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部下の人事評価にひそむ落とし穴!下手なフィードバックは炎上を招く危険あり

2020.03.24

無難にやり過ごしたい人事評価の時期がきた

 年度末に近づき、部下を持つ管理職には頭痛のタネである『人事評価』が待ち受けています。特に上司をいつも悩ませるのが「評価結果をどう部下に伝えるか」というフィードバック面談ではないでしょうか。

 優秀な部下へのフィードバックは、多くを語る必要はなく、雑談と来期への期待を語るくらいで済ませることはできますが、成績があまりよくない部下へのコメントや動機付けは悩ましいですね。多くの管理職は、自身が被評価者だった時代は優秀だったので(だから管理職になっている)、上司からあまり厳しい評価やフィードバック面談を受けた経験が少ないためなおさらです。

 基本は本人の言い分(言い訳かもしれませんが)をしっかりと聞き、評価の認識に違いがあれば、『なぜ違うのかをじっくりと話合う』ことを意識していれば、それほど難しいことではありません。また、成績イマイチの部下でも自尊心がありますし、周囲のメンバーはお互い助け合うべき同僚ではありますが、出世を争っているライバルでもあります。「自分は上司から低い評価を下された」と周囲にこぼすなんてことはなかったと思います。

下手なフィードバックは社内炎上を招く?

 ところが、イマドキのゆとり・さとり世代の部下には気をつけないといけません。下手なフィードバックをすると、社内炎上を招く恐れがあるのです。彼らは学生時代からSNSで同期の友人たちといつでもいつまでも新卒気分で情報共有しています。

 例えば、入社1年経って、初めての人事評価結果をフィードバックするような時、同期の中で、一番乗りで上司のフィードバックを受けたら、「うちの課長から1年間、よく頑張ったって言ってもらえたけど、“協調性が足りない”って駄目出しされたあぁぁぁー」などとLINEで同期と共有されることになります。

 すると「おまえのところの課長ってそんなこと言うんだ」「もうちょっと言い方ってあるよね」などと思わぬ方向に拡散する可能性があるので、上司は不用意なフィードバックをする訳にいきません。知らぬ間にその年次の社員たちの間では、『ダメだし課長』などと呼ばれて有名人となっているかもしれません。さすがに社外流出まではないと思われますが不用意な発言は慎まなくてはなりません。

 彼らよりも上の世代にとって『同期』とは仲間ではありますが、お互い切磋琢磨する良い意味でのライバルでした。ところがゆとり世代の同期達は仲が良いのはいいのですが、ライバル心をあまり持っていないという特徴があります。同期で先に昇格したからと言って慌てないし、追いつき追い越してやろうという気概もあまり感じられません。

出世に関心はないが、評価はしてもらいたい

「管理職になりたくない」という若手・中堅社員が増えているという話はよく耳にしますが、若くなるほどその傾向が顕著なようです。「管理職になっても大して給料は上がらないので、残業代のつくお前たちの方が手取りは多いよ」などと酒の席で上司がこぼすからだという説もありますが、それだけではありません。

 バブル世代の生涯賃金は3億2千万円だと言われていますが、ゆとり世代になると、2億3千万円と9,000万円も低いと推計されています。ポストが減って管理職に到達する人が少ないというのが主な理由ですが、よく考えてみるとその他の事情が異なります。

 バブル世代の家族形態は『専業主婦モデル』が多数派であり、夫の生涯賃金で「子育て」「住宅ローン」「車のローン」を賄っていました。ところがゆとり世代になると夫婦ともに正社員として働き続けるので、夫婦合わせると4億6千万円の世帯収入となります。

 また子育ては2人で働きながらは大変だけど、家はどちらかの両親のものを貰えばいいので住宅ローンは抱える必要はありません。つまり管理職に出世するための動機が少なくとも経済的にはないのです。ただ、「自分は評価されているのか」という関心は強いので、人事評価の成績は気になります。人事評価と言えば一般的に「報酬額を決める根拠だから頑張らねば」と思いますが、彼らにとってはお金の問題というより、「組織の一員として貢献しているか」「働きぶりが評価されているか」といった承認欲求のほうが大事なようです。

 また40,50代の会社員は、まだ日本の会社は終身雇用の長いレースだと考えているので、単年度の人事評価に一喜一憂しませんが、イマドキ君たちはステップアップ転職の機会があるかもしれないので(転職前提という訳ではなく)、単年度の成績は確保しておきたいという短期志向があります。

クールに見えて実は「かまってちゃん」

 イマドキのゆとり世代部下の特徴を端的にいうと、究極のかまってちゃんといえます。

 飲み会に誘ってもクールに断られるので、あまり声を掛けないようにしていたら「うちの先輩は冷たい」とLINEで呟かれていたという話はよく聞くことです。彼らにとっては、立ち入ってほしくない領域はあるけれど、ほったらかしにされるのもイヤで、要するに適度に構ってほしいのです。

 ただ、構ってほしいレベルは人によって異なります。例えば帰りがけに、「最近がんばってるね」とひと言声をかけてやるだけで次の日から目に見えて仕事に熱心に取り組むようになったという単純系がいる一方で「先週のキャンペーンではよく頑張ったね。他部署の●●さんが褒めてたよ」と具体的でないと褒められた感じがしないという強者もいます。

大事なフィードバックは好不調の節目で

 以前、クライアントのゆとり世代の方々と意見交換した時に多くの参加者から「構ってもらえてない」という発言が出てきました。「子供じゃあるまいし何を言っているのだろう」と思ったのですが、よく話を聞いてみると、「好不調の波がある時などのタイミングで声を掛けてほしい」ということらしいのです。

「部下を褒めよう」とコミュニケーションの本には書いてありますが、褒め言葉も頻繁に発すると効果が薄れますが『君のことはいつも見ているよ』という上司や先輩の態度が彼らのモチベーション維持に繋がるようです。

 営業成績がなかなか上がらずもがいている時に「君の活動は知っている。結果は後からついてくるものだから焦るな」と励ましたり、受注した時などは「これまでの努力が実ったよね」などと日ごろの活動をよく見ていることをタイミングよく伝えてはいかがでしょうか。

 イマドキの若い社員の言動には、これからも驚かされることはあるかもしれませんが、彼らの年長者はもう30歳を超えてきました。後輩も増えてまもなく実務の中心になることの自覚も出てきた頃ではないでしょうか。順番として会社の将来を担うことになるのは間違いないのですから、嘆くのではなく大いに期待をもって接しましょう。

 そもそも我々だって若いころは「イマドキの若い奴らはなってない」と言われていたではありませんか。

文/麻野 進
契約コンサルタント。株式会社パトネール代表。1987年関西学院大学法学部政治学科卒。 国内系大手コンサルティングファームにて、医療機関を中心に、マーケティング・人事管理等のコンサルティングを担当した後、人事・組織コンサルティングファーム取締役、NTTデータ経営研究所シニアマネージャーを経て現職。上場企業から中小企業まで幅広い層の顧客を対象とした組織・人材マネジメント、人事制度構築に関するコンサルティングを行なう。

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