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9%W-IPA、柚子素材、イチローズ・モルトとのコラボ、クラフトビールに旋風を巻き起こす「箕面ビール」の女性ブリュワー大下香緒里さん

2020.03.24

■連載/女性ブリュワーのクラフトビール

クラフトビール業界に女性ブリュワーが増えている……ということで、各地の気になる女性ブリュワーたちのクラフトビールを追った。第1回は地ビール時代からビールを醸造してきた箕面ビール(大阪箕面市)の大下香緖里さんをご紹介する。

箕面ビール代表取締役の大下香緖里さん。

国産「IPA」の先駆け的存在

日本でIPAがこれほどメジャーになったのは、ここ5〜6年ではないだろうか。箕面ビールは2005年にアルコール度9%のW-IPAの醸造を始めた。2005年といえば、「IPA」というスタイルはビアマニアにしか知られていない。まだ「クラフトビール」という名でもなく、「地ビール」と呼ぶのが一般的だった時代だ。

もちろん箕面ビールは地ビールの会社だ。酒税法改正で地ビールが解禁されて2年後の1996年に創業している。そして2000年代。地ビールは冬の時代を迎えていた。その頃の地ビールは、大手のラガーとは一線を画しながらも「飲みやすくて料理に合わせやすい」、悪く言えば「ありきたりな」ビールにまとまらざるを得なかった。そんな状況下、大下さんが「時間をかけて造ろう」と着手したのがIPAだった。

「当時はビール専門店にイギリスのIPAはあっても、アメリカンなIPAはほとんどありませんでした。イギリスのIPAは、あまりホップの香りが強くないものが主流でした。私は当時アメリカで注目され始めていたホップの香りがガツンと来る、味のしっかりしたIPAを造りたいと思ったんです」

そして生まれたのが9%の「W-IPA」だ。今でこそアルコール度高めのIPAはクラフト界の人気者だ。先見の明としか言いようがない。箕面ビールの「W-IPA」は仕込むたびに熱心なファンが買い求め、今では箕面ビールの看板ともいえる存在感を放つ。

2005年から販売されている「W-IPA」。World Beer Awardsなど数々の金賞を受賞している。

地元産の農産物を収穫、加工も自分たちで

「うちの父が『なんでもやってみろ』という人だったので」と大下さんは言う。

箕面ビールは1996年、酒店を営んでいた大下さんの父が創業した。地ビールに参入したのも、「なんでもやってみろ」の意気だったのかもしれない。

大下さんはビールの原材料でも新しいものにトライした。現在、冬場に限定販売される「ゆずホ和イト」は箕面産の柚子を使用している。発売は「W-IPA」と同じ2005年。今では柚子は箕面の名産だが、「ゆずホ和イト」を造りはじめた頃は、ほとんど注目されていない農作物だったそうだ。

「柚子の樹は山の斜面に植わっていることが多く、高齢の方が多い農家さんにとっては収穫が大変な農産物でした。だから私たちが柚子をビールに使いたいと申し出たときも、『自分で穫って、使って』と。そこで自分たちで穫って、加工もしました。それまでは供給されるものだけを使って造っていましたが、材料も加工法も自分たちでチョイスするようになってビールの幅がグッと広がりましたね」

2008年には、原材料に桃を使った「桃ヴァイツェン」も醸造した。

原材料に地元の農産物を取り入れて仕込み、オリジナリティを醸す。今ではこうしたブルワリーは珍しくはない。現在、箕面ビールは冬には「ゆずホ和イト」を、夏には「国産桃ヴァイツェン」を限定販売しているが、毎年大好評だ。地元の旬の味として楽しみに待っているファンがいるのだ。

イチローズ・モルトの樽で仕込む

大下さんは5年前から、秩父のベンチャーウイスキー、イチローズ・モルトとおもしろい取り組みを始めている。イチローズ・モルトから譲り受けた樽に自分の「インペリアルスタウト」を貯蔵し、1年近く寝かせておく。「バレルエイジ」と呼ばれるビールは、その樽に長年眠っていたウイスキーの風味をもらい受けて、新たな「インペリアルスタウト」に生まれ変わる。今年バレンタインデーに発売された1200本は、あっという間に完売したという。

イチローズ・モルトの樽で寝かせた「バレルエイジインペリアルスタウト」。ラベルのおさるは箕面ビールのメインキャラクター。

箕面ビールからイチローズ・モルトに戻された樽で再びウイスキーが熟成されることも。

「バレルエイジビール」を送り出した樽はイチローズ・モルトの蒸溜所に戻され、またウイスキーの熟成に使われているという。ビールを貯蔵した樽でウイスキーを熟成させるというのは、業界ではかなり珍しいことらしい。箕面ビール、イチローズ・モルト、双方にベンチャーな意気を感じる。

こうした新しい取り組みを次々発信する箕面ビールには、近年、醸造師志望の若者からの就業の問い合わせが増えている。現在、代表取締役でもある大下さんは、スタッフに「ビールを造るのも大事だが、お客さんがどういう環境で飲まれているのかを想像することが大事だ」と伝えているという。

「それぞれ目指す味があると思いますが、それが最終的にお客さんから“おいしい”と思ってもらえなければ。私が一番、大切にしたいのは、地元の方に飲んでいただくことです。地元に愛されてこそローカルビールですから」

地ビール時代から醸成されてきた実績とプライドがただよう。今夏の「国産桃ヴァイツェン」が楽しみだ。

(データ)
箕面ビール 本社併設の直営店 WARE HOUSE:営11:00〜21:00 休 木 
電話:072-725-7234 大阪府箕面市牧落3-14-18 

取材・文/佐藤恵菜

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