ってしまう。これは、特に成長期の子供にとっては重要な問題である。
ヴィーガンは牛乳の代わりに豆乳やアーモンドミルクを飲んでいるが、豆乳に含まれるカルシウムの量は牛乳の約1/7と非常に少ない。
豆腐や小松菜などカルシウムが多く含まれた植物性食品を積極的に摂取するように心掛けたい。
6.ビタミンBが不足しやすい
体を動かすためには、たんばく質・糖質・脂質の三大栄養素がエネルギーとなるが、この三大栄養素が十分に力を発揮するためには、ビタミンが欠かせない。三大栄養素だけを摂取していても、体内の代謝がスムーズに行われないため、身体のパワーが出ないのである。
そのためビタミンが不足した身体は疲労感が抜けにくくなってしまう。
ビタミンB群の中でも特に重要なのが、タンパク質の代謝に関わっている「ビタミンB6」。
ビタミンB6はカツオ、マグロ、レバーなどの動物性食品に含まれており、ヴィーガンは不足しがちになってしまうため、ビタミンB6が含まれた植物性食品(アボカドやバナナなど)、あるいはサプリメントで補うようにしたい。
このようにメリットだけでなく、デメリットもあるヴィーガン。
身体のことを考えると、1日1~2食をヴィーガンにするくらいの“ゆるいヴィーガン生活”が良いのかもしれない。
【取材協力】
天野方一医師(https://hoichiamano.work/)
文/小松佐保(Foody Style代表)
@DIME公式通販人気ランキング